[Q] ペダルの踏み間違いを防止するには?

{E3B1CAFD-A1A1-4E7B-BCC5-5247B1AA4DF3}

[A]前進・バックの際には、各ペダルの位置を落ちついて確認し、十分に注意しながら操作しましょう。

  • アクセルとブレーキはどちらも踏み込む動作なので間違える可能性がある。
  • 間違って踏んだアクセルを慌ててさらに踏み込むことで事故につながる。
  • 最近は衝突被害軽減ブレーキ機能を搭載した車両が増えている。

そもそも、なぜ間違えてしまうのか?

オートマチック車の場合、アクセルペダルは右側に、ブレーキペダルはその左側と、2つのペダルが並んで配置されています。操作するときは、右足だけでアクセルペダルとブレーキペダルを交互に踏み替えながら操作することが一般的です。それぞれ「踏み込む」という同じ動作で操作するペダルが並んでいるため、踏み間違える可能性は年齢を問わずどなたでもありえます。

交通事故分析センターの情報によりますと、2018年から2020年の3年間でペダルの踏み間違いに起因する事故は1万件に迫る勢いで発生しています。その特徴として、65歳以上の高齢ドライバーが突出して多く、なかでも75歳以上の高齢ドライバーの事故が最も高い割合となっています。状況別では「発進時」が、また場所では「サービスエリア」や「店舗の駐車場」といった道路以外が高くなっています。高齢者では「後退時」の事故割合が高いのも特徴です。運転操作の誤りの要因は「慌て、パニック」が主で、またペダル操作の踏み間違いの要因は「高齢」「乗り慣れない車」などであると分析されています。

なぜ踏み間違えたまま加速してしまうのか?

ペダルの踏み間違い事故は、想定とは正反対の自動車の動きに気が動転し、正しい操作ができなくなったことで起きるといわれています。意図せずアクセルを踏み込んでしまうため、自動車が加速した状態でコントロールを失うことになり、重大な事故につながることが多いのです。これは、反射的に間違って踏んだアクセルペダルをさらに踏み込んでしまうことで発生します。このような状況では、意識と行為にズレが生じたとしても、それを訂正する余裕はドライバーにはほとんどありません。「ブレーキを踏んだのに加速した!」という証言は、主にこうした事象が原因です。

また、交通事故総合分析センターの分析によると、バック時に推測される踏み間違い要因(事故を起こしやすい高齢ドライバーの場合)として、「体を後方にひねる」「踏み替え回数の増加(切り返しの増加)」「急な後退」があると指摘しています。

このほか、駐車場内や渋滞時にブレーキとアクセルを細かく踏み替えながら徐行している状況でも、頻繁なペダル操作に混乱して左右を間違えるという場合もあります。想定外の事態に対処するのは、とても難しいことです。また、突然鳴り出したスマートフォンの呼び出し音など、些細なことでも人は簡単に注意力を削がれてしまいます。注意していても起こりうるのが、ペダル踏み間違い事故なのです。

踏み間違いを防止・抑制する機能とは?

ペダルの踏み間違い事故を防止するために、さまざまな先進安全技術が開発され実用化されています。主な技術の内容は、進行方向の障害物をセンサーやカメラなどで検知し、アクセルを強く踏み込んで衝突する恐れがあると判断すると、警告音等でドライバーに注意喚起するとともに、エンジンやブレーキを自動制御します。これらは「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」と呼ばれる機能であり、そのシステムが搭載された車両が増えています。

また、不用意な後方への急発進を防ぐため、障害物を検知した状態でバックすると、エンジン出力抑制と自動ブレーキをかけるシステムもあります。 さらに、障害物ではなくアクセル開度を検知し、シフトレバーをリバースに入れた状態でアクセルを急に踏み込むと、ドライバーに警告音で注意喚起するとともに、エンジン出力を抑制する方式もあります。これらの技術は、ペダル踏み間違いというヒューマンエラーを防止するための技術ですが、道路状況や天候によってはシステムの検知範囲が制限されるなど、うまく作動しない場合もあります。

後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置も増えてきている

また最近は、自動車に標準的に装備されているペダル踏み間違い急発進抑制装置のほかに、「後付け」できる装置も増えてきました。これら装置は、自動車メーカーや部品メーカーから販売されています。後付けと聞くと、その信頼性に不安を感じるドライバーも多いと思われます。そこで、国土交通省が一定の性能を有する装置を審査、認定する制度が実施されています。なお、認定された装置は国土交通省のホームページ等で確認できます。

標準装備や後付けに関わらず、こうした装備はドライバーのうっかりミスを抑止するための補助をしてくれますが、絶対的な防止装置ではありません。前進・バックの際は特に、ペダルの位置やシフトレバーのポジションを落ちついて確認し、十分に注意して操作することが大切です。安全運転は、あくまでドライバー自身に委ねられているといってよいでしょう。

2022年09月現在

 

その他のQ&Aを検索する