側面衝突によるチャイルドシートの安全性は?~時速50kmで側面衝突した衝撃を再現し検証~(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2024年10月9日(水)~10月10日(木) |
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テスト場所 | 交通安全環境研究所自動車試験場(埼玉県熊谷市) |
テスト背景 | 2023年9月以降は「R129」という新安全規則に適合したチャイルドシートのみ生産されている。「R129」とは従来の安全規則の「R44」からさらなる安全性の向上を測る新しい規格を盛り込んだ次世代の安全規則となっている。「R129」の新安全規則では新たにドア側(側面)からの衝突に対応している。そこで今回はチャイルドシートの側面衝突テストをおこなった。 |
テスト内容 |
6歳のダミー(約114cm)を用い、スレッド試験にて実施し、衝突した際の挙動を計測した。 テスト1
テスト2
テスト3
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テスト結果
テスト1 正しくチャイルドシートを使用した場合の比較(従来の安全規則R44と新安全規則R129で比較)
- R44とR129製品ともにダミー人形はチャイルドシート内に収まっており、重篤な傷害につながる体や頭部の強打はなかった。
名古屋大学の水野教授のコメント
どちらの製品も安全の範囲内だったが、挙動を細かく見るとR129製品のほうがわずかに良い結果だった。これは横からの衝撃を軽減するチャイルドシートの側面部分がR44製品より大きく厚いことが理由の1つと考えられる。
テスト2 シートベルトのみ着用の場合
- 子どもの側面を守るものがなく、頭をドアの上部に打ち付けた。この箇所はクッション材が入っていない車も多く、頭部損傷のおそれがある。
テスト3 チャイルドシートを間違えて使用した場合 よくあるシーンを再現
- 1.シートベルトの肩ベルトを外した状態
肩ベルトを外した状態のため、大きく体が揺さぶられチャイルドシートから頭部や胴体が飛び出してしまった。仮に同乗者にぶつかってしまうと被害が大きくなる可能性がある。 - 2.前傾姿勢での着座
前傾姿勢のため、ヘッドサポートから外れ頭が大きく揺れた。衝突時に頭部を窓に打ち付ける挙動が見られた。
テスト結果の動画はこちら
まとめ
- 新安全規則のR129と従来の安全規則R44はどちらも安全ではあるが、R129のほうが側面衝突時の安全性は高いと言える。
- 側面衝突においてもチャイルドシートの不使用や間違えた使用(ミスユース)は体や頭部の強打につながる。体格に合わせて適切なチャイルドシートを使用することが子どもの安全を守るためには最も重要。
身長が150cmになるまではチャイルドシート・ジュニアシートを着用しよう
道路交通法では6歳未満のお子様にチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、6歳以上であっても子どもの体格によっては車のシートベルトが十分な効果を発揮できない場合があります。そのため、JAFでは体格の目安として身長が150cmになるまではチャイルドシート・ジュニアシートの使用を推奨しています。確認のポイントとしてはシートベルトが首や腹部にかからないことです。