見えない、止まれない! 路上寝こみ事故(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2025年8月20日(水)~8月21日(木)
テスト場所 一般財団法人 日本自動車研究所(茨城県)
テスト背景 路上に寝そべった状態で車にひかれる事故、いわゆる「路上寝こみ・路上横臥(おうが)事故」。2024年には年間311件発生、その内なんと100人が死亡しており、事故の3割が死亡事故に至っている。そのほとんどは夜間に発生し、ドライバーの発見が遅れたり、人と思わずにひいてしまうケースが多いという。年末年始の飲酒の機会が増えるタイミングにあわせて夜間路上に寝そべった人の見え方を検証した。
テスト内容
  • 3名のモニター(20代・40代・60代)
  • 夜間にテストコースを時速60kmで周回してもらい、途中に設置しているマネキンに気づくことができるかテスト
  • ロービーム・ハイビームでそれぞれ実施し、停止できた距離からマネキンまでの距離を測定

なお、モニターにはテスト趣旨の詳細は伝えず、普段通り運転してもらった。

設置したマネキン
日常的に運転をするモニターを選定

テスト結果

ロービーム

40代モニター以外は手前で停止することができたが、いずれも直前であった。

ハイビーム

全モニターがロービームよりハイビームのほうが手前で停止することができた。
40代モニターもロービームより遠くから、はやめに発見することができたと答えている。

各モニターからの感想抜粋

  • 60歳代モニター(ロービーム)
    最初は何か黒い毛布のような物があると思った。マネキンであると気づくにはもう少し近づく必要があった。確認が遅れていたら間に合わなかったかもしれない。
  • 40歳代モニター(ロービーム)
    ひいてしまった後でも何が起こったのか分からなかった。まったく見えていなかった。思い返してみると人の形のようなものがあったかもしれない。
  • 20歳代モニター(ロービーム) 
    暗闇と同化していて何か分からなかったが、近づくと物のようなものが見えたのでブレーキを踏んだ。

テスト結果の動画はこちら

まとめ

  • ハイビームのほうが早めに対象を発見することができ、ロービームよりも手前で停止することができた。夜間は前走車や対向車に配慮をしたうえでハイビームを積極的に活用し、対象を早めに発見する心がけが必要である。
  • ドライバーが横たわっているマネキンを「マネキン」や「人間」と認識するのは状況によっては難しいことがあった(黒い毛布や水たまりのような何かがあると思った、まったく見えていなかったなど)。ハイビーム・ロービームに限らず、照射範囲内で止まれる速度で走行することが大切。
  • このような事故形態は、実際に年間約300件発生しており、そのうち約3割が死亡事故となっている。また、その多くが飲酒状態(路上寝こみ者)で発生している。