雪道での登坂テスト(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2017年2月12日(日)
テスト場所 交通科学総合研究所(北海道士別市)
テスト背景 雪がほとんど降らない地域では、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを持たないユーザーが多い。
そのため、降雪時の坂道をノーマルタイヤで走行する車によるスリップ事故や立ち往生による渋滞が発生している。
そこで、圧雪路や氷盤路で坂道を上れるかをタイヤ種類別に検証した。
テスト内容

圧雪路の坂道(勾配12%および20%)を上れるか、6種類のタイヤ(すべて新品)で検証した。
各勾配で「平坦路から発進した」場合と、「坂道の途中から発進した」場合でテストした。
また、圧雪路とは別に、氷盤路の坂道(勾配9%)でも、スタッドレスタイヤとスタッドレスタイヤ+チェーンで、「平坦路から発進した」場合のテストを行った。

  • 圧雪路とは、雪が踏み固められた状態の路面
  • 氷盤路とは、凍結した路面(アイスバーン)
  • 車両は前輪駆動のコンパクトカー
  • 坂道は全長50m
  • テストはそれぞれ3回実施

①ノーマルタイヤ
雪道以外で使用する一般的なタイヤ
(夏タイヤ)

②スタッドレスタイヤ
特殊なゴムと溝をもつ
雪道・凍結路用のタイヤ

③オールシーズンタイヤ
降雪時など、季節を問わず
走行できるタイヤ

④ノーマルタイヤ+チェーン
テストで使用したのは、
一般的な非金属タイプ

⑤ノーマルタイヤ+オートソック
タイヤに被せる
特殊繊維製の緊急用滑り止め

⑥ノーマルタイヤ+スプレーチェーン
特殊な液剤をタイヤに
塗布する緊急用滑り止め

テスト結果

結果は上記の表のとおり。

【勾配12% 圧雪路】

  • 平坦路からの発進では、ノーマルタイヤだけがスリップしてタイヤが空転してしまい、坂道を上れなかった。
  • 坂道の途中から発進するテストでは、スタッドレスタイヤとチェーン、オートソックは上れたが、ノーマルタイヤとオールシーズン、スプレーチェーンは上れなかった。

【勾配20% 圧雪路】

  • 平坦路からの発進で坂道を上れたのはスタッドレスタイヤのみで、他のタイヤは少し上れても、すぐにスリップしてしまい、坂道を上れなかった。
  • ただし、スタッドレスタイヤであっても坂道の途中から発進した場合(勾配20%)では、スリップしてしまい、坂道を上れなかった。

【勾配9% 氷盤路】

  • アイスバーンと呼ばれる滑りやすい路面だったため、スタッドレスタイヤでも上れなかったが、スタッドレスタイヤにチェーンを装着すると、坂道を上ることができた。

まとめ

  • ノーマルタイヤは、雪道の勾配12%の坂道でさえ上れないため、雪道ではスタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着する。
  • スタッドレスタイヤは、他のタイヤと比べて登坂性能は高いものの、雪や雨が降ったあとの凍結路面などではその限りではないので、注意が必要である。