
[A]内燃機関であることは同じですが、燃料の性質の違いを生かして、構造や機構が違っています。

- ガソリンは引火しやすく軽油は高温で自然発火しやすい。
- ディーゼルエンジンは圧縮比が高いので燃費に優れる。
- ガソリンエンジンは軽量なので高回転高出力志向になる。
ガソリンと軽油の性質の違い
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンでは、燃料をシリンダーの中で燃やして力を得る内燃機関であることは同じです。しかし燃料の性質は違います。
ガソリンに火をつけたマッチを近づけると、炎を上げて燃え始めますが、ディーゼルエンジンの燃料である軽油は、マッチの炎を近づけてもガソリンのようには燃えません。発火に必要な気化の温度が、ガソリンはマイナス40度以下とかなり低いからです。しかし軽油は、高温のときに燃えやすいという特性を持ち、熱を加えたときの自然発火温度は、軽油のほうがやや低くなります。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンには、こうした燃料の性質の違いを生かす機構が盛り込まれています。
ガソリンエンジンにはスパークプラグが付いています。これはマッチの火のような役目を果たし、空気とガソリンが混ざった混合気を燃焼させます。一方、ディーゼルエンジンは、始動時のためにグロープラグがあるものの、始動後は自然発火で、シリンダー内を高温にして燃えやすくするように、圧縮比が高めになっています。逆にガソリンエンジンの場合、圧縮比を上げすぎると自然発火し、ノッキング(異常燃焼)が発生してしまうので、ディーゼルエンジンより低めに抑えられています。
ディーゼルエンジンの燃費が良い理由
エンジンの特性としては、ディーゼルエンジンは大きなトルクを発揮しやすく、ガソリンエンジンは高回転で高出力を発揮しやすいという特徴があります。軽油のほうがガソリンより発熱量が高い、つまり燃焼時のエネルギーが大きいので、高圧縮比も相まって、大きなトルクを生み出せるようになっています。さらに圧縮比が高いということは、空気に対する燃料の量が少ないことを意味するので、燃費の良さにもつながっています。
ただしディーゼルエンジンは高い圧縮比に耐えるため、エンジンを重く頑丈に作らねばならないという欠点もあります。よって音や振動が大きめになり、高回転が苦手になっています。逆に言えばガソリンエンジンは軽く作れるうえに、シリンダー内での燃焼も瞬間的に行われるので、高回転高出力を追求しやすくなっています。
2025年08月現在