パンク応急修理キットでどこまで修理できる?(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2022年5月18日(水)
テスト場所 鴨居自動車学校(神奈川県横浜市緑区)
テスト背景 車のタイヤがパンクした時の備えとして、従来のスペアタイヤに代わり、現在はパンク応急修理キットを備えている車が増えている。
スペアタイヤと比べて省スペース化に繋がり、タイヤの脱着などの力作業も少ないが、パンク応急修理キットを今まで使用したことがないドライバーでも応急修理ができるのか、また、穴の大きさや異物の種類の違いなど、さまざまな条件でパンクしたタイヤを応急修理することができるのか検証した。
テスト内容 テスト車両はミニバンを使用。なお、エンジンをかけたまま停車することが多くなるため、環境負荷を考慮し、HEVを選定。
パンク箇所は以下のように統一した。
  • 左後輪タイヤ(路面での修理を想定)
  • トレッド面(接地面)の外側に近い
  • ゴムの厚みが薄い溝部分
【パンク応急修理の流れ】
  1. 取扱説明書を用意
  2. 取扱説明書に沿って車両からパンク応急修理キットを取り出す
  3. タイヤのバルブキャップをはずす
  4. パンク応急修理キット側のホースから空気を逃がし、キャップを外し、タイヤのバルブに接続する
  5. コンプレッサーの電源プラグをアクセサリーソケットに差し込む
  6. 付属のラベル2枚を所定の位置にそれぞれ貼り付ける
  7. 補修液のボトルをコンプレッサーにセット
  8. タイヤの指定空気圧を確認
  9. エンジンを始動し、コンプレッサーの電源を入れ、補修液と空気を充填
  10. 指定の空気圧になったら、コンプレッサーの電源をOFFにし、アクセサリーソケットから電源プラグを抜き、一旦荷室に格納
  11. ただちに5km(時速80km以下)走行
  12. 走行後、再度コンプレッサーを接続し、空気圧を計測。130kPa未満の場合は修理不能、空気圧が指定空気圧であれば応急修理完了

テスト1 初めてパンク応急修理キットを使用するドライバーがパンクの応急修理にかかる時間は?

パンク応急修理キットを使用したことがないモニター3名が取扱説明書を見ながら、実際に4mmの釘が刺さった状態でパンクしたタイヤの応急修理をおこなった。応急修理後、約5km走行した後、再度空気圧を調べ、応急修理ができていることを確認するまでの時間を計測した。

テストに参加した3名のモニター

テスト2 さまざまな条件でパンクしたタイヤを応急修理キットでどこまで直せるのか

タイヤの状態によってはパンク応急修理キットを使用できない場合もあるため、釘の大きさや異物の違いなど、さまざまな条件でパンクした状態のタイヤを8種類用意し、パンク応急修理キットでどこまで応急修理ができるかを検証した。

  • タイヤは新品で、銘柄やサイズを揃えた

さまざまな条件でパンクした状態の8種類タイヤで比較

テスト結果

テスト1 初めてパンク応急修理キットを使用するドライバーがパンクの応急修理にかかる時間は?

初めてパンク応急修理キットを使用するドライバーがパンクの応急修理にかかる時間について、以下のような結果となった。

  • パンク応急修理キットを使用したことがないモニターでも、取扱説明書を見ながらであれば、パンクの応急修理を行うことができた。
  • モニターの中には「実際にいつパンクをするかわからないため、外出先で作業をするのは不安」という声もあった。

テスト2 さまざまな条件でパンクしたタイヤを応急修理キットでどこまで直せるのか

さまざまな条件でパンクしたタイヤを応急修理キットでどこまで直せるのかについて、以下のような結果となった。

  • 今回のテストでは、異物を抜いてしまうと応急修理できなかった。
  • 4mm以上の傷は補修液の漏れなどがあり、完全には応急修理できない可能性がある。
  • 異物や傷の大きさによっては、応急修理ができないこともあった。

まとめ

  • パンク応急修理キットは、初めて利用する人でもパンクの応急修理が可能なほど、使いやすくなっている。
  • しかし、実際の交通場面で突然パンクした場合、状況によっては適切に対応することが難しいこともあるため、事前に取扱説明書を確認し、パンク応急修理キットの収納場所や使用方法を知っておくと安心である。
  • 今回のテストでは、4mm以上の傷でも応急修理できた場合もあったが、取扱説明書には4mm以上の傷は修理できないと記載されているので、パンク応急修理キットの使用上の注意点は事前に把握しておくことが大切である。
  • 作業に不安を感じたり、安全な環境が確保できないという場合は、無理をせず、JAFへ救援要請をおすすめする。
  • パンクをはじめとするトラブルを未然に防ぐためにも、車の日常点検を忘れずにおこなっていきたい。

JAF Mate Onlineでも「JAFユーザーテスト」についての検証結果を掲載中!
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