[Q]夜間走行時のヘッドライトはハイビームが基本?

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[A]道路交通法により、夜間走行時はハイビームが基本ですが、対向車や前走車が存在する場合にはロービームを使用することとされています。

  • 夜間の運転は、ハイ・ローのライト切り替えを積極的に活用する。
  • 雨天時は日中であっても点灯し、対向車に自車の存在を知らせる。
  • 前方の状況に応じて自動的にハイ・ローを切り替える「オートハイビーム」が普及しはじめている。

夜間の走行では、ヘッドライトはハイビーム、ロービーム?

ヘッドライトには、通常、ロービーム、ハイビームが備えられています。法令によるロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」、ハイビームは「走行用前照灯」です。その照射距離は道路運送車両の保安基準で定められており、ロービームは前方40m、ハイビームがその倍以上の前方100m先を照らすことができなければなりません。 使用方法については、道路交通法と道路交通法施行令に言及があり、対向車や前走車が存在する場合には、ロービームを使用することとされています。ハイビームにはロービームのような状況を限定した使用規定は存在しませんが、その照射範囲の広さや走行用前照灯という名称等からも通常の走行を想定したライトとされています。
一方、夜間の運転において、街灯や建物の明かりがある都市部では、ロービームの使用によって十分に安全が確保されていることが多いのも事実ですが、それが常態化し、ハイビームが必要とされる暗い郊外や地方の道でもロービームのまま運転しているドライバーも見うけられます。
道路交通法によって安全運転確保義務が課されているドライバーにとって、ロービームの使用を明確に規定されているケースを除けば、夜間の運転では、ハイ・ローのライト切り替えを積極的に活用し、事故を防止することが求められています。
なお、近年ヘッドライト(光源)が明るくなってきており、ドライバーには見えやすくなっている半面、眩しさも増加しています。ハイビームの消し忘れや自分勝手なハイビーム活用は、ドライバー間によるトラブルのもととなる可能性があるほか、歩行者・自転車利用者も眩惑させてしまう危険性を含んでいますので、慎重な使用が求められます。

すれ違い用前照灯(ロービーム)の更なる活用法

道路交通法第52条第2項では、夜間に他車両と行き違うときや前走車の直後を走る場合には、ヘッドライトの消灯あるいは減光する等灯火を操作しなければならないと定めています。この灯火の減光等の灯火操作に当たるものが『すれ違い用前照灯(ロービーム)』への切り替えとなります。
このほかにも、ロービームは悪天候時にも活用することができます。周囲が薄暗く、視界が悪化する雨天時には日中であっても点灯し、周囲に自車の存在を知らせましょう。また霧では、ライトの光が霧の粒子に乱反射するため、ハイビームではかえって視界が遮られてしまいます。このようなときには、ロービームで霧の粒子が薄い手前を照らし、センターラインや前走車のテールランプを目安に速度を抑えて走るとよいでしょう。
また、時間帯別死亡事故データ(警察庁統計)では、16時~20時の発生が他の時間帯と比べて突出して多くなっていますので、日の入り30分前の早期点灯で他者に見せるためのライトオンを行いましょう。

オートハイビームの導入など急速に進むヘッドライトの技術開発

視界が悪くなる夜間では、さまざまな統計において事故発生率が高まることがわかっています。その対策として、より明るく、遠くまで、また、広範囲にヘッドライトの光をあてることが効果的です。その観点から各都道府県警では、夜間の車両対歩行者事故対策として、早めのライト点灯とともに、ハイビームの積極的な活用を促しています。しかし、状況に応じたハイビームとロービームの頻繁な切り替え操作の煩わしさやロービームの切り替え忘れといった問題もあり、全てのドライバーが適切に使いこなすのが難しいのも現実です。 このような実態を解消するため、メーカーによるヘッドライトに関するさまざまな技術開発が行われています。
最近では、前方の状況に応じて自動的にハイビームとロービームを切り替え、夜間の視界を最大限に確保するヘッドライトとして、オートハイビーム(自動切換型前照灯)が普及し始めています。基本的な仕組みとしては、ハイビームで走行中に対向車や前走車を検知すると、眩しさを与えないよう瞬時にロービームへと自動的に切り替わり、またその存在がいなくなると自動的にハイビームに切り替わるというものです。ただし、街灯や標識などがある場合や歩行者や、自転車に対してはハイビームからロービームに切り替わらないことがありますので状況に応じて手動で切り替える必要があります。オートハイビームの操作方法はメーカーによって異なりますので、取扱説明書で確認しておきましょう。
一方、オートハイビームに似た機能を持つものとして、ADB(Adaptive Driving Beam System:アダプティブ・ドライビング・ビーム)と呼ばれるヘッドライトの採用も徐々に進んでいます。こちらは走行中に対向車や前走車を検知すると、瞬時にハイビームの照射範囲のうち当該車両のエリアのみを部分的に遮光します。
ハイビームの欠点を緻密な配光制御で克服したこれらのヘッドライトは、いま、予防安全機能を備えたクルマとして政府が推進する「セーフティ・サポートカーSワイド」の必要機能となっています。今はまだ一部の車種を中心に搭載されていますが、数多くの安全技術と同じく、やがて一般的な装備として普及していくと予想されます。

参考動画:JAFユーザーテスト「オートハイビームを使えば、手動での切り替えは不要?」

参考動画:JAFユーザーテスト「ADB(配光可変ヘッドランプ)の効果」

2023年08月現在

 

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