大雪による車の立ち往生~車内環境の変化~(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2021年2月17日(水)~26日(金)
テスト場所 山形県
テスト背景 大雪で立ち往生し長時間を車内で過ごすようになった時、ガソリン車ではマフラー周辺が雪で埋もれることにより一酸化炭素中毒になってしまう危険性があるが、電気自動車だと車内環境にどのような影響があるのか。ガソリン車と電気自動車を比較し検証した。
テスト内容

テスト 雪で埋もれた電気自動車、車内環境の変化は?

テスト車としてガソリン車と電気自動車を各1台用意した。
2台ともエアダクトやマフラーの周辺が見えなくなるよう雪で埋め、
さらに車の周囲はドアハンドル付近の高さまで雪で覆った。
各車両とも内気循環でオートエアコンは25℃設定とし、テストは60分間おこなった。

ガソリン車:車内に排気ガスが流入することを想定し、乗員なし。一酸化炭素濃度と酸素濃度を計測した。
電気自動車:一酸化炭素中毒の恐れはないため、車内の運転席に1名乗車。眠気に影響があると言われる二酸化炭素濃度について、乗員の呼気による変化を計測し、体調も観察した。

雪に埋もれたガソリン車(左)と電気自動車(右)
計測中のテスト車内を観察

テスト結果

【ガソリン車】

一酸化炭素濃度は1分24秒で警報値の50ppmに到達。これは8時間以上その場に滞在すると人体に悪影響を及ぼすレベルとされている。一酸化炭素濃度はそのまま上昇を続け、テスト開始後18~50分の間は測定値上限の300ppmを記録した。一方で、酸素濃度は13分14秒で警報値(安全限界)の18%に到達し、その後も下降し続け、テスト開始後35分で13.2%まで下がった。

【電気自動車】

二酸化炭素濃度は人体へ影響があるとされる0.1%を超えず、乗員の体調変化も見られなかった。

※60分間のテストによる結果となります。

まとめ

  • ガソリン車は短時間で車内環境が悪化するため、適切な換気やエンジン停止、周囲の除雪が必要である。
  • 電気自動車は一見問題なさそうだが、車の周囲が雪で埋もれてしまうとドアが開かずに身動きが取れなくなったり、道路が通行可能になった場合など、すぐに車を動かせなくなったりすることも考えられるため、こまめな除雪は欠かせない。
  • 電気自動車、ガソリン車ともに、降雪地域へ行く場合は万が一の状況に対応できるよう、除雪用のスコップや防寒具などを車内に備えておくとよい。