ASVに関するQ&A(先進安全自動車(ASV)の紹介)

ASV(先進安全自動車)全般に関するQ&A

Q1.ASVを運転するときは、事故回避を機械システム任せにしても良いのですか?

A.

現在のASVは「ドライバー支援」の考え方に則り設計されています。システムの限界性能を越えているときや、天候や道路状況、タイヤの磨耗状態、センサーの汚れなど、さまざまな要因で作動状況が異なってきます。ドライバーはシステムを過信せず、つねに自らの責任で周囲の状況を把握し安全を確保することが大切であり、また、走行前には必ず取扱説明書でシステムの特徴・操作方法・注意事項を確認しておく必要があります。

Q2.ASVは自動運転に発展していきますか?

A.

現在のASVは、運転支援技術をより高度化しながらも、緊急時はドライバーが操作することを前提としています。ドライバーが不要の完全な自動運転は、現在研究開発がすすめられていますが、国際的な基準を変更する必要があり実現までの道のりには解決すべき課題がまだまだ多いと言われています。

Q3.ASV各機能の名称が分かりづらいのですが

A.

ASV各機能の名称が分かりづらいのですが呼び名の分かりづらさは、JAFにも多くのご意見が寄せられています。JAFが自動車ユーザーにアンケートを実施した結果では、現在新型車に装着が義務化されているESC(横滑り防止装置)でも、認知度は半数以下の45%でした。この理由の一つは、同じ機能でもメーカーごとに別の呼び名があることです。例えばESC(横滑り防止装置)は、トヨタではVSC、日産ではVDC、スズキではESPなどです。アンケートでは統一を望む声が多数聞かれました。ABSのように共通にしていくことが望まれます。

アンケートは2014年4月~6月に実施。回答数は240名。

Q4.各機能のオンオフはできますか?

A.

機能により任意でオンオフの切り替えが可能です。任意でオンオフの切り替えができる機能では、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報装置があります。一方、ESC(横滑り防止装置)はユーザーによってオフにできない車種が多くなっています。また、使用するときにドライバーがオンにする装置としては、車間距離制御装置(ACC)や自動切替型前照灯が挙げられます。天候や路面状態などによって使用が推奨されない状況以外では、安全のためにできるだけオンにすることをお勧めします。

Q5.衝突被害軽減ブレーキやACCを今、乗っている車にあとから取り付けすることはできますか?

A.

センサーなどさまざまな電子制御と連動し、システムも複雑なため、現状ではあとからの取り付けは不可能といってよい状況です。参考までに、安全運転支援機能を組み合わせたドライブレコーダーが販売されています。これは衝突や車線はみ出しの危険がある場合は、警報を発し、注意喚起してくれるものです。ただし、ブレーキ操作など運転操作はドライバー自身で行う必要があります。

Q6.ASV購入時の税金などの優遇措置はありますか?

A.

トラック、バスについては重量税、自動車取得税の軽減措置がすでに導入されています。しかしながら、乗用車については優遇措置は実現していません。自動車ユーザー団体であるJAFはASVの普及を促進するため税制上の優遇を引き続き要望していきます。

Q7.安全装備であれば、なぜ義務化されないのですか?

A.

ESC(横滑り防止装置)が2012年10月からの新型生産車(フルモデルチェンジした車:軽自動車除く)に装着が義務付けられたように、今後順次導入が進められていく流れが考えられます。現在、衝突被害軽減ブレーキは、米国運輸省(NHTSA)が「自動ブレーキの装着を推奨する」として将来新車評価プログラム(NCAP)に導入する計画であり日米欧のメーカーの多くが同意しています。このため同装置の標準装備化が加速する可能性があります。ただし、その分のコスト負担は最終的にユーザーの負担につながりかねない面があり、安全性と費用のバランスをどのようにはかるかといった課題があります。ユーザーにとっては、前述の税金の優遇措置などの実現が望まれます。なお、衝突被害軽減ブレーキは、大事故につながりやすいトラックなどには、日本でもすでに装着が義務化されています。対象は車両総重量3.5t超の新車のトラックと乗車定員10人乗り以上のバスです。

衝突被害軽減ブレーキQ&A

Q1.停まらないときは、どんなときが考えられますか?

A.

対象物との距離と速度の関係はもちろんですが、対象となるものが車ではなく、人や二輪車など小さいものである場合は認識できないこともあります。また、急カーブであったり、路面状況やタイヤの残り溝、天候などによる見通しの悪さ、荷物や乗員数などさまざまな要因で停まれないことがあります。その名のとおり、被害を軽減してくれる補助的装置として考えることが大切です。

Q2.センサーの種類と特徴は?

A.

