[Q]「オールシーズンタイヤ」って、どんなタイヤですか?

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[A]「オールシーズンタイヤ」は、晴天・降雨時ではノーマルタイヤ(夏用タイヤ)に近いグリップ力を、雪道においてはノーマルタイヤよりも強いグリップ力を持っています。

  • ノーマルタイヤとスタッドレスの特徴を合わせ持つタイヤ。
  • 雪道での制動距離テストでは、スタッドレスとの性能差が出ているので注意が必要。
  • 凍結路では、チェーンなどの滑り止めの装備が必要。

オールシーズンタイヤの特徴とは?

「オールシーズンタイヤ」は、晴天・降雨時ではノーマルタイヤ(夏用タイヤ)に近いグリップ力を、雪道においてはノーマルタイヤよりも強いグリップ力を持っています。海外のタイヤメーカーを中心に開発が進み、近年は日本でも注目されるようになりました。
オールシーズンタイヤは、タイヤのゴム自体に特殊な素材を使って低温下でも柔軟性を保ったり、降雨時の排水性を高めるトレッドパターン(溝模様)を採用したりして、晴れた日の乾いた路面だけでなく、降雪路からウェット路面まで対応できるような工夫がとられています。
また、タイヤのサイドウォール部分に「スノーフレークマーク」が付いているタイヤは、高速道路で「冬用タイヤ規制」が実施されていても走行は可能です。ただし、アイスバーンなど凍結路でのグリップ力や制動力は、スタッドレスに劣ります。メーカーでもそのような路面ではスタッドレスを勧めています。また雪が深くなるなど、路面条件が悪化したときに出される「全車両チェーン装着規制」下では、オールシーズンタイヤもチェーンを装着しなければ通行することはできません。高速道路を走行しているときは、表示される道路規制や路面状況をよく確認することが大切です。
オールシーズンタイヤには、タイヤのサイドウォール(側面)部分に「M+S」(マッド・アンド・スノー)と刻印されている製品もあります。これはトレッドパターンを雪道や泥道などでも走行できるようにアレンジしたものです。「M」はMud(泥、ぬかるみ)、「S」はSnow(雪)を意味しています。

滑りやすい路面での過信は禁物

実際、オールシーズンタイヤの冬道での性能はどうなのでしょうか? JAFでは2017年2月、圧雪路と氷盤路での制動距離を計測するテストを実施しました。ノーマルタイヤ、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤなどさまざまな仕様で制動距離を計測。タイヤはすべて新品を使用しました。制動初速は時速40kmで3回実施し、制動距離の平均値で比較しました。ちなみに、圧雪路とは雪が踏み固められた状態の路面で比較的しっかりとグリップします。一方、氷盤路はつるつるのスケートリンクのように凍結した試験用の路面のことです。実際の路上ではアイスバーンに近い状態です。
圧雪路での試験結果は、スタッドレスタイヤが17.3m、オールシーズンタイヤが22.7m、ノーマルタイヤが29.9mでした。オールシーズンタイヤはノーマルタイヤより短い距離で停止できたものの、スタッドレスタイヤに比べて5m以上も制動距離が延びました。
氷盤路での試験結果は、スタッドレスタイヤが78.5m、オールシーズンタイヤが101.1m、ノーマルタイヤが105.4mでした。 オールシーズンタイヤはスタッドレスタイヤに比べて20m以上も制動距離が延びて、むしろノーマルタイヤに近い数値となっています。
雪の降り始めや少量の積雪ならば走行も可能とされているオールシーズンタイヤですが、これらのテスト結果から、雪道走行ではスタッドレスタイヤのような気持ちでの運転は危険であることが分かります。
冬の雪国や山岳地帯では、雪が見えていない場所でも、雪解け水や前日の降霜により路面が凍結していることがあります。オールシーズンタイヤを過信することなく、積極的にスタッドレスタイヤやチェーンなどの滑り止め対策の装備を活用することを心がけてください。

2024年05月現在

JAFユーザーテスト動画編「走れても止まれない、雪道のノーマルタイヤ」

 

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