[A]前後のブレーキをそれぞれバランス良く操作することで、車体を安定させながら停止させましょう。
- 制動力の大きい前ブレーキを積極的に引き出すように制動させる。
- ニーグリップの徹底で、急ブレーキ時でも乗車姿勢を安定させる。
- 原付二種以上のバイクは、ABSか前後連動型ブレーキが義務化。
安全な急ブレーキの方法とは?
バイクはさまざまな運転技術が必要ですが、自らの命を守る上でもっとも大切で難易度の高い操作が急ブレーキです。バイクのブレーキはクルマと異なり、前輪と後輪の2系統に分かれています。前後のブレーキをそれぞれバランス良く操作することで、車体を安定させながら停止させることができます。急ブレーキ時にはなるべく車体を立ててハンドルをまっすぐにします。そしてアクセルを戻し、前輪と後輪のブレーキを同時に使います。このとき、制動力が大きな前ブレーキの能力を積極的に引き出すようにイメージしてブレーキをかけます。前輪ブレーキのレバーはガツンと全力で握るのではなく、手の感触に集中して素早くレバーを引いてからグググッと強く握り込んでいきます。後輪ブレーキは一定の強さで踏み込みます。後輪ブレーキは車体の荷重配分を均衡させ、安定させる役割があります。エンジンブレーキという制動力も最大限に利用するため、クラッチは停止の直前まで切らないようにしましょう。
急ブレーキに備える乗車姿勢は?
急ブレーキをかけると、どうしてもライダーが前方に引っ張られ、前のめりの姿勢になりがちです。こうなると前輪タイヤがすぐにロックしてしまい、最悪の場合は転倒する危険があります。よって乗車姿勢を安定させることが大切です。乗車姿勢は膝と太ももでタンクをしっかり挟んだニーグリップが基本です。こうして下半身を安定させ、急ブレーキと同時に上半身が前のめりにならないよう支えます。背筋と腹筋も意識して使いましょう。ブレーキレバーにかける指は、人差し指と中指の2本がけ、それに薬指を加えた3本がけ、さらに小指を加えた4本がけ、いずれでも構いませんが、手のひらや指の長さで無理なくしっかりとかけられるようにします。ブレーキレバーが調整できるバイクもあります。後輪ブレーキのペダルは土踏まずでステップを踏むようにして、ペダルを親指の付け根付近で踏みます。つま先はまっすぐ進行方向へ向けます。つま先が外側を向くと、ニーグリップができません。乗車姿勢を安定させれば、急ブレーキ時に前輪や後輪がロックしても対処しやすくなります。
バイク用のABSや前後連動ブレーキって?
バイク用のABS(アンチロックブレーキシステム)は、急ブレーキを行なった際のタイヤロックを防ぐとともに、転倒を防止することを目的としています。バイクが直立している状態であれば、転倒のリスクを軽減しながら積極的に強いブレーキ操作が行なえるため、事故の被害抑制にもつながります。
CBS(コンバインドブレーキシステム)とは前後輪連動型ブレーキのことで、すでに原付や小型スクーターをはじめ複数のモデルに搭載されています。ライダーが前輪ブレーキ、後輪ブレーキのどちらかだけを操作しても、もう一方のブレーキが補助的に作動するため、前後輪ともに最適なバランスでブレーキがかけられる装置です。ただし、バイクのブレーキは前ブレーキ、後ブレーキとも同時にかけることが基本です。CBSはあくまでも前後輪ブレーキのバランスを最適化するシステムであることを理解してください。
こうしたバイク用の先進制動システムは、世界中で普及が進んでいます。日本でも原付一種を除く全てのバイクについて、ABSの装備が義務化されます。新型車は2018年10月から、継続生産車は2021年10月から適用され、排気量が126cc以上となるバイクにはABSが、50cc超~125ccの原付二種にはABSまたはCBSが必ず装備されることになりました。
2017年01月現在