  • レーザーレーダー(赤外線レーザー)方式は低コストで導入できますが、検知できる範囲(距離、幅)がやや狭いことが欠点です。光学式カメラと組み合わせて使用する車種もあります。
  • カメラ方式は、人間の目に近い特性があります。カメラで認識できるものであれば車だけではなく自転車や人など小さい対象物でも認識できます。反面、ガラス面の汚れや天候条件、逆光などにも左右されます。
  • ミリ波レーダー方式はカメラ方式に比べ、遠くの対象物を認識でき、悪天候にも強い反面、対象物が小さくレーダーを反射しにくいものは認識できない場合があります。

Q3.警報のタイミングを変更することはできますか?

A.

メーカーや車種によって、距離を数段階に切り替えできるものもあります。

Q4.急にブレーキが作動するなどの誤動作の可能性は?

A.

過去にはミリ波レーダーが乱反射し、前走車ではなく別の対象物を認識することによって誤動作が発生し、必要のない場所でブレーキがかかるという事例がありました。しかし、現在はメーカーによる改良や光学式カメラとの併用などにより精度は向上しています。また、減速しないでETCゲートに近づいたときや、車間距離が短いとき、急激に勾配が上る道路でも作動する場合もあるので、注意が必要です。

Q5.夜間と日中では障害物を認識できる精度は変わりますか?

A.

ミリ波レーダーや赤外線レーザーを使用したものは変化はありません。光学式カメラを使用したものにおいてもヘッドライトの照射範囲であれば夜間でも障害物を認識します。

Q6.自動ブレーキ中に間違ってアクセルを踏んでしまったり、ドライバーがブレーキを踏み足した場合はどうなりますか?

A.

ドライバーからの動作介入があった場合のメーカーによって考え方が違うためドライバーと装置のどちらを優先させるかはさまざまです。例えば、システムはアクセル操作に対し、自動ブレーキを優先させますが、アクセルの踏み方が強くなると自動ブレーキを解除する場合や、ハンドル操作やブレーキ操作をドライバーによる回避操作と認識し、自動ブレーキを解除する場合があります。ドライバーは必ず取扱説明書など内容を確認しておくことが大切です。

ペダル踏み間違い時加速抑制装置(誤発進抑制制御機能)Q&A

Q1.この機能と衝突被害軽減ブレーキでは、使うセンサー類が違うのですか?

A.

車種、システムなどによって異なります。同じセンサーを使用する車もあれば、ソナーセンサー(超音波センサー)を使用して近くの障害物や建物、他の車両を認識している車もあります。

Q2.この機能が作動後、ドライバーがそれでも気付かず、いつまでもアクセルを踏み続けた場合は、機能が解除されて暴走することはありませんか?

A.

車種にもよりますが、この機能は警告音やディスプレイ表示とともにエンジン出力を数秒間抑制し、その間にドライバーに誤発進の危険があることを知らせる目的で設計されています。

数秒間、エンジン出力が制限された後は機能がオフになるものやじょじょに解除されるものがあります。ドライバーは、誤発進に気付いたらすぐさまアクセルペダルを離して、すみやかにブレーキペダルに踏み変える必要があります。

Q3.踏切の遮断機を障害物と認識して、機能が働き、踏切から出られないことは?

A.

仮に、踏切内を走行中に前方の遮断機バーが降りてしまい、そのバーを障害物として認識してしまった場合であっても、あわてずスイッチ操作で機能の働きをオフにするか、いつもの発進操作と同じようにアクセルペダルを踏み続ければ数秒後には発進できる車もあります。車種によっては、アクセルペダルを踏んだり離したりをその場で繰り返すことで機能が素早く解除され、いつも通りの発進ができるものもあります。

ごくまれに、バーの降りていない遮断機を障害物として認識して動けなくなる可能性が考えられます。その場合は、あわてずドライバーがスイッチ操作を行い機能の働きをオフにするか、そのまま発進に適正ないつも通りのアクセルペダルの操作を続け、機能が解除されるのを数秒間、待つことで発進できる車もあります。

このように、機能の働きや機能をオフにする方法は複数存在しています。いずれの場合でも、万が一の状況に備えて、働きをオフにする操作方法を車載の取扱説明書で確認してください。

Q4.ガラスなど透明なものでも認識しますか?

A.

センサーによっては認識できない場合があります。ただし、ガラス越しにものが置いてあると認識できる場合があります。

Q5.障害物があるのにセンサーが働かない場合はどのような場合がある?

A.

