【結果報告】ロードキルに関するアンケート調査(2023年11月~12月)

お知らせ 鹿児島

2024年02月21日

”ロードキル”という言葉をご存じですか?ロードキルとは、広義には道路に関係する野生生物の事故のことを指し、交通事故のほかに側溝への転落死なども含まれます。ロードキルの中でも交通事故は全国各地で発生していますが、特に奄美大島・徳之島のみに生息する”アマミノクロウサギ”のロードキルは年々増加しています。

このような状況を踏まえ、JAF鹿児島支部は、「奄美ゼロードキルプロジェクト」と題し、環境省奄美野生生物保護センターの方々と、ロードキル(野生生物の道路上の交通事故)ゼロを目指し活動しています。その一環として、2023年11月から12月にかけて、ロードキルに関するアンケート調査を実施しました。アマミノクロウサギの生息する奄美大島や徳之島だけに限らず、両島以外にお住まいの方も回答できるよう設問を設定しました。この調査では、ドライバーに限らず、クルマに乗車する方々のロードキルの経験やその対策に対する意識に迫ることを目的としています。また、この活動がロードキルの認知度向上に繋がることも期待しています。今回はその結果をご報告します。

1.調査概要

調査期間:2023年11月1日~12月31日
調査対象:奄美大島・徳之島在住のかた、島外在住のかた
調査方法:インターネットによるオンラインアンケート(JAFホームページ「ご当地情報 鹿児島」)
※JAFホームページのみを活用
有効回答者数:7,828名(奄美大島・徳之島在住のかた168名、島外在住のかた7,660名)

2.調査結果

(1)運転中(または同乗中など)に、野生生物が道路に出てきて危ないと感じたり、ひいてしまった経験があると回答したかたは、奄美大島・徳之島在住(以下、島内)で34%、島外在住では54%になりました。島内だけでなく全国各地で、ご自身が危ないと感じたかたが多くアンケートに参加いただけたことが分かります。

(2)目にしたことがある野生生物のための交通事故対策としては、島内、島外ともに「警戒標識」がもっとも多く、島内で78.6%、島外で69.5%のかたが見たことがあると回答しました。そのほかにも道路標示板や看板などさまざまな対策がドライバーの目に留まっているようです。

(3)交通事故対策のある場所では、島内、島外ともに「減速して走行する」が81%でした。そのほかは、いつも通り走行するという回答や、注意して運転するが、減速まではしないという回答も複数ありました。

(4)野生生物の交通事故は、ドライバーが気を付ければ良いか、フェンスやアンダーパスなどの道路の改良が必要かという質問に関しては、意見が分かれました。島内では、ドライバー55%、道路改良38%、島外では、ドライバー50%、道路改良49%でした。

(5)島内在住のかたが、アマミノクロウサギの交通事故を減らすために有効だと考える対策は、減速帯18.5%、ウサギが道路に出てこないようにする17.9%、アンダーパス12.5%となりました。ドライバーが減速することはもちろんのこと、道路上にウサギが出現しない環境づくりも求められていることが分かります。

(6)島内において、アマミノクロウサギの交通事故を減らすために、すでに過半数のかたが実施していることは、看板がある場所などでは減速する、路肩に注意して走るでした。すでにアマミノクロウサギの生態や交通事故の原因について調べている、家族や友人とアマミノクロウサギの交通事故について話し合っているという回答の割合はそれぞれ、14.9%、16.1%と少なくなりました。しかし、今後やってみたい・続けてみたい対策としては、アマミノクロウサギの生態や交通事故の原因について調べる、家族や友人とアマミノクロウサギの交通事故について話し合うの割合が、27.4%、22.0%と増加しました。この調査がロードキルへ関心を持つきっかけになったのではないかと考えます。

(7)島外でも多くの方々にアンケートにご回答いただきありがとうございました。今回のアンケートはアマミノクロウサギのロードキルを無くしていくことが目標ですが、全国各地でロードキルの問題があり、野生生物の交通事故が減らせるような取組みにしていきたいと思います。