バックカメラに死角はないのか?(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2022年2月25日(金) |
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テスト場所 | 彩湖・道満グリーンパーク(埼玉県戸田市) |
テスト背景 | 近年、車両後方のリアウィンドウからでは見えない死角を映すバックカメラが主流となり、2022年5月からは新型車においてバックカメラの装備が義務化される。後退時には役立つ機能となるが、バックカメラを注視するあまり目視やミラーでの確認が不足してしまう可能性もある。そこで、バックカメラで見える範囲を把握し、有効性と注意点について検証した。 |
テスト内容 |
テストドライバーは30代男性、テスト車にはミニバンタイプの車両を使用した。 テスト1 車両の後方と側方を中心に見える・見えないを確認テスト車の後方と側方の周辺に歩行者や障害物に見立てたマネキン(170cm/150cm/80cm)とパイロンを以下のように配置した。 その状態で、ドライバーにはテスト車の運転席から、バックカメラ、目視、左右ドアミラーとルームミラーの各ミラーをとおして車両周辺を確認してもらい、マネキンとパイロンが見えるか、見えないかを検証した。 テスト2 後退時にバックカメラで横切るものが見えた場合、停止できるかを検証駐車枠から車が出庫する場面を想定し、ドライバーはバックカメラを注視しながら後退。 |
テスト結果
テスト1 車両の後方と側方を中心に見える・見えないを確認
バックカメラでは、車体の真後ろに置いたものや真後ろで遠くにあるものを見ることができた。三輪車や子どもといった背丈の低いものは、目視、各ミラーでは見ることができないため、バックカメラの効果を示している。
反対に、車体近くにあるものや側方のものはバックカメラで見ることができない。バックカメラで見えない箇所については、目視や各ミラーだと見えている場合があるため、ドライバーがバックカメラ、目視、各ミラーを使い分けることで、さらに死角を減らすことができる。
テスト2 後退時にバックカメラで横切るものが見えた場合、停止できるかを検証
アクセルの踏み込み有無に関わらず、ドライバーはバックカメラで横切るボールを視認しておりブレーキを踏んでいたが、アクセルを踏む場合だとブレーキが間に合わず、ボールに衝突してしまうことがあった。車体の後方を横切る歩行者や自転車がいる時、バックカメラを注視しながらアクセルを踏んで後退していると、衝突を回避することができない可能性が示唆された。
まとめ
- バックカメラは車体の真後ろにある背丈の低いものをいち早く発見するためには、目視、各ミラーよりも有効であり、後方の安全確認の際には非常に役立つ機能である。実際、後方にいる小さい子どもに気づかず後退し、ひいてしまうという悲惨な事故が後を絶たないので、安全確認のためにも死角を映すバックカメラを積極的に活用したい。
- ただし、バックカメラだけでは見えない箇所もあるため過信はできない。後退時に潜む危険は後方だけとは限らないので、バックカメラに加えて、目視、左右サイドミラー、ルームミラーによる安全確認も励行したい。
- また、バックカメラで後方を横切る歩行者や自転車の存在に気づいたとしても、アクセルを踏んで車を後退させているとブレーキが間に合わず衝突してしまう可能性もある。後退時は周囲の安全を十分に確認したうえで、車ゆっくり進めることを意識したい。AT車の場合はクリープ現象を活用すると良い。
もっと知りたい
カメラであるがゆえの注意点
たとえば、雨によりカメラのレンズに水滴がついたような場合だと、その水滴でモニターに映る映像が見えにくくなってしまうことがある。雨が降っている際はもちろんのこと、雨上がりに運転する際は、乗車前にバックカメラに水滴や汚れがついていないか確認したい。また車種によっては、夜間に映像が乱れて見えづらくなることもあるので注意。
四方の死角を映す「全方位モニター」
メーカーによって呼び方は変わるが、ドアミラーやフロントグリルにあるカメラで車の死角をさらに減らしてくれる「全方位モニター」。装備されていれば積極的に活用したい。
JAF Mate Onlineでも「JAFユーザーテスト」についての検証結果を掲載中!
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