低い位置の障害物や正面にはない障害物などには、センサーの認識エリア範囲外となってしまうため働かない場合があります。

また、この機能は、おおむね時速10km以下で正しく働く機能です。自車の走行速度が稼働可能な速度よりも速いと正しく機能しません。さらに、ウィンカー操作やハンドル操作をしているときにも機能が働かない場合があります。

極端な悪天候時やセンサーが汚れている場合には機能が一時的にオフになる場合があります。したがって、泥はねの多い悪路や、雪の付着が想定できる降雪時には機能が一次的にオフになることを想定し、注意して運転しましょう。

さらに、光学式カメラのうち一部のセンサー方式では、夜間であったり、照明が極端に弱い地下駐車場では光量が足りずに正しく働かない場合があります。また強い逆光をまともにセンサーが受けたときにも機能が正しく働かない場合があるので注意しましょう。

Q6.障害物を認識している状況であっても車止めがない場合は、ゆっくり動いて衝突するのですか?

A.

センサーが正しく障害物を認識している場合は、ブレーキ操作を促す警報ブザーやディスプレイ表示などとともに出力が制限され、人が歩くような速度でゆっくり進みます。

このままドライバーが警報ブザーやディスプレイ表示に反応せずアクセルペダルを踏み続けた場合、車種によっては衝突の直前に自律自動ブレーキ制御が行われるものもあります。しかし、警報ブザーやディスプレイ表示によってブレーキ操作が促されているにも関わらず、ドライバーが意図的にアクセルペダルを踏み続けた場合には、その踏み続ける時間や障害物の認識具合に応じて機能が解除され、ドライバーのアクセル操作が優先されて勢いよく発進してしまうことがあります。

この機能は車種やセンサーの種類によって作動条件が異なっており、さらにはドライバーの運転操作によっては、正しくセンサーが認識できる状況であっても、ドライバーの運転操作が優先されることがあります。詳細は車載の取扱説明書で確認してください。

Q7.この機能を使って走行状態から停止できるのは時速何kmまで?

A.

この機能を使って停止できる速度は限られており、多くの車で時速10km以下までとされています。車種によっては、最終的に自律自動ブレーキ制御が働きますが、路面に砂利が浮いていたり、凍結していたりするなど滑りやすい状況では自律自動ブレーキ制御が働いたとしても止まりきれないことがあります。

また、別の機能である「衝突被害軽減ブレーキ」を同時に搭載している車種の場合で、いくえにも設定されている両機能の作動条件が合致した場合に限って、時速10km以上の速度域で衝突被害軽減ブレーキ機能が働く場合が想定されますが、衝突被害軽減ブレーキの作動する下限速度にも条件があるため、すべての車種でこの機能と衝突被害軽減ブレーキが正しく連携するとは限りません。

また、正しくセンサーが認識できる条件であっても、ドライバーがアクセル操作やハンドル操作など回避動作を行うと、衝突被害軽減ブレーキの最終段階で働く自律自動ブレーキ機能は働かず、その前段階でのドライバーにブレーキ操作を促す警報ブザーやディスプレイ表示に留まることも想定されます。したがって、両機能を搭載している車両であっても、必ず連携するとは考えずに、正しい運転操作を心掛けてください。

Q8.何メートル先の障害物まで認識できますか?

A.

この機能によって障害物を認識できる距離は、車や使用するセンサーによって異なります。短い場合、2~3mまでとされている車もあります。

Q9.霧や煙に反応することはありませんか?

A.

光学式カメラを使用している場合、極まれに濃霧や煙に反応することがあります。悪天候や煙が確認できた場合は、スイッチ操作によりドライバーが一次的に機能をオフにしましょう。

車間距離制御システム(ACC)Q&A

Q1.クルーズコントロールとの違いは何ですか?

A.

クルーズコントロールはドライバーが設定した一定速度で車が自動的に走行する機能です。ACCはこれが発展したもので、ドライバーが設定した速度内で前の車に合わせてアクセル、ブレーキ操作してくれる装置です。

Q2.前走車との車間距離はつねに一定ですか?

A.

ACCの設定速度が速くなるほど、車間距離は広くなるよう調整されます。ここでいう車間距離は車間時間とも言われます。車間時間とは前走車の位置に自車が移動に要する時間です。ドライバーが車間時間を3~7段階などに任意に設定することができます。交通量が少なく見通しの良い高速道路では車間時間を長めに設定したり、交通量の多い高速道路では、割り込みを防ぐために短めに設定することが可能です。

Q3.急な割り込みのときはどうなりますか?

A.

自動ブレーキにより車間距離を拡げようとしますが、必要に応じてドライバー自身でブレーキ操作をする必要があります。車種によってはシステムでの減速では不十分と判断した場合、ドライバーによる踏み増しの警告を発するものもあります。

Q4.ACCで確保する車間距離は安全ですか?

