[Q]エンジンオイルの選び方は?

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[A]クルマの取扱説明書に記載されているオイルを推奨します。

  • クルマごとに適したエンジンオイルがある。
  • オイルはグレードや粘度で区分される。
  • 取扱説明書でマイカーのグレード(エンジン)にあったオイルを確認。

クルマごとに適したエンジンオイルがある

クルマに適したエンジンオイルは取扱説明書のメンテナンスページなどに記載されています。

記載例 1.ガソリン車

エンジンオイル オイルのみ交換 3.0ℓ SN 0W-20
オイルとフィルター交換 3.2ℓ

記載例 2.ディーゼル車

エンジンオイル オイルのみ交換 4.0ℓ DL-1 0W-30
オイルとフィルター交換 4.5ℓ

記載例にある「SN 0W-20」「DL-1 0W-30」がそのクルマで推奨されているエンジンオイルです。

エンジンオイルによっては価格の差もあり「数値がちょっと違うけど、お得だから…」という気持ちも分かりますが、特に最近の燃費性能に優れたクルマでは取扱説明書で指定されているエンジンオイルを使用しないと、クルマ本来の性能を発揮できません。

エンジンオイルの意味は?

取扱説明書に記載されている「SN 0W-20」「DL-1 0W-30」などの文字で前半のアルファベットは「グレード」、後半の数字は「粘度」を示しています。

「グレード」とは?

「グレード」はオイルの品質、性能を表す規格です。API規格とILSAC規格、ディーゼルエンジンのJASO規格が一般的です。

API規格は、米国石油協会(API)とSAE(アメリカ自動車技術者協会)、そしてアメリカ材料試験協会(ASTM)の三者が定める規格で、ガソリンエンジン車はS、ディーゼルエンジン車はCで始まります。後のアルファベットが進むほど低温始動性や耐スラッジ性、錆止め性など総合的に性能が高くなり、最近では省燃費性能を重視する傾向にあります。

現在、ガソリンエンジン用には最新のグレード「SP」が流通し、こちらは省燃費性だけでなく耐摩耗性や洗浄性などあらゆる性能が向上しています。
一方のILSAC規格は、日米の自動車工業会(ILSAC)が制定しているもので、API規格に省燃費性能を加えたものです。最新のグレードはGF-6です。

ガソリンエンジン車用オイルの規格と等級(グレード)の特徴

API規格 ILSAC規格 特徴
SA 運転条件がゆるやかなエンジンに使用可で、添加物を含んでいないオイル(ベースオイル)。
SB 最低レベルの添加物を配合したオイルで、かじり防止・酸化安定性の機能が改善されている。
SC 1964~67年型のガソリン車に満足して使用できる品質を持ち、デポジット防止性・磨耗防止性・サビ止め性腐食防止性が備わっている。
SD 1968~71年型のガソリン車に満足して使用できる品質を持ち、SCより高い品質レベルを備えている。
SE 1972~79年型のガソリン車に満足して使用できる品質を持ち、SDより高い品質レベルを備えている。
SF 1980年型以降の車に適応。酸化、高温デポジット(堆積物)、低温デポジット、サビ、腐食に対する優れた防止性能を発揮。
SG 1989年型以降の車に適応。SFの性能に加え、動弁系の耐摩耗性と酸化安定性が要求され、エンジン本体の長寿命化を果たす性能がある。
SH GF-1 1993年型以降の車に対応。SGの性能に加え、スラッジ防止性、高温洗浄性に優れる。
SJ GF-2 1996年型以降の車に適応。SHの性能を向上。さらに蒸発性、せん断安定性に優れる。
SL GF-3 2001年度制定。SJに比べ、省燃費性の向上(CO2の削減)・排出ガスの浄化(CO、HC、NOxの排出削減)・オイル劣化防止性能の向上(廃油の削減・自然保護)があげられる。
SM GF-4 2004年制定。SLに比べ、浄化性能・耐久性能・耐熱性・耐磨耗性に優れている。
SN GF-5 2010年制定。SMに比べて、省燃費性能の持続性のさらなる向上や触媒保護性能を強化。
SP GF-6 2020年制定。SNに比べて、省燃費性能や耐エンジンスラッジ、清浄性等を強化。

ディーゼル車用オイルは「DL-1 0W-30」のように記載され、最初の「DL-1」が「グレード」です。日本では、国産クリーンディーゼルエンジンに対応した独自のJASO規格が主流となっています。

ディーゼルエンジン車用オイルの規格と等級(グレード)の特徴

JASO規格 特徴
DL-0 2017年制定。DL-1に加え、API CF-4相当品質を有する。
DL-1 2005年制定。クリーンディーゼル乗用車等に対応。ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)の目詰まり寿命の向上や、省燃費性を規定することで環境負荷も軽減。高温酸化防止性も強化されている。
DL-2 2021年制定。こちらもディーゼル乗用車等に対応。
DL-1の硫酸灰分規格値(0.6%以下)を、ACEAのC規格相当(0.7%以上、0.8%以下)まで拡大。

「粘度」とは?

数字は「粘度」と呼ばれ、SAEが定める規格です。
エンジンオイルは寒冷時(エンジン始動前の外気温)から高温時(高負荷・高速走行時)まで、幅広い温度域に対応する必要があるため、「0w-20」の2つの数字は低温時と高温時の粘度特性を示しています。

「0W」は低温時のエンジン始動特性を示し、Wの前にある数値が小さいほど、寒冷時のエンジン始動が容易になります。
「20」は高温時の粘度特性を示し、数字の大きいオイルは高速・高負荷走行に適しています。

取扱説明書でクルマのエンジンにあったオイルを確認

「グレード」や「粘度」は種類が多く、オイル選びが難しく感じるかも知れませんが、マイカーに適したオイルは取扱説明書に記載のあるエンジンオイルです。
特に「粘度」はエンジンオイルの「硬さ」であり、安易に変えてしまうと「始動性が良くなっても、高負荷時に耐えられない」「高負荷には耐えられるが、始動性や燃費性能が悪化」といった弊害が考えられます。

また、クリーンディーゼル車では指定された「グレード」「粘度」のエンジンオイルを使用しないと、排ガス浄化装置の劣化につながります。
取扱説明書には同車種の「搭載エンジン」ごとにエンジンオイルが指定されています。

特に、同車種で「ターボ車」「ディーゼル車」がある場合は、マイカーの「搭載エンジン」を確認し、クルマ本来の性能が発揮できるエンジンオイルを選択しましょう。

記載例3.搭載エンジン別の記載

ガソリン車 オイルのみ交換 4.0ℓ SPI SN 0W-20
オイルとフィルター交換 4.2ℓ
ガソリンターボ車 オイルのみ交換 4.0ℓ SPI SN 5W-20
オイルとフィルター交換 4.2ℓ
ディーゼル車 オイルのみ交換 4.5ℓ JASO DL-1 5W-30
オイルとフィルター交換 5.0ℓ

2021年10月現在

 

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