水深何cmまでドアは開くのか?(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2014年6月3日(火)
テスト場所 施工技術総合研究所 河床地試験場
テスト背景 ゲリラ豪雨や台風による道路の冠水が全国各地で多発しており、アンダーパス(道路の下をくぐる構造になっている立体交差)のような低い場所で車両水没被害が起きている。本テストでは、そのような状況を想定し、水圧の影響でドアが開くかどうかを検証しました。
テスト内容
  • セダンとミニバンの車両2台で、試験場のスロープ(角度5.7°)と平坦部分を用いて、水深別(30cm、60cm、90cm、120cm)に車内からドア※1開けのテストを行った。

セダン

ミニバン

  • 「後輪が浮いている状態」※2と「完全に水没した状態」で検証を行った。
  • 計測器を用いて、車外からドア※1開けに必要な力を計測した。同車両2台とも「通常の場合」と「水深60cm(水没状態)」でテストを行った。

※1 セダンは運転席ドア、ミニバンは後席スライドドアをテスト対象とした。
※2 セダンは水深60cmから、ミニバンは90cmから後輪が浮き始めた。

(セダン 水深120cm)

①後輪が浮いている状態

②完全に水没した状態

(ミニバン 水深120cm)

③後輪が浮いている状態

④完全に水没した状態

テスト結果

  • セダン、ミニバンともに「後輪が浮いている状態」では、車外の水位が高いためドアに外から強い水圧がかかり開けられなかった。
  • セダン、ミニバンともに「完全に水没した状態」では、車内外の水位差が小さくなり、水の抵抗で重いものの、どちらのドアも開けることができた。
  • ドアへの水圧によって、車外からドアを開けるのも困難になる場合がある。

ドア開けテスト結果表

車両 車の状態 水深
30cm 60cm 90cm 120cm
セダン
(前席ドア)
後輪が浮いている × × ×
完全に水没 △24
ミニバン
(スライドドア)
後輪が浮いている × ×
完全に水没 △55 △58 △40

すぐに開けられた
なんとか開けられた
(数字は開けるのにかかった秒数)
×開けられなかった

車外からドア開けテスト(計測器使用)

【セダン 運転席ドア】

水深60cmでは水圧の影響により、通常の5倍近くの力が必要になることがわかった(計測器を使った条件)

【ミニバン 後席スライドドア】

水深60cmでは男性の力でも外からスライドドアを開けることができなかった(計測器を使った条件)

まとめ

  • 水没時にドアも窓も開かない場合、車内外の水位の差が小さくならないとドアは開けることができない。
  • 車両が前傾して浮いている場合、後席のドアなど水圧の影響を受けにくいドアから脱出を試みる。
  • アンダーパスなどの周囲より低い道路では、水かさが急激に増えて水没車両から脱出することが困難になることもあるので、安易に冠水路には入らない。
  • 万が一に備えて、脱出用ハンマーを車内の手に届くところに常備しておくことが大切です。
  • 一部車種のドア(サイド)ガラスは、フロントガラスと同様に合わせガラスを採用しているため、割れない場合があります。