雪道でのタイヤチェーン、駆動輪以外に装着していませんか?(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2018年2月15日(木) |
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テスト場所 | 交通科学総合研究所(北海道士別市) |
テスト背景 | タイヤチェーンは駆動輪への装着が鉄則であるが、誤って駆動輪以外に装着してしまうケースがあることから、チェーンの装着位置の違いで登坂や旋回性能にどう影響するのかを圧雪路で比較検証した。 |
テスト内容 |
テスト車は前輪駆動車のトヨタ プリウスで、タイヤチェーンはノーマルタイヤに装着した。 テスト1 坂道(勾配12%)を上りきれるか?テスト2 旋回路(R=6m)に30km/hで進入し、パイロンに沿って曲がることができるか? |
テスト結果
テスト1 坂道(勾配12%)を上りきれるか?
タイヤチェーンをノーマルタイヤの前輪(駆動輪)に装着した場合は、チェーンが雪面をしっかりグリップし、スリップすることなく勾配12%の坂道を上りきることができた。
一方で、タイヤチェーンをノーマルタイヤの後輪(非駆動輪)に装着した場合は、坂道の途中でタイヤがスリップしてしまい、上りきることができなかった。
テスト2 旋回路(R=6m)に30km/hで進入し、パイロンに沿って曲がることができるか?
タイヤチェーンをノーマルタイヤの前輪(駆動輪)に装着した場合は、ドライバーのハンドル操作に合わせて車の向きが変わり、パイロンに沿って曲がることができた。
一方で、タイヤチェーンをノーマルタイヤの後輪(非駆動輪)に装着した場合は、ハンドルを左に切っても操舵輪である前輪が滑ってしまい、走行ラインは外側に大きく膨らんだ。
参考 前輪駆動車の場合、チェーンの誤装着で制動距離も延びた!
登坂と旋回テストに加え、参考までにブレーキテスト※も行った。
ブレーキは駆動輪だけでなく、4輪すべてに制動力がかかるため、チェーンの装着位置による影響はあまりないと思われたが、表のとおりタイヤチェーンをノーマルタイヤの後輪(非駆動輪)に装着した場合は、前輪(駆動輪)に装着した場合と比べて、約7mも制動距離が延びた。
ブレーキの際は前輪に荷重がかかり、前輪の制動力が重要になるため、テスト車のように前輪駆動車の場合、誤装着の影響が大きくなったと思われる。
- 平坦路で、40km/hから急ブレーキをかけ、制動距離を計測(ABS作動)
まとめ
タイヤチェーンは駆動輪に装着しないと坂道を上れないだけでなく、カーブで対向車線に飛び出すなど、重大事故につながる可能性があります。
タイヤチェーンの装着位置を車の取扱説明書で確認しておくことに加え、事前に装着する練習もしておきましょう。