[A]事故を防ごうとする意識と運転方法によって、もらい事故などに巻き込まれる確率を減らし、あらゆる事故を遠ざけることが目的です。
- ドライバーが、交通事故を回避するために行う運転方法のひとつ。
- 他者が原因の事故に巻き込まれる確率を減らし、事故被害を最小限に抑える。
- 自ら心身の状態をチェックし、時間と心に余裕のある運転を心がける。
あらゆる事故を遠ざけ、自らと他者を守ることが目的
防衛運転とは、ドライバーが交通事故を回避するために行う運転方法のひとつです。交通事故は、加害者になるだけでなく、被害者として巻き込まれる可能性もあります。防衛運転は事故を防ごうとする意識と運転方法によって、「自分が原因の事故を起こさない」ことに加え、もらい事故など「他者が原因の事故に巻き込まれる確率を減らし、事故発生時の被害を最小限に抑える」ことなど、あらゆる事故を遠ざけながら、自らと他者を守ることが目的となります。
防衛運転の内容は、人の内面によるもの、運転技術によるもの、道路環境によるものなど多岐にわたります。では、事故防止のために必要な防衛運転には、どういったものがあるのでしょうか?
事故を起こさないためには運転前の準備も大事
「自分が原因の事故を起こさない」ための防衛運転は、運転前の準備や心構えから始まります。例えば、体調管理を考えてみましょう。体調が悪いときに運転を行えば判断力が低下し、安全走行に支障が出るかもしれません。病気、服薬、アルコール(身体にアルコールが残っているときは絶対に運転をしない)、疲労の程度などを自分でしっかりチェックし、安全運転を意識した体調管理を行います。体調不良時は運転を控えるという判断も防衛運転と言えます。また、目的地までの所要時間を長めに想定し、精神的にも余裕のあるドライブプランを立てることも危険から身を守る防衛運転のひとつです。
降雪や豪雨など、天候にも注意が必要です。行き先の交通状況に大きな影響を及ぼすような天候が予想された場合、不要・不急の運転を避けることは防衛運転になります。
クルマの発進前の防衛運転には、クルマ周辺の安全確認があります。クルマには運転席から見えない死角があるため、乗車前にクルマを一周し、周囲に人や障害物がないかを確認します。後退時は、バックモニターだけに頼らず、積極的に降車して後方を目視で確認します。
「事故発生時の被害を最小限に抑える」ための防衛運転では、シートベルトの着用が挙げられます。具体的には、高速道路に限らず、一般道でも全席でシートベルトを着用し、6歳未満の幼児を同乗させるときは必ずチャイルドシートを使用します。
繰り返し実践して「習慣」にする
「他者が原因の事故に巻き込まれる確率を減らす」ための防衛運転は、走行中の安全意識がポイントになります。例えば、十分な車間距離の確保も防衛運転のひとつです。走行時に前を走るクルマと十分な車間距離を保つことで、たとえ前走車が急停止したとしても、ゆとりを持って対応することができます。車間距離が短いと、とっさの回避行動がとれず、事故を未然に防いだり、事故被害の拡大を防ぐことが難しくなります。
交差点を通行するときは、一時停止や赤信号を無視して進入してくるクルマがあることを想定し、交差点を安全な速度で通過するなども、他者が原因の事故に巻き込まれる確率を減らすための防衛運転となります。
道路付近に子どもや高齢者、自転車などがいるときは、急な飛び出しや転倒によって事故の原因になることがあります。歩行者や自転車とは十分な距離をとり、予測できないいかなる事態にも対処できるように準備をしておくことも防衛運転のひとつです。
薄暮の時間帯は早めにヘッドライトを点灯する、夜間走行は対向車や前走車が存在する場合等を除いて原則としてハイビーム(走行用前照灯)で走行するなども、歩行者や障害物を早めに発見し、事故を未然に防ぐ防衛運転の方法と言えます。
これらの防衛運転ですが、頭で理解しているだけでは意味がありません。運転前や運転中に繰り返し意識し、実践して「習慣」にすることが大切です。
2023年08月現在