[A]さまざまなタイプやサイズを試着して、適切なフィッテイングであるかどうかを確認して購入しましょう。
- バイクのヘルメットには多様な形状があり、自車の排気量や用途に合わせて選ぶ。
- モデル選びは、PSCやSGマーク、JIS規格などの安全規格の表示に留意。
- 購入前に頭のサイズを測り、試着時はあごひもを締めて装着感を確認。適切なサイズのものを選ぶ。
どんなタイプのヘルメットがあるのか、またその特徴について
バイク(自動二輪車および一般原動機付自転車)は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはいけません。自動二輪車については、乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させることも禁じています。これらは道路交通法第71条の4で規定しています。また道路交通法施行規則第9条の5では乗車用ヘルメットの基準について、
- (1)左右および上下の視野が十分とれること。
- (2)風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
- (3)著しく聴力を損ねない構造であること。
- (4)衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
- (5)衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
- (6)重量が二キログラム以下であること。
- (7)人体を傷つけるおそれがある構造でないこと
と定めています。
バイクの乗車用ヘルメットにはさまざまなタイプがあります(下表参照)。ヘルメットは転倒などの際、頭部を守る大切なプロテクターです。ヘルメットを選ぶ際にはまず安全性を第一に考え、自車の排気量に応じたヘルメットを選んでください。ハーフ型ヘルメットのほとんどは 、排気量125cc以下のバイク用です。ハーフ型ヘルメットで排気量126cc以上のバイクに乗車してもライダーに法的な罰則はありませんが、自分自身を守るためにも車格に適したヘルメットを選びましょう。
ヘルメット形状 | 特徴 | |
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フルフェイス型 |
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ジェット型 |
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システム型 |
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オフロード型 |
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ハーフ型 |
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しっかりと確認しておきたい安全規格について
乗車用ヘルメットは、「PSC」マークおよび「SG」マークのついたものを選びましょう。「PSC」マークは国が定めた安全基準に適合した製品に表示されます。「PSC」マークがないものは乗車用ヘルメットとしての販売が法律上禁止されています。「SG」マークは製品安全協会が定めた認定基準に適合した製品を示すもので、製品の欠陥による人身事故には最高1億円までの賠償措置が講じられます。この2つのマークは同じラベルで表示されていることがほとんどです。PSC/SGの上の任意規格として、日本工業規格のJIS規格や、世界でも最もシビアな安全テストを行うSNELL規格があります。SGとJISには排気量125cc以下用の限定規格が設定されているので注意してください。SGマークの125cc以下のヘルメットを着用して125cc以上のバイクに乗った場合、上に書いた賠償が受けられない可能性があります。JISの場合は125cc以下が「JIS1種」、排気量無制限は「JIS2種」となります。ヘルメットは自分を守る砦なので、安全規格には十分に注意して選びましょう。
購入前に必ずかぶってサイズを確認し留め金も確認
大手メーカーのヘルメットは頭の外周サイズごとに大きさが設定されています。眉の上で、額のいちばん張り出した位置から水平に回した長さを測り、自分の頭囲サイズを確認します。この数字に近い表記サイズのヘルメットを試着してみましょう。できれば店頭で専門知識を持った店員さんからアドバイスをもらいながら、さまざまなタイプやサイズを試着して、適切なフィッテイングであるかどうかを確認して購入してください。試着の際は、あごひもをしっかり締めるところまで試します。留め金も自分でちゃんと締められるかどうかを確認しましょう。ちょうど良いとされるサイズのヘルメットは若干窮屈に感じられます。しかし、人の頭の形状は千差万別なので、かぶっているうちに頭が痛くなるといった場合には、着脱式の内装部品を交換することで若干のサイズ調整ができる場合もあります。また、眼鏡を着用している人は、ヘルメットが眼鏡に干渉したり、ヘルメットの締め付けによって眼鏡がゆがんだりしないか、十分なチェックが必要です。
ヘルメットには寿命がある
ヘルメットの構造は、大きく分類して「外装」「衝撃吸収ライナー」「内装」の3つに分けられます。走行時に転倒して衝撃を受けた場合は、見た目に変化がなくてもすでに「衝撃吸収ライナー」がつぶれている場合が多く、安全性能が低下しているので使用を中止しましょう。「内装」は頭部とヘルメットを固定する役割があります。直接、肌と触れるため吸水性に優れた素材が使われています。また、ヘルメットのなかには内装の一部を取り外し、自宅でクリーニングすることが可能なものもあります。 ヘルメットは使用していなくても素材の経年変化などから時間の経過とともに寿命は低下していきます。バイク用のヘルメットの多くには内装に製造年月日が記されていますが、使用方法や保管方法、さらには使用中に受けた衝撃などによってその寿命は大幅に変わるため、ヘルメットの製造元では「寿命は何年」という表現よりも、使用過程による損傷具合を考慮して使用期限を定める例が多く見られます。なお、SGマークの有効期限がヘルメット購入後3年と設定されていることから、大手メーカーでは3年を目安に買い替えを推奨しています。 新品であっても転倒による強い衝撃を一度でも受けた場合は使用を中止するとともに、寿命の判断がつかない場合は、販売店などで正しく機能しているかを確認しましょう。
2023年11月現在