体格に合ったチャイルドシートの必要性~時速55kmで衝突した際の検証~(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2024年8月7日(水)~8月9日(金) |
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テスト場所 | 一般社団法人 日本自動車研究所(茨城県つくば市) |
テスト背景 | チャイルドシート使用状況全国調査(JAF・警察庁)ではチャイルドシートの使用が義務付けられている6歳未満の使用率はわずか78.2%であった。年齢別では5歳の使用率は57.9%と特に低く、年齢が高くなるにつれ使用率が低下している。そこで3歳と6歳のダミー人形を後席に乗せチャイルドシートを正しく使用した場合と何も着用せず乗車した場合で比較検証した。また、体格に合っていないチャイルドシート・シートベルトを使用した場合のベルトのかかり方についても検証した。 |
テスト内容 |
テスト1・テスト2
3歳ダミー人形(チャイルドシート) 6歳ダミー人形(ジュニアシート) テスト3
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テスト結果
テスト1 チャイルドシート・シートベルト不使用の場合
- 前方に投げ出され、前席シートを押しつぶすように激しく衝突し、宙を舞ってシート横に落下した。
- 衝突の際のHIC値(頭部の傷害程度を示す数値)は頭部に重大な損傷が発生する可能性がある数値である1000を超えた。
3歳ダミー人形のHIC値 | 6歳ダミー人形のHIC値 |
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1149 | 1032 |
テスト1 動画
テスト2 体格に合ったチャイルドシートを使用した場合
- 強い衝撃を受けてはいるが、しっかりとチャイルドシートに拘束されていた。
- 6歳児ダミーの靴底をのぞき車内の座席や固い部分に接触することはなかった。
- チャイルドシート本体はしっかり車に固定されたままだった。
テスト2 動画
テスト3 体格に合っていないチャイルドシート・シートベルトを使用した際の検証
- 3歳、6歳、10歳ダミー人形についてそれぞれ体格に合っていない場合と正しく使用した場合で比較検証。
- 体格に合っていないシートベルト・チャイルドシートを使用した場合、首や腹部にかかるなどシートベルトを正しく着用することができなかった。チャイルドシートは体格にあったものを選び、正しく使用することが子どもの安全を守るために重要。
まとめ
名古屋大学水野教授のコメント
●シートベルト・チャイルドシート不使用の場合
- 3歳児ダミーと6歳児ダミーはともに頭から前席に衝突したため、頭部傷害値(HIC)の基準を超えました。これらの値は、頭部に重篤な傷害を受ける確率が高いことを示しています。
●体格に合ったチャイルドシートを使用した場合
- 衝撃によって体が前方に振られましたが、ダミー人形の骨盤や肩、胸部はベルトによってシートに固定されており、靴底を除いて身体は車内の座席や固い部分に接触しませんでした。
- 衝突事故における子どもの傷害は、身体が車内の座席や固い部分と接触することで発生することが多いため、チャイルドシートを使用して、接触を防ぐことが重要です。
●体格に合っていないシートベルト・チャイルドシートを使用した場合の危険性
- シートベルトや車のシートは大人用に設計されているため、子どもがシートに座るとお尻が前に出て、背中を丸めた姿勢になりがちです。この状態でシートベルトを着用すると、腰ベルトが腹部にかかる可能性があります。また、子どもは座高が低いため、肩ベルトが首にかかってしまいます。このような姿勢で衝突事故が起きた場合、ベルトが腹部に入り込み、腹部や脊椎に重篤な傷害を引き起こす危険性があります。そのため、身長が150 cmまではチャイルドシート・ジュニアシートを使い続けることが推奨されます。
◎身長が150cmになるまではチャイルドシート・ジュニアシートを着用しよう
道路交通法では6歳未満のお子様にチャイルドシートの使用が義務付けられていますが、6歳以上であっても子どもの体格によっては車のシートベルトが十分な効果を発揮できない場合があります。そのため、JAFでは体格の目安として身長が150cmになるまではチャイルドシート・ジュニアシートの使用を推奨しています。確認のポイントとしてはシートベルトが首や腹部にかからないことです。