[A]直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する必要があります。
- 事故発生時はただちに運転を停止し、人や物の被害状況を確認。
- 最寄りの警察署や現場の警察官に事故発生の日時と場所などを報告。
- 対人事故は60日以内に書面の通知がないと保険金は支払われない。
事故発生時に加害者が行うべき措置は、法律に定められた義務です。道路交通法第72条では、交通事故にかかわった車両などの運転者や同乗者は、ただちに運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止するなど必要な措置を講じなければならないとされています。
現場の道路状況、衝突地点、停車位置、被害者の転倒地点、事故車両の破壊状況など、事故状況の証拠も収集しておきましょう。これらは第72条で警察官に報告することが義務付けられていますし、今後の手続きにも役に立ちます。目撃者がいる場合は、その住所、氏名、連絡先など話を聞いておくことも大切です。カメラなどがあれば撮影しておくのも有効な方法です。保険会社への通知も忘れてはいけません。通知を怠ると、保険金が支払われない場合もあります。保険契約を締結している保険会社の対応窓口か、その取扱い代理店に対し、すみやかに連絡を入れましょう。
具体的には以下の措置を行います。
負傷者の救護と道路上の危険の除去
- (1) 運転の停止
ただちに自動車の運転を停止し、人や物に対する被害状況を確認しなければなりません。 - (2) 負傷者の救護
負傷者がある場合はただちに救護し、必要があれば近くの病院に運び、救急車の手配などを求めなければなりません。必要があれば近くの病院に運ぶとともに救急車の手配などを求めます。これらの救護の措置をとらずに現場を立ち去りますと、運転者はひき逃げ(救護義務違反)となり、第117条により処罰されます。運転者が被害状況を確認しなかったため、負傷者のいることを知らずに現場を立ち去った場合、あるいは運転者自身の判断で、負傷は軽微であるから救護の必要はないとして現場を立ち去った場合でも、ひき逃げ事故として同様に罰せられますから、事故を起こしたときは必ず負傷者の有無を確認すべきです。なお、被害者が死亡している場合は、遺体をいつまでも路上に放置せず、手厚く安全な場所に移動しておくべきでしょう。 - (3) 道路における危険の防止
交通事故の続発を防ぐため、事故車両を安全な場所に移動したり、接近してくる他の自動車に事故の発生を知らせるなど、道路における危険防止の措置をとらなければなりません。なお、この場合、後に事故現場がわからなくなることのないよう配慮する必要があります。
警察への報告
負傷者の救護や道路における危険防止の措置が終わったら、運転者などはただちに、現場に警察官がいれば警察官、いない場合は最寄りの警察署(交番や駐在所を含む)の警察官に、次の5つの事項を報告しなければなりません。
- (1) 事故発生の日時と場所
- (2)死傷者の数と負傷者の負傷の程度
- (3)損壊した物と損壊の程度
- (4)その交通事故にかかわる車両などの積載物
- (5)その事故についてとった措置
もっとも日本国憲法第38条にあるとおり、何人も自己に不利益な供述は強要されませんから、運転者に過失があることまで報告する義務はありません。この報告は電話で行ってもかまいませんが、報告を怠ると処罰されます。
事故状況の証拠の収集
交通事故は、加害者の一方的過失で起こるだけでなく、被害者の過失や、両者の過失の競合あるいは道路の欠陥などが原因となって発生することが少なくありません。このような場合、加害者に対する刑事責任や民事責任(損害賠償の請求など)の追及などに備えて、被害者側の過失あるいは道路の欠陥などを立証する資料を収集しておくことは重要です。そのためには、現場の道路状況、衝突地点、停車位置、被害者の転倒地点、破片の散乱状況、事故車両の破壊状況などの写真を撮ったり、スリップ痕の位置や長さを測定したり、図面を作成するなどして記録しておくと大変役に立ちます。また事故の目撃者がいる場合は、その住所、氏名、連絡先、目撃内容などをメモしたり、話をテープにとっておくことなども効果的です。
保険会社への通知など
- (1) ただちに事故発生の日時、場所および事故の概要を通知します。
- (2)遅滞なく、書面をもって、(事故の状況/被害者の住所、氏名または名称/事故の状況について証人となる者があるときは、その住所、氏名、名称/損害賠償の請求を受けたときは、その内容)を通知します。
正当な理由がなく、この通知を怠りますと、保険金が支払われないことがあります。対人事故の場合には、事故発生の日から60日以内に、書面による上記(2)の通知がなされないと、原則として保険金は支払われないので、注意が必要です。なお、被害者の住所、氏名、連絡先のほか、被害者側にも過失がある場合に、損害賠償を請求することになりますので、被害者の加入している自動車保険も記録しておくべきでしょう。
2023年11月現在