ドライバーを眩惑する、強烈な日差しを遮る方法は?(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2022年8月4日(木)
テスト場所 日本自動車研究所 特異環境試験場(茨城県つくば市)
テスト背景 夕暮れ時は交通事故の発生が高まる時間帯と言われており、特に秋・冬の時期は太陽の位置が低く、西日が眩しく感じる時間が長くなる。
車を運転する際は日差しを遮る代表的なものに「サンバイザー」と「サングラス」があるが、サンバイザーを効果的に使っていないケースやサングラスの濃さによっては視認性を悪化させてしまうケースも考えられる。西日が正面から差し込んだ状態でドライバーはどの程度眩惑されるのか、また眩惑されないためには、どういう対策が有効なのか検証した。
テスト内容

西日を再現できる装置でテスト車を照らし、西日が当たる状態を再現した。テスト車両の前方に人に見立てたマネキンや信号機、対向車を置いて、それらが運転席から確認できるかを検証した。

西日などの逆光を再現できる日照装置
まっすぐ車に光を当てて、
西日が当たる状態を再現

Ⓐ日なたにいるマネキン Ⓑ日陰にいるマネキン Ⓒ横断歩道上にいるマネキン Ⓓ横断歩道の横にいるマネキン Ⓔ対向車(ヘッドライトオン) Ⓕ対向車(ヘッドライトオフ) Ⓖ信号機

テスト1 西日の眩しさによる視認性を検証

西日が正面から差し込んだ状態で、ドライバーはどの程度眩惑されるのかを検証。車に備え付けられたサンバイザーの使用有無で、テスト車両の前方に置いた対象物の視認性を比較した。また、西日が当たっていない状態(曇天時相当)でも視認性を確認した。

サンバイザーを使用して、前方にある対象物を確認
テスト2 西日が眩しい場合の対策は?

西日が当たって眩しいとき、どのような対策が有効なのかを検証。テスト1の西日が当たる状態で、可視光線透過率の異なる3種類のサングラスを使用して、視認性を調べた。

さまざまなサングラスを着用し、西日に対して有効なのかを検証

テスト結果

テスト1 西日の眩しさによる視認性を検証

西日が正面から差し込んだ状態で、ドライバーはどのくらい眩惑されるのかについて、以下のような結果となった。

西日が当たらない場合の見え方
西日が当たっている状態で、
サンバイザーを使わなかった場合の見え方
西日が当たっている状態で、
サンバイザーを使った場合の見え方
  • 直接ドライバーに西日が差し込んでいる場合は、ヘッドライトを点灯している対向車以外は、しっかりと確認できなかった。
  • サンバイザーを使用した場合は、視認性が向上するものの、上方にある信号機を視認することはできなかった。

テスト2 西日が眩しい場合の対策は?

西日が眩しい場合の対策として、可視光線透過率の異なる3種類のサングラスでどのように視認性が変わるのかを検証したところ、以下のような結果となった。※可視光線透過率が低いほどレンズの色が濃くなる

可視光線透過率15%のサングラスを
かけた状態での見え方
  • レンズの色が濃いサングラスは、可視光線を通しにくく、眩惑を抑えることに一定の効果があることがわかった。
  • 対象物EとFで比較すると、ヘッドライトを点灯している場合は、対向車からの視認性が高くなることが明らかとなった。

まとめ

  • サンバイザーは、物理的に西日を遮る方法で西日対策としては有効である。
  • しかし、上方の視界も遮ってしまい、標識や信号機など見落とす危険性もあるので注意が必要。
  • サングラスは、レンズの色が濃いほど眩惑対策として有効だが、日陰やトンネル内などにおいては見えにくいこともあり、危険を見落とす可能性がある。
  • 右左折する先の道路で、西日による眩惑によって事故に発展する可能性もあるため、事前に対策を講じることが重要である。

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