[A]数字やアルファベットを用いて大きさや性能などを示している型式を参考にします。
- バッテリーには複数の規格があり、日本メーカーの乗用車・商用車は4つの規格を使用。
- それぞれに大きさや性能などを示す独自の型式を表記。
- アイドリングストップ車、一部のハイブリッド車には専用のバッテリーがある。
バッテリーの型式で大きさや性能がわかる
日本メーカーの乗用車・商用車の場合、バッテリーの規格は通常車用のJIS(日本産業規格)、一部のハイブリッド車用のJIS、アイドリングストップ車用のSBA(電池工業会規格)、欧州の委員会や協会が定めたEN規格に準拠した日本車専用のSBAという、4つの規格があります。
通常車用のJIS規格では、たとえば「55B24R」と記してある場合、最初の55はバッテリーの性能ランクを示すものです。数値が大きいほど性能が高くなります。次のアルファベットはバッテリーの幅(短い側面)×高さを表しています。A~Hまでの8種類があり、A→Hの順に大きくなります。アルファベットの後の数字はバッテリーの長さ(長い側面の寸法、単位はcm)を表しています。末尾のアルファベットは端子の極性位置を示しています。プラス端子を手前にしてバッテリーを見たとき、プラス端子が幅面の中心より右にあれば「R」となり、左にあれば「L」となります。
ハイブリッド車の場合、モーターを動かす駆動用バッテリーとハイブリッドシステムを起動るための補機用バッテリーが積まれています。定期的に交換が必要なのは補機用バッテリーで、車種によっては密閉式のVRLA(制御弁式鉛蓄電池)が使われます。こちらは通常車用の型式の頭にS(シールド/密閉の頭文字)が加わります。密閉式なので電解液の補充が不要であることも特徴です。
バッテリー交換時の注意点は?
一方、アイドリングストップ機能の付いたクルマの場合は、頻繁にエンジンの停止と始動を繰り返すので、従来のクルマよりバッテリーへの負担が大きくなります。そのため、専用のバッテリーがあり、SBAによる型式が定められています。たとえば「M-42R」の場合は、Mは大きさ(長さ・幅・高さ)の区分を表し、J、K、M、N、P、Q、S、T、U、V、W、Xの12種類があります。次の42はJIS規格と同様の性能ランクを表します。最後のRは端子の位置で、考え方はJIS規格と同じですが、Lタイプの場合は「M-42」のようにLの表記を省略します。
欧州のEN規格に準拠したバッテリーの型式は、日本車専用のものがSBA規格で定められていますが、内容は欧州車用と同じで、「340LN0」などとなっています。前半の340はバッテリーの性能ランクを示すものです。数値が大きいほど性能が高くなりますが、3桁数字であることでお分かりのように、JISとは数字の意味が異なります。残る「LN0」は大きさ(長さ・幅・高さ)の区分を表し、LN0〜LN6があります。端子の位置はすべてLタイプです。
バッテリーを交換する際は、もともと付いていたものと同じ型式を選ぶのが基本ですが、同じ大きさでも高性能なものを付けることで、エンジンの始動がスムーズになったりします。ただしアイドリングストップ車に通常車用のバッテリーを装着すると、「アイドリングストップ機能が働かない」「バッテリーの寿命が短くなる」などのデメリットがありますので、それぞれのクルマに合った規格を使用することが大切です。
2024年12月現在