空気圧不足でも起きるタイヤのバースト(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | テスト①2016年1月27日(水) テスト②2016年2月4日(木) |
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テスト場所 | テスト①ブリヂストン技術センター(東京都小平市) テスト②ロングウッドステーション(千葉県長生郡) |
テスト背景 | JAFのロードサービス救援件数で上位を占める「タイヤのパンク」。この中にはタイヤが破裂するバーストも含まれるが、バーストはタイヤの空気圧不足が主な原因で起きるという。 そこで、空気圧の違いでバーストの危険性が変わるのか、タイヤ試験機を使って検証した。 あわせて、突起物を右前輪で踏んでバーストさせ、直進とカーブで車の挙動を検証した。 |
テスト方法 |
テスト1タイヤ試験機を使い、適正空気圧と空気圧半分の2パターンで、時速100kmから速度を上げながらタイヤの状態を観察、サーモグラフィで温度も計測した。テスト2金属製の突起物を右前輪で踏んでバーストさせ、直進とカーブで車の挙動を検証した。 |
テスト結果
テスト1
空気圧不足がタイヤの発熱、バーストの原因に。
テスト結果は下の写真のように、時速100kmでは空気圧の違いによる差は見た目では分からなかったが、タイヤの温度は空気圧半分の方がわずかに高かった。
その後、速度を10kmずつ上げ、各速度で10分間観察したところ、時速200kmから空気圧半分のタイヤの表面が波打つスタンディングウェーブ現象が発生し、表面温度は100℃を超えた。時速210kmになると、さらに波打ちが激しくなりバーストした。
一方、適正空気圧のタイヤは同じ時速210kmでも外見上は問題なく、温度も60℃ほどであった。
テスト2
バーストによりカーブでは大きく外側にふくらんだ。
突起物を右前輪で踏み、バーストを再現した。進入速度は直進が時速70km、カーブが時速50km。
バーストを通常と比較すると、直進時は停止距離が5mほど延びたが、ほぼまっすぐ停止できた。
カーブでは外側に大きくふくらみ、パイロンに沿って曲がれなかった。
空気圧不足がタイヤのバーストを早めた
日本自動車研究所・安全研究部の小林 隆氏は、スタンディングウェーブとバーストには密接な関係があると言う。
「空気圧が低いとタイヤがたわみやすく、スタンディングウェーブが起きやすくなります。タイヤがたわむと熱を持ち、内部のベルトとゴムが剥離したり、コードと呼ばれる繊維が損傷し、バーストにつながるのです。テストでは時速210kmまでバーストしませんでしたが、空気圧不足のタイヤを長期間使い続ければ、法定速度内でもバーストする可能性はあります」と言う。
また、空気圧不足以外でも、縁石にタイヤを強くぶつけたり、擦ったりすると、タイヤの内部にあるコードを切ってしまい、バーストしやすくなるので注意しよう。
まとめ
タイヤの日常点検が重要
給油時などに空気圧や亀裂や損傷がないかをチェックしよう。特に最近流行りの偏平タイヤは、見た目では空気圧の低下が分かりにくいので、まめに確認することが大切だ。また、雨天時のブレーキ性能確保のため、溝の深さ(1.6mm以上)もあわせて確認しよう。
もし、走行中にタイヤがバーストしても、あわてて急ハンドルや急ブレーキをせず、ハンドルをしっかり保持して減速しよう。