会長メッセージ

私たちJAFは1963年の創立以来、モビリティユーザーに対し、安全と安心の支えとなるロードサービスをはじめとする各種サービスを提供し、皆さまからのご理解、ご協力をいただきながら歩みを進めてまいりました。2025年3月末の在籍会員数は約2,081.7万名となり、前年度にくらべ31.5万名の増加となりました。これも偏に皆さまのご支援によるものと感謝しております。私たちはそのご支援にお応えできるよう会員満足度のさらなる向上とモビリティ社会が抱える問題に対して、これからもさまざまな施策を積極的に実行してまいります。

JAFを取り巻く環境は、テクノロジーの進化や社会のデジタル化、CASEやMaaSによる自動車業界やビジネスモデルの大変革、個人の価値観の多様化、少子高齢化のさらなる進行など、大きく変化し続けています。

このような中で、基幹事業であるロードサービスでは会員サービスのさらなる拡充に向け、昨年4月にロードサービス利用約款を改定し、会員の無料けん引距離の拡大(15kmから20kmに変更)やロードサービス利用料金の見直しをおこないました。また、「令和6年能登半島地震」では各地方からロードサービス特別支援隊を編成し、石川県に派遣しました。被災車両の救援を通じた被災地域の復旧活動の一助となるべく88日間で延べ618名が車両救援に従事しました。さらに被災が大きかった一部地域を対象にロードサービス料金の無料措置(計58件)を適用し、9月30日まで実施しました。JAFでは、被災されたお客さまからの救援要請に的確に対応できるよう迅速な救援活動体制を整えています。

会員サービスでは、会員の皆さまの満足度向上を目指し、日常でご利用いただける会員優待施設の充実やイベントの開催など、コンテンツの拡充を通して会員サービスの向上に努めております。また、交通環境啓発活動では講習会・イベントなどの開催やさまざまな調査を実施し、安全・安心な地域社会を支えてまいります。自動車ユーザーと共に、公平・公正・簡素な自動車税制改正に向け、要望や提言活動を長年しており、健全なモビリティ社会の実現に向けて取り組んでおります。

2025年、JAFは将来を見据え、事業運営の礎となる基本理念を再構築し、新たな基本理念とともに、長期的な事業方針となる「2035ビジョン」を策定しました。

新たな基本理念を「JAFは、安全と安心の支えとなるサービスを提供し、移動価値が高い社会の実現を目指します」と掲げました。これまでのJAFの歴史や不変の価値観は変えず、「自動車ユーザー」という枠組みから「移動」という行為そのもの、また移動をおこなう人、社会に対して新たな価値をもたらすことを「移動価値が高い」としています。私たちは安全・安心をベースに、この「移動価値の高い社会の実現」に向けて取り組んでまいります。

また、「2035ビジョン」を「多様化した移動手段が社会に浸透する中で、私たちはモビリティの持つ力を最大限に引き出し人々の「より豊かな日常」を支えます」としました。社会的な課題である高齢化や人口減少、移動手段の不足、交通の安全性などに対して、私たちJAFには多様なニーズに応えるための柔軟な対応が期待されています。

私たちはモビリティの持つ力を信じ、引き出し、地域社会との対話を通じた課題の発見と解決に向けて挑戦し、人々のより豊かな日常の実現に向けて取り組んでまいります。皆さまの一層のご支援を賜わりますようよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)

会長  坂口 正芳さかぐち  まさよし