重大事故が集中多発!美しくも危険な“薄暮の時間(JAF Safety Light)
“薄暮の時間”という言葉、聞いたことありますか? 漢字を見ると、なんとなく想像できますね。いわゆる夕方のことですが、この時間帯は、交通事故が多発すると言われています。2011年~2013年の3年間の事故統計を詳しく見てみましょう。
2011年~2013年の3年間で発生したすべての交通事故件数は、1,986,215件です。それを発生時間帯ごとにバラバラにしてみます。月ごとに、事故が最も多発した時間帯を赤、2番目に多発した時間帯を黄色にしています。
上のグラフを見ると、交通事故は、月に関係なく一年中、朝の7時台と8時台、夕方の17時台と18時台に多発していることがわかります。この時間帯は、通勤や通学、買い物など、多くの人々が移動する時間帯ですね。
次に、交通事故のうち、重大事故だけを取り出して、上と同じ表にまとめてみました。
全交通事故と比べて、朝方の多発時間帯があやふやになり、多発時間帯が夕方に偏っています。しかも、その夕方も、一律に17時台、18時台というわけではなく、遅い時間帯への偏りが目立ちます。日が長くなり始める3月、4月でその傾向が顕著ですね。
このように、重大事故の発生時間帯については、道路利用者の多い・少ないということよりも、日没時間のほうが影響しているといってよさそうです。
そもそも、日没ってなに??
それでは、この「日没時間」について考えてみましょう。みなさんは、「日没」とは本来、太陽がどんな状態になったときを指していると思いますか?
太陽が地平線の下に完全に隠れた状態でも、すぐに真っ暗闇にはならず、薄明るさが残っていますよね。それはなぜかというと、太陽光が大気中に散乱しているため。まだ薄明るいこの時間帯が本来の“薄暮”です。薄暮は通称「マジックアワー」とも呼ばれ、空が最も美しい時間帯とも言われています。
「美しいバラには棘がある」という言葉がありますが、美しいといわれる“薄暮の時間"は、重大事故の多発する魔の時間帯でもあります。日没後でも空には明るさが残っているため、ひとは「まだ明るい」と錯覚しがちですが、実はもう、日没時間は過ぎていて、ヘッドライトを点灯しなければいけない「夜間」の時間帯になっているのです。暗くなるにつれて見えにくくなっていくのは、車のドライバーも歩行者も同じ。事故を防ぐ最も簡単な手段として、ヘッドライトの早期点灯が有効です。暗くなる日没30分前を目安に、早期点灯を心がけましょう!
出典:事故データ/公益財団法人交通事故総合分析センターの集計結果による 日没時間のグラフ/国立天文台ウェブサイト「こよみの計算」による