A.

ACCでは、前走車の位置に自車が到達する時間を基準に車間距離を決めています。この車間距離を3段階で設定できる車種の場合、中間の設定で車間時間は1.6秒~1.9秒となり、これを車間距離にすると時速80kmで35m~42m相当になります。一般的に推奨車間距離はさまざまな考え方があります。ドイツ・アメリカ・イギリスなどの先進国では2秒ルールを推奨しており、日本では「ゼロ・ワン・ゼロ・ツー」などでカウントする方法が知られています。また、時速30km~60km位の場合は時速から15を引いた車間距離を推奨する例もあります。いずれにしても、速度や路面状況により適切な車間距離を判断することがドライバーには求められます。ACCをオンにしている状態であったとしてもつねにドライバーは前方を注視し、いざというときは、ドライバー自身で危険からの回避操作をすることが必要です。

Q5.ACCによって速度が落ちるときはブレーキランプが点灯しますか?

A.

ブレーキが作動して減速したときは、通常と同様にブレーキランプが点灯します。 詳しくはメーカーの取扱説明書を確認してください。

Q6.設定速度の上限・下限はありますか?

A.

国産車では法定速度の上限時速100kmが上限の目安とされています。下限速度は時速30km~40kmが目安です。

Q7.一般道での使用をすすめていない理由は?

A.

ACCのセンサーは車両の前方に向けてセットされています。交通量が多い一般道路で車間距離を十分に確保できない状況で、となりの車線から急に割り込まれた場合、ブレーキ制御が遅れることがあります。また、センサーのタイプによってはバイクや自転車の検知ができない場合があるため、一般道での使用は控えるようにしましょう。(全車速において追従できる車種もありますが、一般道での渋滞を想定したものでは ありません。スバルレヴォーグ取扱説明書より)

Q8.ACCと衝突被害軽減ブレーキはどこが違うのですか?

A.

ACCは前走車との車間距離を保つ「運転をサポートする機能」であるのに対し、衝突被害軽減ブレーキは「被害を軽減する機能」のため作動内容に大きな違いがあります。ACCシステムは国土交通省によって減速度(ブレーキ制御)の上限値が定められています。また、ACCは高速道路などでの使用を前提としたセンサーの認識範囲になっているので、衝突被害軽減ブレーキとは作動内容や条件が異なります。もっとも、これらのセンサーを共有している車種も多く、ACCシステムの減速度では追突の危険があるとシステムが判断した場合、衝突被害軽減ブレーキで行う急ブレーキを作動させることができるものもあります。しかし、衝突被害軽減ブレーキを作動させるには必要な条件が複数あるためそれに頼った運転はしないことが大切です。

車線逸脱警報装置Q&A

Q1.車線を正しく判断できない状況は?

A.

  • 前走車との車間距離や前走車が走行する場所によって、車線が隠れて見えづらいとき。
  • 道路工事により、車線がかすれている
  • 天候により路面表示が見えづらい
  • トンネルの出入口など周囲の明るさが急に変わる場所
  • 急カーブ

Q2.ハンドル操作も加える機能はありますか?

A.

警報だけではなく、ハンドルへの振動や操舵力をアシストする機能をもった車種もあります。このほか、車線の中央部をつねに維持するようアシストする機能や「ふらつき」を警告する機能を持ったものもあります。

Q3.車線に近づいてもシステムが作動しない場合は?

A.

  • 速度が一定の幅以外の場合。
  • ウィンカーを出して車線変更を行うとき。
  • ブレーキ操作や急なハンドル操作や急なアクセル操作をともなう場合など。なお、国土交通省の技術要件によってシステムの作動条件は時速60km以上、レーンの外側とタイヤの外側の距離が30cm以内で警報を発するなどと定められています。

リアビーグルモニタリングシステムQ&A

Q1.このセンサーを使った他の機能は?

A.

このセンサーを使って車の斜め後ろの死角部分だけではなく、斜め後ろ約50mまでの車両を検知し、急速に近づく車両に対して警告する車種もあります。また、前進駐車が指定されている駐車場からバックで出る際などに、後部左右の死角から近づく人や車がいることを警告してくれる車種もあります。

自動切替型前照灯Q&A

Q1.車以外の光にも反応しますか?

A.

街路灯や周囲の明るさにも反応する場合があり、この場合、対向車がいなくてもロービームに切り替わる場合があります。

Q2.対向車やその他の明かりが多い市街地の走行での使用は不向きですか?

A.

1のとおりで車以外の明かりに反応し、予期しないタイミングでロービームに切り替わる場合があるので市街地など明るい道路ではヘッドライトを手動で操作した方が良い場合もあります。