[Q] 同乗者の乗り物酔いを防ぐには?

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[A]クルマで酔ってしまったら、降りて休むのが一番です。また、酔い止め薬を飲むのも対処方法です。

  • ドライブの日程が決まったら、同乗者は数日前から体調管理に気を配る。
  • 同乗者を揺れの少ない車体中央部に座らせ、クルマが揺れる運転は禁物。
  • 臭いの強い食物を我慢して車内を頻繁に換気し、酔い止め薬を用意。

乗り物酔いのメカニズムとは?

乗り物に酔ってしまうと、旅行を心から楽しむことはできません。なぜ、人は乗り物酔いを起こすのでしょうか?そのメカニズムを知れば、対処法も考えやすいはずです。人の体には平衡機能(へいこうきのう)が備わっていて、無意識にバランスを保とうとします。その機能をつかさどっているのが内耳(耳の奥)にある三半規管などの器官です。三半規管にはリンパ液が溜まっている場所があり、それが水平器のような役割をして体の傾きを察知します。
乗り物に乗ると、このリンパ液が揺さぶられます。脳は視覚や聴覚、筋肉の動きなどから得た情報を総合的に判断して平衡感覚を保ちます。自分は動いていないのに車窓の景色が変化するような状況に置かれると、伝わる情報に誤差が生じるため、脳が混乱してしまうのです。すると脳から自律神経に異常な信号が送られ、これによって頭痛や吐き気などの変調をきたします。
個人差はありますが、一般的には横揺れよりも縦揺れのほうが酔いやすいといわれています。大人よりも感覚が敏感で頭が不安定な子供のほうが酔いやすいようです。また、犬などのペットも乗り物に酔うことがあります。家族の一員であるペットをドライブ旅行に連れて行く人が増えていますが、せっかくの旅行を楽しむためにも、移動中は子どもやペットの様子をこまめにチェックしてあげてください。

乗り物酔いの要因を考える

乗り物酔いを起こす要因は、「身体的要因」「外的(物理的)要因」「心理的要因」などに分類できます。
身体的要因とは、過度な疲労、睡眠不足、空腹、満腹、無理な姿勢で乗り物に乗り続けるなどが挙げられます。風邪をひいている場合など、体調が万全でないときは十分に注意しましょう。クルマに乗ることに慣れていない、ガソリンや車内の臭いが気になる、カーブや揺れの大きな道路を走行した、車内でテレビを視聴したり、本を読むなどは、外的要因といえます。
心理的要因は、自分は乗り物に酔いやすいと思い込んでいる、乗り物に乗ると不安を感じるなど、心の動きによって引き起こされるものを指します。外的要因と心理的要因の両面を抑える意味で、ドライバーは安全でスムーズな運転を心がけてください。急発進や急停車はもちろん、小刻みにアクセルを踏み込むなど、クルマが揺れる運転は禁物です。この運転は危ないと同乗者が思ってしまうと、それが不安となって乗り物酔いを誘引する可能性もあるのです。

乗り物酔いを起こさないためには

地方の名物が食べられない、同行者と一緒に観光地を散策できないなど、乗り物酔いによってドライブや旅行の楽しみは半減してしまいます。そうならないためにも、乗り物酔いを起こさないように準備しておきましょう。ポイントは、前項で解説した「乗り物酔いを起こす要因」をできるだけ取り除くことです。

■身体的要因の軽減

疲労や睡眠不足、空腹などは、本人が注意すればある程度は解消できます。楽しいドライブの前夜は気持ちが高ぶって眠れないこともあると思いますが、睡眠をしっかりとるように心がけてください。旅先での食事が楽しみだから「朝食は抜いてきた」と、空腹のまま乗車するのも危険です。ドライブの日程が事前に決まっている場合は、数日前から体調管理に気を配りましょう。

