オートライト機能の搭載がついに義務化へ。何がどうなるかをまとめてみました!(JAF Safety Light)

第一章 2020年から実施されているオートライト機能の義務化ってなに?

車の「オートライト機能」がついに義務化へ!
2016年10月に保安基準(※)が改正され、2020年4月から販売されている乗用車(新型車のみ)に「オートライト機能」の搭載が義務付けられています。

※正式には道路運送車両の保安基準といい、クルマの技術的な要件の基本となる法令。

そもそも「オートライト機能」ってどんなもの?

「オートライト機能」とは、走行中の車が周囲の明るさを検知して、自動的にヘッドライトを点灯/消灯する機能のこと。この機能が特に効果を発揮するのは、走ってくる車が認識しづらい夕暮れ時です。じょじょに日が落ちていく時間帯は、ついヘッドライトの点灯を忘れがちですが、そんな時でも暗くなるのを検知して自動で点灯してくれるスグレモノなんです。

オートライトの仕組み

そろそろかな?

暗くなるのを検知して

Auto On!

自動で点灯

明るくなったから消しとくね

エンジンを切ると自動的に消灯 (消し忘れ防止にも)

オートライトスイッチ画像

2020年4月以前に販売された車種に搭載されているオートライトは、ヘッドライトのスイッチにオートライト機能のスイッチが追加されたもので、ドライバーの任意で自動/手動の切り替えができるようになっています。また、どのくらいの明るさで点灯/消灯するかの基準もメーカーによって大きく異なっています。

(参考)点灯タイミングをメーカーに聞きました

「夕暮れ」はやっぱり危険な時間帯

以下のグラフは、2015年(平成27年)に発生した歩行中の死者数を、時間帯別に集計した結果です。これを見てみると、日没が始まる17時以降から急激に死者数が増え始め、その後19時台までがピークとなっています。このグラフからも夕暮れ時は危険な時間帯であることが推察できます。

時間別歩行中死傷者数(平成27年中)

※出典:警察庁

点灯タイミング、ほとんどの人が「なんとなく」?

道路交通法では、ヘッドライトを点ける時間帯について「日没から日の出までの夜間」と定められています。でも、ヘッドライトの点灯/消灯のタイミングって、みなさんはどのように判断していますか? 「少し暗くなってきたと感じたから」「すれ違う車が点灯していたから」など、実際はドライバー個人の感覚でしかないのが現状です。

(参考)実際に点灯状況を調べた結果は?

いつ点灯すればいいのかな

風景

例えばこの写真くらいの夕暮れ時で、あなたはライトを点けますか?

「オートライト機能」が事故を未然に防ぐ!

もうお分かりですね。ヘッドライトの点灯タイミングはドライバーによってさまざま。歩行者から車が認識しづらい危険な時間帯でも「まだそんなに暗くない」という思い込みもあり、無灯火のケースも見受けられます。そこで法制化されたのが「オートライト機能」。この機能が搭載されることで、ドライバーの感覚に頼らない点灯が可能になると同時に、ドライバーの「うっかり」や「思い込み」による無灯火の状態もなくすことができます。

第二章 具体的な改正の内容。どう変わる?

今までのオートライトとは違うの?

JAFが独自アンケートで調べた結果、すでにおよそ3割程度の車には「オートライト機能」が搭載されているようです(2014年JAF調べ)。これをご覧の方の中にも「オートライト機能」が搭載された車を所有している方もいるかもしれませんね。しかし、2020年4月以前に販売された車種のオートライト機能と、2020年からじょじょに適応されている新しい保安基準に適合するオートライト機能には大きな違いがあります。

いちばんの違いは、走行中であれば「一定の暗さになると強制的に点灯する」「ドライバーが手動で消灯できない」という点(自動車が駐停車状態にある場合には消灯可能)。また、メーカーや車種によって、異なっていたライトの点灯タイミングも下記のように統一されます。

「オートライト機能」の義務化で、明日から安心・安全?

新しいオートライト機能が義務化されれば、夕暮れ時はもう安全? いやいや、ちょっと待ってください。この義務化が適用されているのは、2020年の4月以降に販売されている新型車から。継続生産されている自動車や商用車への適用はさらに遅く、最終的には2023年10月までにすべての新車へ新保安基準に準拠した「オートライト機能」の搭載を済ませればよいことになっています。

また、すでに販売されている車や中古車には、オートライト搭載の義務は課されていません。つまり、従来の車両はオートライト無しでも車検を通すことができるのです。

適用時期

自動車の種別 適用時期
(新型車)
適用時期
(継続生産車)
乗車定員11 人以上の旅客自動車及び
車両総重量3.5t 超の貨物自動車
2021年4月 2023年10月
上記以外の自動車※ 2020年4月 2021年10月
  • 二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、 小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。

出典:国土交通省「道路運送車両の保安基準等の一部を改正する省令等について」をもとに作成

早めのライト点灯は、これからも必要!

オートライトが義務化されても、新保安基準に準拠したオートライト機能が普及するまでには、10年単位の年数がかかると想定されます。大切なのはやっぱりドライバーひとりひとりが早めのライト点灯を意識すること。これは今までも、これからも変わることはありません。「ドライバーから歩行者が見えているからと言って、歩行者が車の接近に気付いているとは限らない」といった意識をしっかり持って、これからもつねに早目のライト点灯を心がけてくださいね。

(参考)知っていますか、クルマの灯火のあれこれクイズ