
[A]落下物とぶつかってしまったら路肩などに停車し、安全を確保したうえで非常電話や携帯電話から事故を通報してください。

- 高速道路の落下物は、プラスチック・ビニール・布類が多い。
- 高速道路で積載物などを落とすと道路交通法違反になる。
- 落下物にぶつかったら、安全を確保して非常電話や携帯電話で通報する。
落下物は事故や渋滞の原因になる

国土交通省の発表では、高速道路会社(東日本・中日本・西日本・本四・首都・阪神)の落下物処理件数は、2022年度に30.9万件にも達しています。このうちロードキル(動物との衝突)が5.1万件ありますが、それを除いても1日あたり約700件になります。処理件数がもっとも多いNEXCO西日本での落下物を分類別にみると、プラスチック・ビニール・布類がもっとも多く約31%で、次にタイヤなどの自動車部品類が約11%、木材類が約9%となっています。
高速道路の落下物は、後続車の事故や渋滞の原因になる可能性があります。道路交通法第75条の10では、自動車の運転者は貨物の積載の状態を点検し、積載している物の転落や飛散を防止するための措置を講じなければならないとあります。違反した者は、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金となり、過失による場合は10万円以下の罰金が科せられます。また、落下物により事故が起こった場合には、落とし主に賠償責任が生じるほか、道路交通法、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律などの違反により罰せられます。
実際に落下物が原因の重大事故も発生しています。2023年には青森県の八戸自動車道で、走行中の大型トラックから外れたタイヤが道路脇で作業をしていた男性作業員にぶつかり、2人が死傷しました。警察は当時の男性運転手を過失運転致死傷、整備担当者2人を業務上過失致死傷の疑いで、それぞれ書類送検しました。
落下物による事故を防ぐためには

高速道路では、車外の荷物は強い風圧や振動にさらされます。出発前にしっかり固定しているか確認する必要があります。また、走行中に結束が緩んでしまう可能性もあるので、走行中や休憩中にも気を配りましょう。特に紙やビニールなどの飛散しやすい荷物は、シートなどで覆い、風に当たらないようにし、シート自体も厳重に固定しましょう。
後続車が落下物事故に遭わないためには、車間距離を十分にとり、わき見運転に気を付けましょう。道路情報板に落下物の表示があったときは、前方の道路状況や先行車の動きなどに注意して走行してください。速度を控えることも重要です。また、急なハンドルやブレーキ操作は事故の原因となるため、落ち着いて対応しましょう。
落下物にぶつかったとき、落下物を見つけたときの対処法は?

走行中に落下物とぶつかってしまい、やむをえず停車するときは、近くに非常駐車帯があればそこを利用し、なければ路肩に停車します。夜間はハザードランプを点灯させなければいけないことが、道路交通法施行令第18条で定められています。同乗者をガードレールの外側に避難させ、第27条の6にあるように停止表示器材を設置し、同乗者に続いてガードレール外側などに避難したあと、非常電話か携帯電話で事故を通報します。非常電話は本線上の1㎞おき、トンネル内では200mおきに設置されています。
また通報は、道路緊急ダイヤル(#9910)でも可能です。落下物や道路の破損など異常を発見した際の通報に利用するもので、24時間通話料無料で利用できます。落下物のあった車線や地点を覚えておくと、スムーズに伝えることができます。現在はLINEアプリでも通報が可能になっています。さらに、サービスエリアなどの休憩施設や料金所の係員に伝えるという方法もあります。落下物の通報があると、高速道路会社から道路情報板やVICSなどで情報提供が行われるとともに、交通管理隊が落下物の回収に向かうことになります。
2025年09月現在