豪雨のとき、前方のクルマや歩行者はどう見える?(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2018年5月30日(水)
テスト場所 日本自動車研究所 特異環境試験場(茨城県つくば市)
テスト背景 台風やゲリラ豪雨による大雨の中、車を運転する際には前方の視界が悪くなり、見えにくくなる。
そこで、豪雨のとき、ドライバーから前方の車や歩行者がどのように見えるのかを検証した。
テスト内容

テスト1 前方にいる停止車両のライト点灯の違いで、止まれた位置は?

前方の停止車両に向かって、テスト車(自車)が 時速40km で走行し、運転席から停止車両が見えたら急ブレーキを踏み、停止位置を計測した。

【テスト条件】
①雨量は1時間、80mm と 30mm
②前方の停止車両は、無灯火、テールランプ点灯、リアフォグランプ点灯、ブレーキランプ点灯
③時間帯の想定は、昼間と夜間
④テスト車(自車)のヘッドライトは、昼間が下向き、夜間は下向きと上向き

テスト2 前方にいる歩行者(マネキン)の服の違いで、止まれた位置は?

前方の歩行者(マネキン人形)に向かって 時速40km で走行し、運転席からマネキン人形が見えたら急ブレーキを踏み、停止位置を計測した。

【テスト条件】
①雨量は1時間、30mm
②前方の歩行者(マネキン人形)は、白い服、黒い服、反射(安全)ベスト着用
③時間帯の想定は、昼間と夜間
④テスト車(自車)のヘッドライトは、昼間が下向き、夜間は下向きと上向き
※気象庁の用語では、雨量1時間 80mm は「猛烈な雨」、雨量1時間 30mm は「激しい雨」とされる。

テスト結果

テスト1 前方にいる停止車両のライト点灯の違いで、止まれた位置は?

【雨量1時間 80mm】

結果は下表のとおりで、前方の停止車両が「テールランプ点灯」「リアフォグランプ点灯」「ブレーキランプ点灯」は、昼夜問わず、50m以上手前で止まれたのに対し、前方の停止車両が「無灯火」の夜間(自車のヘッドライトが下向き)は約24mまで接近し、その見えづらさが際立った。
昼間でも豪雨の中を走行する際には、無灯火で走行するよりもヘッドライト(テールランプ)を点灯したほうが周囲から見えやすくなる。また、停止中はブレーキを踏んでブレーキランプを点灯させて停止することも重要である。
夜間に自車のヘッドライトが上向きだと、下向きの場合と比べて、前方の停止車両(4パターンすべて)を発見しやすい傾向だった。

【雨量1時間 30mm】

結果は下表のとおりで、見えづらさは雨量1時間 80mm と同じような傾向だった。
昼間よりも夜間(特に自車のヘッドライトが下向き)だと、前方の停止車両(4パターンすべて)を発見して、止まれるまでに大きな差ができた。
また、停止中はブレーキを踏んでブレーキランプを点灯させて停止することも重要である。

テスト2 前方にいる歩行者(マネキン)の服の違いで、止まれた位置は?

結果は下表のとおりで、前方に歩行者がいる場合は、停止車両よりさらに見えづらく、夜間(自車のヘッドライトが下向き)の場合、「安全ベスト着用」は61m手前で止まれたのに対し、「黒い服」を発見して停止できたのは約18m手前だった。
昼夜問わず、「黒い服」は見つけにくい傾向だったが、「安全ベスト」を着用していれば見つけやすくなる。

まとめ

豪雨などの悪天候時は必ずヘッドライトを点灯し、速度を抑えて走りましょう。
歩行者は見落とされる危険性を考えて、できるだけ反射材を身に着けるようにしましょう。