タイヤの空気圧不足、燃費への影響は?(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2021年10月26日(火) |
---|---|
テスト場所 | 日本自動車大学校(千葉県成田市) |
テスト背景 | タイヤの空気圧低下は燃費に影響すると言われている。タイヤの空気圧が起因する燃費の変化と、そのメカニズムについて、タイヤの空気圧を低下させた自動車を用いて検証した。 |
テスト内容 | テスト車は同一車種を3台用意し、タイヤも同じ銘柄とサイズのものを装着。 各テスト車のタイヤの空気圧を、適正、適正から30%減、適正から60%減とした。 ※タイヤは4本すべて同じ空気圧に設定。 テスト1 タイヤの空気圧不足による燃費を検証各テスト車にドライバーが1名乗り、テストコースを走行。 テスト2 タイヤの空気圧の違いでどこまで進むのかを、惰性走行で検証坂道で各テスト車を惰性走行させ、スタート地点より下りはじめてから停止するまでの距離を測定した。 |
テスト結果
テスト1 タイヤの空気圧不足による燃費を検証
適性を基準として、30%減では平均4.6%、60%減では平均12.3%悪化した。
仮に、1年間の燃料費を以下の例で試算し、各条件を比較する。
〈例〉1年間に15,000km走行し、燃料価格が165円の場合(小数点以下四捨五入)
適正(13.0km/L) :190,410円
30%減(12.4km/L):199,650円 ⇒ 適正と比べて+9,240円
60%減(11.4km/L):217,140円 ⇒ 適正と比べて+26,730円
テスト2 タイヤの空気圧の違いでどこまで進むのかを、惰性走行で検証
各テスト車が進んだ距離は、適正で90.1m、30%減で83.5m、60%減で62.2mだった。空気圧が不足するにつれて惰性走行した距離が短かった原因として、タイヤの転がり抵抗※が高まったことが考えられる。ゴムでできているタイヤは、車両の重さによって力がかかり、路面との接地面に合わせて変形する。この変形によって走行に必要なエネルギーの一部が熱となり失われるため、タイヤの空気圧が不足しているほど、よりタイヤの変形量が大きくなり、惰性走行で進む距離が短くなった。
- タイヤの転がり抵抗とは、進行方向と逆向きに働く抵抗力のことを指し、「タイヤの変形」、「接地摩擦」、「空気抵抗」の3つの要因から発生する。このなかでも「タイヤの変形」は転がり抵抗に最も大きな影響を与える。
まとめ
- タイヤの空気圧不足は適正時に比べて多くの燃料を消費してしまう可能性がある。燃費の悪化は経済面のみならず地球環境にも悪影響を及ぼすため、少なくとも月に一度は空気圧を点検したい。
- なお、タイヤの空気圧は、見た目や操舵性の違いといった人間の感覚だけで判断することは難しいため、必ずエアゲージを使用して計測し、不足していたら空気充填機で補充することが望ましい。エアゲージや空気充填機はガソリンスタンドにも設置されている場合が多いので、給油の際に活用することもおすすめ。