■外的要因の軽減

外的要因は、ドライバーや同乗者の気配りによって軽減できます。例えば、ガソリン臭が苦手な人が同乗している場合は、その人が食事などでクルマから離れている合間に給油してください。エアコンの悪臭には消臭剤で消しておく、車内ではゆで卵や煎餅など臭いの強いものは食べない、酔いやすい人をできるだけ揺れの少ないクルマの中央部に座らせる、走行中は定期的に車内換気を行うなども同様の気配りです。

■心理的要因の軽減

心理的要因を軽くするには、暗示を活用する方法があります。「私は乗り物に酔わない」「これを食べれば(飲めば)私は酔わない」と思い込むことで、酔いにくくなる人もいます。子供の場合は、周囲から「乗り物に弱い」と言われるだけで必要以上に意識してしまうことがあります。そんなときは、子供が過度に緊張しないように、周囲の大人が「大丈夫だよ」と声をかけて安心させてあげましょう。乗り物酔いを起こしやすい人は、周りに迷惑をかけることを気にします。そんな不安を取り除くためにも、同乗者がやさしく接することが大切です。

また、友人や家族と会話を楽しんだり、好みの音楽を聴いてリラックスするのも良策といえます。会話を楽しんでいるうちに目的地に着けば、気分よくドライブ旅行を楽しめるでしょう。

乗り物酔いの対処法は?

万全に準備し、どんなにスムーズな運転を心がけても、乗り物酔いを起こしてしまうことはあります。そんなときは、どうすればよいのでしょうか?ここでは代表的な対処法をいくつか紹介しましょう。

■クルマから降りて休憩する

クルマで酔ってしまったら、降りて休むのが一番です。適切な駐車スペースを見つけて降車し、深呼吸をしたり、水分を補給したり、景色をながめて体調や気持ちを整えましょう。先を急がずに、ゆっくりと休憩する余裕が肝心です。

■酔い止め薬を飲む

酔い止め薬には自律神経を整える成分や胃腸が異常に活動するのを鎮める成分が含まれていて、頭痛や吐き気を抑えます。ドラッグストアやコンビニエンスストアで購入できるので旅先でも手に入りやすいのですが、できれば事前に医師や薬剤師に相談し、自分の体に合った薬を携帯しておくとよいでしょう。

■ツボを刺激する

乗り物酔いに効くといわれるツボを刺激する方法もあります。そのひとつが自律神経の働きを整える「内関(ナイカン)」です。内関は、手のひらを上に向け、手首の付け根(しわがある場所)から大人の指で3本分(約5cm)ほど肘側に移動した腕の中央(へこんでいるところ)にあります。少しでも乗り物酔いで気分が悪くなったら、すぐに内関を押し揉みましょう。心配な人は、乗車前から押していても構いません。

しかし、長い時間ツボを押すのは疲れてしまいます。そこで米粒(米粒大のビーズや1円玉などで代用可能)を内関に当て、絆創膏などで固定します。こうすれば力を加えずにツボを刺激できます。同様の効果がある「酔い止めバンド」を使うこともできます。酔い止めバンドはカー用品や旅行用品を扱う店で販売しているので、試してみるとよいでしょう。

■偽薬効果を狙う

偽薬(プラセボ、プラシーボ)の効果を利用して、暗示をかけます。自分自身で実践するのは難しいので、この方法には協力者が必要です。

酔いやすい人に、「酔い止め薬」と説明してタブレット菓子(錠菓)や飲料を飲んでもらいます。飲んだ人が「酔い止め薬を飲んだから安心」と思い込めば、ある程度の効果が期待できるかもしれません。薬の副作用が心配される子供には良策といえるでしょう。ただし、当然ながら錠菓や飲料には酔い止め効果はないので、それを承知で実践することになります。

また、おへその上に湿布薬を貼るという対処法も知られています。医学的に効果が証明されているわけではありませんが、これもプラセボ効果が期待できるので覚えておくと役立つかもしれません。

2015年05月現在

 

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