
[A]エンジン内部に組み込まれているタイミングベルトを除くと、オルタネーター、エアコンのコンプレッサーなどを回す補機ベルトがあります。

- 1~3本のベルトでオルタネーター、エアコンなどの補機類を回転させる。
- ラジエーターファンやパワーステアリングはベルトを用いない電動式が増えている。
- ベルトが切れると、それぞれ駆動している機構は作動しなくなる。
さまざまな補機を駆動するためにベルトは重要

エンジンについているベルト類には、エンジン内部に組み込まれているタイミングベルトと、冷却系統のラジエーターファンやウォーターポンプ、オルタネーター(発電機)、エアコンのコンプレッサー、パワーステアリングの油圧ポンプなどを回す補機ベルトがあります。
タイミングベルトは、燃焼に必要なバルブを作動させるカムシャフトを駆動するものですが、最近は信頼性や耐久性で有利なチェーンを用いることが多くなっています。
補機についても、ベルト駆動はエンジンの出力や燃費に影響することから、冷却ファンやパワーステアリングは電動式に切り替える車種が多くなっており、ハイブリッド車ではウォーターポンプやエアコンのコンプレッサーも電動が主流で、オルタネーターの役目はモーターが果たしています。
つまり補機ベルトについても、使用例は減りつつありますが、エンジン車を中心に、使い続けている車種も多くあります。エンジンによって、1本のベルトですべての補機を駆動しているもの、複数のベルトを用いているものがあります。またエンジン駆動ではありませんが、電動パワーステアリング、電動パーキングブレーキ、パワースライドドアなどにもベルトが使われています。
ベルトが切れると補機の駆動が止まってしまうので注意
こうしたベルト類は、もし切れてしまうと、駆動している補機が作動しなくなります。たとえばウォーターポンプを駆動しているベルトが切れると、冷却水が潤滑しなくなるので、エンジンはオーバーヒートしてしまいます。オルタネーターのベルトが切れると充電できなくなり、バッテリーが上がってしまいます。
なかでも、もっとも瞬時に運転に影響するものがパワーステアリングのベルトです。万が一切れた場合でもステアリングの操作は可能ですが、突然驚くほどハンドルが重くなるので、危険度はかなり高いと言えます。したがって、定期点検時にはすべてのベルトについて、ゆるみがないかをチェックし、状態に応じて適宜交換することが重要です。
2025年09月現在