[Q] クルマのラジエーターとは?仕組みや故障時のサイン、水漏れ時の対処法を紹介

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クルマに取り付けられているラジエーター

[A]ラジエーターとは、エンジンの過熱を防ぐためにクルマに搭載されている冷却装置です。

  • ラジエーターは主に車両前方のフロントグリル奥付近に設置されており、走行中の風を受けやすい位置に配置されている。
  • 内部を循環する冷却水がエンジンの熱を吸収し、走行風やファンによって冷やされることで、エンジン温度を適正範囲に保っている。
  • 故障するとオーバーヒートを招き、エンジンに深刻なダメージを与えるおそれがあるため、日常的な点検と早めの整備が欠かせない。

ラジエーターの仕組み

エンジンの冷却システムは、ウォーターポンプ・ラジエーター・サーモスタットの3つが連携することで機能しています。

まず、ウォーターポンプが冷却水をエンジン内部に送り込み、熱を吸収して高温になった冷却水はラジエーターのコアへと流れます。コアでは走行風や冷却ファンによって冷却水が冷やされ、再びエンジンへと循環する仕組みです。

この循環を繰り返すことで、エンジン温度は80度から90度程度の適正範囲に保たれています。サーモスタットは冷却水の温度を監視し、低温時にはラジエーターを経由しないよう循環経路を切り替えることで、エンジンのオーバークール(過冷却)を防止します。

ラジエーターを構成する主な部品

ラジエーターは複数のパーツで構成されており、それぞれが冷却性能の維持に欠かせない役割をになっています。主要な構成部品は以下のとおりです。

部品名 役割
ラジエーターコア フィン付きの細管が多数並んだ放熱部。走行風や冷却ファンによって冷却水を冷やす
アッパータンク エンジンから戻った高温の冷却水を受け、コアへ送る
ロアタンク コアで冷却された冷却水を溜め、ウォーターポンプへ送る
ラジエーターキャップ 冷却経路内の圧力を保ち、沸点を上げて冷却効率を維持する
リザーバータンク(サブタンク) 冷却水の膨張・収縮を吸収する予備タンク。LOWとHIGHの目盛りで液面を確認できる
ラジエーターホース ラジエーターとエンジンをつなぐ配管。アッパーホースとロアホースの2本がある
ラジエーターファン(冷却ファン) 渋滞や低速走行時に電動で風を送り、冷却を補助する

これらの部品は経年劣化するため、定期的な点検と必要に応じた交換を心がけましょう。

ラジエーター液(冷却水)の種類と役割

ラジエーター液は、ラジエーターとエンジンの間を循環し、エンジンの熱を運び出す専用の液体です。「クーラント」や「LLC(ロング・ライフ・クーラント)」とも呼ばれ、防錆・不凍・消泡など、水道水にはない機能を備えています。

冷却水には主にLLCとスーパーLLCの2種類があり、交換サイクルにも違いがあります。一般的に、LLCは緑や赤、スーパーLLCはピンクや青に着色されていることが多く、リザーバータンク内の冷却水の色で種類を確認できる場合があります。

交換目安は、LLCが2年から3年ごと、スーパーLLCは新車時7年、以降は4年ごとです。ただし、交換時期は車種によって異なるため、必ず取扱説明書を確認してください。

異なる種類を混ぜると防錆性能が低下するおそれがあるため、取扱説明書を確認し、同じ種類の冷却水を使用するようにしてください。

また、同じ種類でも赤と緑など異なる色を混ぜると、液が黒茶色に変色することがあります。錆による劣化の変色と見分けがつきにくくなるため、必ず同色の冷却水を使用しましょう。

なお、冷却水の点検・補充は必ずエンジンが十分に冷えた状態で行ってください。熱い状態でキャップを開けると、高温の蒸気や熱湯が吹き出し、大やけどを負う危険があります。また、冷却水には原液のまま使用するタイプと、水道水で希釈して使用するタイプがあるため、使用方法を事前に確認しておきましょう。

ラジエーターが故障する主な原因

ラジエーターのトラブルを確認するイメージ

ラジエーターの故障はエンジンへの深刻なダメージに直結するため、代表的な原因を把握しておくことが大切です。主な故障原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 経年劣化によるホースやタンクの破損
  • 冷却水の劣化による内部の腐食や詰まり
  • 飛び石や異物の衝突・付着による物理的な損傷

それぞれの発生メカニズムと見極めのポイントを順に解説します。

経年劣化によるホースやタンクの破損

ラジエーターホースやタンクはゴム・樹脂製のため、年数の経過とともに硬化やひび割れが進行します。破損すると冷却水が漏れ、エンジンを十分に冷却できなくなるおそれがあります。

ラジエーター本体の耐用年数は、普通車で8年から12年、軽自動車で6年から10年程度が目安とされています。ただし、ホースやキャップは本体よりも早く劣化しやすいため、車検ごとに状態を確認すると安心です。ホースに膨らみやひび割れている箇所が見られた場合は、交換時期のサインと考えられます。

冷却水の劣化による内部の腐食や詰まり

冷却水に含まれる防錆成分が劣化すると、ラジエーター内部にサビや水垢が発生します。サビによってコア内部の細管が詰まると冷却水の流れが悪化し、十分な放熱ができなくなるおそれがあります。

冷却系統の洗浄は専門的な作業をともなうため、不安な場合は整備工場への依頼を検討しましょう。

飛び石や異物の衝突・付着による物理的な損傷

前方車両が跳ね上げた小石によってコアに穴が開き、冷却水が漏れ出すケースがあります。放置すると走行不能に至る可能性が高いため、異変を感じたら安全な場所に停車しましょう。

