[A]車体の隙間などから排ガスが車内に入る危険性があり、一酸化炭素中毒となりやすいです。
- 排ガス中の有毒な一酸化炭素を吸い込むと、最悪の場合は死に至る。
- 一酸化炭素中毒防止には、マフラー周辺を定期的に除雪するのが重要。
- 降雪時はできるだけエンジンを切り、毛布やスコップ等の常備も大切。
一酸化炭素中毒とは何ですか?
エンジンの排気ガスには有毒な一酸化炭素(CO)が含まれています。一酸化炭素は空気より軽く、無色・無臭・無刺激の気体です。そのため発生に気付かないことが多く、危険の察知が非常に難しい有毒ガスです。一酸化炭素は吸い込むと血液中のヘモグロビンと結合します。それにより血液の酸素運搬能力を阻害するため、身体が酸素欠乏状態となります。中毒症状は一酸化炭素の濃度と吸引量によって異なります。軽度であれば、軽い頭痛や疲労感などがみられ、症状が進むにつれて激しい頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気などが起きます。重症になると意識障害や痙攣が起き、昏睡状態に陥ります。最終的には心肺機能が停止し、死に至ります。
クルマが雪で埋まるとどうなりますか?
JAFによるユーザーテストでは、クルマの周囲を雪で埋めるだけでなく、ボンネットの上まで雪を被せた状態(ワイパー下の外気取り入れ口を塞いだ状態)でエンジンをかけ、空調を外気導入にして車内のCO濃度の変化を検証しました。すると、排ガスが車体の下側に溜まり、エアコンの外気導入口を伝って排ガスが車内に吸い込まれていくことが確認できました。車内のCO濃度をガス検知器で測定すると、16分後にCO濃度は400ppmに上昇し、その後6分で1,000ppmに達しました。この数値は、身体への影響が「3時間ほどで致死」という、非常に危険な状態にあることを意味します。また、空調を内気循環にしても、車体の隙間などから排ガスが車内に入る危険性があります。
一酸化炭素中毒とならないための対策とは?
一酸化炭素(CO)中毒を防止するために最も重要なのが、マフラーの周辺を定期的に除雪することです。JAFによるユーザーテストでは、クルマがボンネットの上まで雪で埋まった状態でエンジンをかけても、マフラー周辺を除雪しておいた場合は、車内のCO濃度はほとんど上がらないという結果が出ています。同じ条件でマフラー周辺を除雪せず、運転席の窓を5cmほど開けた場合のCO濃度も測定しました。その結果、初めはあまり上昇せずに、風が止むと濃度が「2時間で失神」する危険レベルまで上昇しました。天候によって変化することもあるので、換気には十分な注意が必要です。天候や状況によっては短時間のうちにクルマが雪に深く埋まることもあります。降雪時に車内にとどまる際には、できるだけエンジンを切るようにしましょう。また冬場は万が一に備えて、除雪用のスコップや防寒着、毛布などを車内に用意しておくとよいでしょう。
2016年02月現在