[A]水はねを防ぐには十分に速度を落として水たまりを通過する必要があることが分かりました。
- 歩行者がいたら、水たまり付近は十分に速度を落として走行。
- 水はねで歩行者に迷惑をかけると、道交法違反になる場合がある。
- 対向車の水はねは前方視界を妨げ、事故につながる危険もある。
クルマの水はねは、どれくらい飛ぶのか。
水たまりができているような道路では、ドライバーはタイヤではね上げた水しぶきが歩行者にかからないよう十分に注意して走行しなければなりません。
JAFでは、クルマが水たまりを通過したときに発生する「水はねによる歩行者への影響」について検証を行いました。道路の水たまりは、わだち状で水深が約1㎝。歩行者は車道から一段上がった歩道を利用しています。歩行者をクルマが通り過ぎるときの間隔は約50㎝。クルマはコンパクトカーを使い、時速40㎞、時速20㎞、時速10㎞の3つの条件で水たまりを通過し、各速度によってどの程度の水はねが起こるかを調べました。
その結果、時速40㎞では歩行者(身長約150㎝)の肩の高さまで水しぶきが上がり、車両側方へは約2mまで水がはねました。結果、歩行者の衣類が濡れ、明らかに歩行が妨げられました。
時速20㎞では、時速40㎞に比べて水はねは小さくなりましたが、歩行者の足元に水がかかりました。時速20㎞でも、水はねのリスクがあることが分かりました。
さらに速度を落とした時速10㎞では、水はねが歩道に達することはありませんでした。速度が1/4になったときの運動エネルギーは1/16になるので(運動エネルギーは速さの2乗に比例)、水はねの距離が時速40㎞に比べて1/16相当(1/4の2乗である)になったと推察できます。
これらの実験結果から、水はねを防ぐには十分に速度を落として水たまりを通過する必要があることが分かりました。
水はねで歩行者に迷惑をかけたときの罰則とは?
近くに歩行者などがいて、水はね(泥はね)を発生させる可能性があるときは、たとえ晴天時であっても速度を落として走行する必要があります。歩行者側のスペースをできるだけ広めにとり、安全な距離を保つことも大切です。また、冬季の融雪時も水たまりやぬかるみが発生しやすいので注意しましょう。
水はねなどによって歩行者に迷惑をかけると、「泥はね運転違反」で罰則を受けることがあります。道路交通法第71条の1には、「ぬかるみ又は水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、又は徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」とあります。違反すると、大型車は7,000円、普通自動車と二輪車は6,000円、小型特殊自動車と原動機付自転車は5,000円の反則金が課せられます。
また対向車とすれ違うとき、水はねによって急に対向車の視界を塞いでしまうこともあります。大変危険です。ドライバーはこのような可能性があることを頭に入れ、速度の出しすぎに十分注意して運転することを心がけましょう。
2019年02月現在