また、雪やビニール袋によってラジエーター前面が塞がれると、走行風がさえぎられて冷却不良を招く場合があります。フィンの変形や異物の付着は目視でも確認できるため、洗車時や降雪後にチェックする習慣を付けましょう。

ラジエーター周りの異常を知らせる5つの症状

ラジエーターの異常は放置するほど被害が拡大するため、故障のサインを見逃さず早期発見することが重要です。以下の5つの症状を覚えておくと、トラブルの初期段階でも気付きやすくなります。

症状 考えられる原因
水温警告灯(ラジエーターマーク)が赤く点灯する 冷却水不足やラジエーター故障によるオーバーヒート
エンジンルームから甘いにおいがする 冷却水の漏れ・蒸発
クルマの下に赤・緑・青の液だまりがある ホースやタンクからの冷却水漏れ
水温計の針がH付近まで上昇している 冷却不良やオーバーヒート
ボンネットから蒸気や蒸気が上がる 冷却水の沸騰・大量漏れ

上記の症状を1つでも確認した場合は、無理に走行を続けず、すみやかに安全な場所へ停車しましょう。自分で判断できない場合は、ロードサービスへ連絡してください。

ラジエーターが水漏れした時の応急処置

ラジエーターからの水漏れに気付いたら、まずはリザーバータンクの液面を確認します。LOWを大幅に下回っている場合は、ロードサービスや整備工場へ連絡してください。

冷却水が不足したまま走行すると、エンジン内部が焼き付き、深刻な損傷を起こすおそれがあります。緊急時に限り、エンジンが十分に冷えた状態で水道水を補充し、応急処置を行う方法もあります。

ただし、水道水には錆や凍結を防ぐ成分が含まれていないため、そのまま使用を続けると、エンジン内部の腐食や冬場の凍結による配管の破裂を招く可能性があります。将来的な大きな故障を防ぐためにも、水道水の補充は最終手段とし、無理に走行せずロードサービスへの連絡を優先しましょう。

市販の漏れ止め剤や補修パテは、微小な穴に対する一時的な対処に使える場合があります。しかし、内部詰まりのリスクがあり、恒久的な修理の代わりにはなりません。

また、内部に空気が残っていると冷却水が循環せず、オーバーヒートを招くおそれがあります。修理や冷却水の交換を行った場合は、エア抜き作業が必要です。

冷却水の日常点検で把握しておきたいポイント

ラジエーターの故障やオーバーヒートを未然に防ぐためには、冷却水を日常的に点検することが大切です。運転前に以下の項目をチェックする習慣を付けましょう。

  • リザーバータンクの液面がLOWとHIGHの間にあるか
  • 短期間で液面が大きく低下していないか(冷却水漏れの可能性)
  • 冷却水の色が茶色や白に変色していないか
  • ラジエーター周辺やホースの接続部に液だまりやにじみがないか

なお、点検は必ずエンジンが十分に冷えた状態で行ってください。高温時にラジエーターキャップを開けると、圧力のかかった冷却水が噴き出してやけどを負う危険があります。

JAFに入会してラジエータートラブルに備えよう

日頃のメンテナンスを徹底していても、ラジエーターの故障やオーバーヒートを完全に防ぐことは困難です。走行中の飛び石やゴム部品の突然の劣化など、予測が難しい原因も多いため、万が一の走行不能に備えておきましょう。

「自動車保険のロードサービスがあるから安心」と思っている方も多いかもしれませんが、保険とJAFでは、対応範囲や利用条件に違いがあります。

自動車保険のロードサービスは「クルマ」を対象とするサービスであり、利用できるのは契約車両に限られるのが一般的です。一方、JAFは「人」に対するサービスで、マイカーだけでなくレンタカーや社用車、バイクなどでも利用できます※1。

また、保険会社のロードサービスでは、パンク修理や雪道でのスタック、自然災害によるトラブルが対象外となる場合があります。一方、JAF会員は多くのロードサービスを原則として回数制限なし※2で利用できます。

JAF会員の年会費は4,000円(入会金2,000円)です。入会していない方がロードサービスを利用した場合は、内容によって1回20,000円以上※3※4かかるケースもあるため、この機会にJAFへの入会をご検討ください※5。

※1 個人会員、家族会員の場合のみ対応。法人会員は登録車両に限定します(登録車両であればドライバーはどなたでもサービスをご利用いただけます)。
※2 会員無料範囲を超過した作業料金(20kmを超過したけん引、事故車の処理、落輪や転落車の引き上げ作業など、部品代等)については、一部又は全部をお客さまにご負担いただく場合がございます。バッテリーやガソリンなどの部品・油脂・燃料代は実費をいただきます。
※3 現場の状況によりロードサービス料金が異なります。
※4 表示価格はすべて税込金額(消費税10%)です。
※5 救援現場でご加入された場合、当該救援は一般の方の料金となります。

まとめ

ラジエーターはエンジンの冷却をになう重要なパーツで、冷却水を循環させながらエンジン温度を適正範囲に維持しています。故障するとオーバーヒートを引き起こし、焼き付きや走行不能などの深刻なトラブルにつながるおそれがあります。

冷却水の種類に応じた交換サイクルを守り、リザーバータンクの液面や冷却水の色を日常的に確認することが大切です。水漏れ時は漏れ止め剤による応急処置も可能ですが、早めに整備工場で修理を受けましょう。

予測しにくいトラブルに備える方法のひとつとして、JAFへの事前入会もご検討ください。

■監修者情報

鈴木 ケンイチ
鈴木 ケンイチ

プロフィール:
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明している。著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)

2026年07月現在

 

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