駐車支援機能はどこまで使えるのか?(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
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実施日2023年2月2日(木)、2月3日(金)
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テスト場所日本自動車連盟(JAF)中央研修センター(東京都多摩市)
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テスト背景近年、駐車時の運転操作を支援する駐車支援機能(以下、パーキングアシスト)が普及しつつある。しかし、そのパーキングアシストがどういった環境下で作動するのか、障害物があっても回避できるのかなど、詳しい内容について知らずにパーキングアシストを使用している人も少なくない。そこで今回のユーザーテストでは、パーキングアシストがどれくらい早く、正確に駐車できるのかを検証し、またさまざまな条件下でも機能して安全に駐車できるのか検証した。
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テスト内容
テスト車両は、トヨタノアを使用。アドバンスト パークを使って検証した。
テスト車両
ディスプレイをタッチして操作する
パーキングアシストテスト1 駐車が苦手なドライバーとパーキングアシスト、JAFインストラクターで最もスムーズに駐車できたのは?
車庫入れや縦列駐車に苦手意識をもつドライバー(以下、モニター)、パーキングアシスト、JAFインストラクターの3パターンで車庫入れ・縦列駐車に要した時間と切り返し回数を計測した。
JAFインストラクター、モニター
パーキングアシストがついたテスト車両車庫入れで使用した駐車スペースと
車庫入れの流れ縦列駐車で使用した駐車スペースと
縦列駐車の流れテスト2 パーキングアシストに限界はあるのか?
駐車スペースに障害物があったり、駐車する際に歩行者が車の近くを通行するなど、駐車をしている際に起こりうるシチュエーションを再現した。それぞれの条件下でもパーキングアシストは作動し、安全に駐車することができるのか検証した。
さまざまな条件
・駐車スペース後方に障害物がある場合(花壇)
・駐車スペース中央に障害物がある場合(三輪車)
・駐車する際に歩行者が車両に接近した場合
・駐車する際に後続車が接近してきた場合
・駐車する際に隣の車のドアが開いた場合
・駐車スペースから離れた場所で機能を使用した場合
・駐車スペースの白線が消えかかっている場合
テスト結果
テスト1 駐車が苦手なドライバーとパーキングアシスト、JAFインストラクターで最もスムーズに駐車できたのは?
モニター、パーキングアシスト、JAFインストラクターの3者が車庫入れ・縦列駐車をおこない、駐車にかかった時間と切り返しの回数に関して、以下のような結果となった。
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- モニターはJAFインストラクターの倍以上の時間を要したものの、パーキングアシストを使えば、インストラクターに迫る速さと正確性で駐車できた。
- テスト後、モニターから「自分でハンドルをを慎重に切っていた場面でも、パーキングアシストでは迷いなく素早くハンドルを切っていた。駐車は特に苦手と感じているので、駐車を車に任せられるのはありがたい」とのコメントがあった。
テスト2 パーキングアシストに限界はあるのか?
さまざまな条件下でもパーキングアシストは作動し、安全に駐車することができるのか検証した結果、以下のようになった。
※テスト結果は、車両や駐車環境、周辺状況、天候条件によって変わる可能性がある。
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- ○:すべてのテストで障害物を認識し、停止した。
- △:障害物や状況を認識できたり、できなかったりするケースがあった。
- ー:パーキングアシストの作動を試みるが、画面上で駐車スペースを認識できず、パーキングアシストを開始できなかった。
・駐車スペース後方に障害物がある場合(花壇)
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駐車スペース後方
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駐車スペース前方
機能は作動した。障害物を認識し、駐車スペースから車両の前部分が出た状態で駐車した。
・駐車スペース中央に障害物がある場合(三輪車)
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機能は作動した。
三輪車の位置によっては障害物と認識できず、衝突被害軽減ブレーキが作動しないこともあった。
※接触しそうになったため、ドライバーがブレーキを踏んで停止させた。
・駐車時に歩行者が車両に接近した場合
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駐車スペース前方から接近した場合
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駐車スペース後方から接近した場合
どちらの場合も機能は作動した。
駐車スペースの後方から歩行者が接近した場合は、衝突被害軽減ブレーキが作動し、再度パーキングアシストによって駐車をすることができた。
一方で、駐車スペースの前方から歩行者が接近した場合も衝突被害軽減ブレーキが作動したが、パーキングアシストが再開しないことがあった。
・駐車をする際に後続車が接近してきた場合
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機能は作動した。
接近してきた後続車の存在で、パーキングアシストが機能するスペースがないとシステムが判断し、途中で機能が中断することがあった。
・隣の車のドアが開いた場合
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機能は作動した。
パーキングアシストで駐車スペースをある程度後退した際にドアが開いたときは、衝突被害軽減ブレーキが作動しないことがあった。駐車スペースに進入するあたりからドアが開いていれば、衝突被害軽減ブレーキが作動した。その際、切り返しを何度かおこなったものの、パーキングアシストで駐車することができた。
※接触しそうになったため、ドライバーがブレーキを踏んで停止させた。
・駐車スペースから離れた場所で機能を使用した場合
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パーキングアシストで駐車スペースをギリギリ認識できる位置を調査した。その結果、今回の検証では、駐車スペースから3m離れた位置で機能を開始させようとすると、ディスプレイ画面上で駐車スペースを認識・選択することができず、機能を作動させることができなかった。
・駐車スペースの白線が消えかかっている場合
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ディスプレイ画面上で駐車スペースを認識・選択することがなかなかできず、4度目で初めて認識・設定でき、パーキングアシストによって駐車をすることができた。しかし、白線が明瞭な場合と比べ、斜めに駐車する結果となった。
まとめ
- パーキングアシストは、駐車に慣れているドライバーと同程度の速さと正確性で駐車をすることができた。
- 駐車時に歩行者が車両に接近してきた場合や隣の車両のドアが開いた際など、いくつかの条件下ではパーキングアシストが正しく機能しないことがあるため、あらかじめその車両の取扱説明書をよく読んでから使用することが大切である。
- ドライバーは、パーキングアシストの機能の限界や注意点を正しく理解し、機能を過信せず、責任を持って安全運転をおこなう責任がある。
- パーキングアシストが作動中であっても、常に目視やミラー、モニター等で周囲の安全を確認し、危険があればいつでも車を止められるようにしなければならない。