クルマに乗っていれば、日焼けしない?(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2018年4月4日(水) |
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テスト場所 | 彩湖・道満グリーンパーク駐車場(埼玉県戸田市) |
テスト背景 | 4月頃から日差しが強くなり始めて、対策が必要となる「紫外線」。車には、紫外線を約90%カットする「UVカットガラス」があり、現在ではほとんどの車に採用されているが、最近では「スーパーUVカットガラス」という、紫外線を約99%カットできるガラスが一部の車に採用され始めており、車内でガラスを閉めていれば、日焼けする可能性は低いと言われている。そこで、紫外線が強くなる時期に、ガラスの種類によって車内の紫外線強度がどの程度違うのかを検証した。 |
テスト内容 |
テスト車は下写真の4台(左から、直射日光をまともに受ける状態で比較用の「オープンカー」、UVカット機能のない「クリアガラス装着車」、約90%紫外線をカットする一般的な「UVカットガラス装着車」、近年採用され始めている約99%紫外線をカットする「スーパーUVカットガラス装着車」)とした。 テスト① 各車のガラス別の紫外線強度は?(UV計測器によるテスト) テスト② 各車の運転席(右側)の紫外線の強さは?
(UVラベルによるテスト) |
テスト結果
テスト① 各車のガラス別の紫外線強度は?(UV計測器によるテスト)
結果は上表のとおりで、フロントガラスは、オープンカー以外すべて数値が1桁以下と低かった。フロントガラスは約30年前にフィルムを挟んだ合わせガラスが義務化され、フィルムには紫外線をカットする機能も備わっているからである。
それ以外のガラスでは、UVカット機能の有無で差が出た。「UVカットガラス」が275μW/㎠以下だったのに対し、「クリアガラス」の前席やリアガラスは1,000μW/㎠ を超えた。一方、4カ所すべてで紫外線強度が低かったのが「スーパーUVカットガラス」で、すべて1μW/㎠以下と「99%紫外線カット」を裏付ける結果となった。
テスト② 各車の運転席(右側)の紫外線の強さは?(UVラベルによるテスト)
結果は上写真のとおりで、それぞれの車にラベルを腕に貼ったモニターに乗ってもらって色の変化を30分確認したところ、オープンカーは3分30秒、クリアガラスは16分30秒で赤く変化した。スタートから30分後、UVカットガラスはわずかに赤くなったが、スーパーUVカットガラスは色が変わらなかった。
補足 紫外線対策グッズの効果も検証
UVカット機能のないガラスで、紫外線対策グッズの効果も検証した。サンシェードは後部座席にしか使えないが、フィルムと液剤は前席でも使用できるものを使った。モニターの顔付近で使用前後の紫外線強度を計測した結果、上写真のように5~8割ほど減少した。
注意!
紫外線や日差し対策でスモークフィルムを貼る人もいるが、フロントガラスと運転席・助手席の側面ガラスは可視光線透過率が70%以上ないと違反になる。透過率はガラスとフィルムを合わせた数値なので、色の薄いスモークフィルムでも注意が必要。
まとめ
これらの結果の差が実際にどのように影響するのか、紫外線に詳しい神戸大学名誉教授の市橋正光氏によると、
「通常のUVカットガラスでも紫外線B(※)はかなりカットできるので、それほど日焼けを心配することはない。ただし、車の場合はドライブなどで長時間、紫外線A(※)を浴びる危険性がある。より多くの紫外線を長時間浴び続ければ、そのぶん紫外線による細胞遺伝子に対する傷が多くなり、活性酸素が生成され、シワやたるみなどの老化が促進されてしまう。それを防ぐには、よりUVカット機能の高い車に乗ったり、紫外線を防ぐ化粧品で防御することが大切である。」という。
自分の車のガラスを確認し、それに合わせた日焼け対策をすることが大切である。
- 紫外線A(UVA)はシワやたるみの原因に、紫外線B(UVB)はシミやソバカスの原因になる。
- 同じ車種でも、年式・グレードによって装着されるガラスが異なる場合があります。
- 季節や天候・時間、計測位置で紫外線強度は異なります。