冠水路走行テスト ~電気自動車(EV)・ハイブリッド車(HV)・ガソリン車で検証~(JAFユーザーテスト)
テスト実施日・諸条件
実施日 | 2024年10月28日(月)~10月30日(水) |
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テスト場所 | 株式会社ジェイテクト 伊賀試験場(三重県伊賀市) |
テスト背景 | 近年、日本では台風や豪雨などによる道路冠水被害が増加している。2019年、台風19号により、関東地方では首都高速道路のアンダーパスや都心部の地下道が冠水し、車両が立ち往生する被害が相次いだ。特に電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の普及が進む中、道路冠水時におけるこれらの車両の走行性能や安全性について検証した。 |
テスト内容 |
使用車両電気自動車(EV)・ハイブリッド車(HV)・ガソリン車(軽自動車) ![]() 水深や速度の違いによる冠水路走行の挙動を検証した
水深:30cmと60cm ![]() なお、いずれもプロのスタントマンが運転し、一定の条件で走行できるようにした |
テスト結果
テスト結果表 水深30cm
水深 | 速度 | 車種 | 結果 |
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30cm | 10km/h | 電気自動車(EV) | 走り切ることができた |
ハイブリッド車(HV) | 走り切ることができた | ||
ガソリン車 | 走り切ることができた | ||
30km/h | 電気自動車(EV) | 走り切ることができたが、車体下部のアンダーカバーが外れた ボンネット内部に水が浸入 |
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ハイブリッド車(HV) | 走り切ることができたが、 右後輪のホイールカバーと左前の牽引フックが外れた ボンネット内部に水が浸入 |
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ガソリン車 | 走り切ることができたが、車内とボンネット内部に水が浸入 |
水深30cm・30km/hのテスト動画
テスト結果表 水深60cm
水深 | 速度 | 車種 | 結果 |
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60cm | 10km/h | 電気自動車(EV) | 走り切ることができた |
ハイブリッド車(HV) | 走り切ることができた | ||
ガソリン車 | 走り切ることができたが、エアクリーナーの一部が濡れていた | ||
30km/h | 電気自動車(EV) | 走り切ることができたが、複数の警告灯が点灯した | |
ハイブリッド車(HV) | 走り切ることができたが、エアクリーナーが完全に濡れていた | ||
ガソリン車 | 走り切ることができたが、エアクリーナーが完全に濡れていた 車内に水が大量に侵入した |
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40km/h | 電気自動車(EV) | 走り切ることができたが、複数の警告灯が点灯した | |
ハイブリッド車(HV) | 走り切ることができたが、冠水路走行後にエンジンが停止した 複数の警告灯が点灯した |
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ガソリン車 | 走り切れずに28.5m地点で停止した 車内に水が大量に浸水した |
水深60cmのテスト動画
まとめ
- 走り切れたケースでもボンネット内部や車内に水が浸入したケースが多くあった。
- 電気自動車(EV)について、モーターは止まらなかったが、複数のシステム故障の警告が表示された。「エンジンがないから大丈夫」と安易に冠水路に進入するのは危険。
- 速度が高くなると巻き上げる水の量が多くなるため、エンジンルームに水が入りやすくなり、エンジン停止のリスクがある。ハイブリッド車(HV)もエンジンを搭載しているため、同様のリスクがある。
実際の冠水路の場合、濁っていることが多く見た目では水深を判断することが難しい。
また、マンホールが開いていることや見えない側溝などさまざまな危険があり、たとえ浅く見えても進入するのは大変危険。
豪雨時は冠水しやすい場所を通らないように、遭遇した場合は安易に進入せず可能な限り迂回しよう。