後席シートベルト非着用時の危険性(JAFユーザーテスト)

テスト実施日・諸条件

実施日 2017年3月13日(月)
テスト場所 日本自動車研究所 衝突実験場(茨城県つくば市)
テスト背景 後部座席(以下、後席)でのシートベルト着用は2008年に義務化されたものの、後席の着用率は低い状況である。(全国のシートベルト着用状況はこちらから)
前席だけでなく後席でもシートベルトを着用する重要性を検証した。
テスト内容 テスト車両(ミニバン)の前席と後席(2列目)にダミー人形(以下、ダミー)を各2体乗せ、後席運転席側のダミーのみシートベルト非着用とした。
時速55kmでフルラップ前面衝突試験を実施し、衝突時のダミーの挙動とHIC(頭部傷害基準値)を計測した。
  • ※1 ダミーの挙動が判るように塗料(ドーラン)を塗った。
  • ※2 ダミーの挙動が上部や横から見えやすくなるよう、車両の屋根やドアを取り外しているため、車両の衝突損傷が実際の事故時とは異なる場合があります。

テスト結果

  • シートベルトを着用していない後席ダミーは前方に投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付け、さらにシートごと運転席ダミーを押しつぶした。
  • シートベルトを着用していない後席ダミーの頭は、ヘッドレストを介して運転席ダミーの後頭部に衝突し、HICは2192まで上昇した。
  • シートごと押しつぶされた運転席ダミーのHICも1171と高くなった。
  • シートベルトを着用していたダミーは、シートベルトで上体をしっかりと拘束され、投げ出されることはなかった。

衝突時のダミーの挙動など

車両右側

車両左側

車両上部

衝突後の車両前面

シートベルトを着用していなかったダミーがぶつかった跡(塗料付着)

運転席のヘッドレスト

運転席のシート(背面側)

HICの計測結果

名古屋大学大学院 工学研究科の 水野幸治教授の解説

HICが2,000を超えると、死亡や重傷につながる致命的な頭部損傷を負う危険性が高くなる。運転席ダミーの数値も1,000を超えているので、頭蓋骨骨折などのリスクがある。

まとめ

  • 後席でシートベルトを着用しないと、衝突時に死亡や重傷につながる致命的な頭部損傷を負う危険性が高くなる。
  • 後席でシートベルトを着用しないと、本人だけでなく同乗者に衝突して致命傷を負わせる危険性もある。
  • 後席でシートベルトを着用しないと、車外放出の危険性が増大することもある。
  • 一般道路でも必ずシートベルトを着用することが重要である。

シートベルトは前席・後席に限らず、すべての席で着用しましょう。