[Q] ガードレールの種類と設置の目的とは?

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[A]ガードレールは車両用防護柵の1種で車両用が4種類、歩行者自転車用が2種類となっています。目的は、車両の損傷や人的被害を最小限に抑えるためです。

  • 車両の道路外逸脱を防ぎ、車両の損傷や人的被害を最小限に抑える。
  • 車両用防護柵は、車両の走行速度が上がるほど強度が必要になる。
  • 事故時は三角表示板などで後続車に危険を知らせ、警察などへ連絡。

ガードレールは車両用防護柵の一種

ガードレールは車両用防護柵の一種

ガードレールとは、路側に設置する「防護柵」のひとつの種類です。防護柵は「車両用防護柵」と「歩行者自転車用柵」の2つに分類でき、車両用防護柵はガードレール、ガードパイプ、ガードケーブル、ボックスビームの4種類、歩行者自転車用柵は乱横断防止柵と転落防止柵の2種類に分類できます(製造業者によって呼び方は異なります)。
ガードパイプとは、適度な剛性をもつ複数のパイプと支柱で構成された防護柵です。ケーブルで構成されるため雪が積もりにくいガードケーブルは、降雪量の多い地域でよく使われます。ボックスビームは角パイプと支柱で構成され、表裏がないので道路の中央分離帯などに使用されます。
車両用防護柵の設置目的は、車両が道路外などへ逸脱した場合に生じる損害を防止することです。そのため、クルマやバイクが衝突した場合でも突破させない、あるいは道路側に押し戻すなど車両の進路を変えるのが大切な役目であり、クルマを実際にぶつける実験で性能が担保されたものが使用されています。材質は主に鉄が使われます。鉄は延びやすく割れにくい性質があり、ガードレールが変形することで、車両の損傷や乗員の負傷を最小限に抑え、歩行者などへの人的被害や沿道施設などへの物的損害も防ぎます。さらに、運転者の視線を進行方向へ誘導することで、安心して道路を走行できるようにする役目もあります。
歩行者自転車用柵は、歩行者や自転車が路外や車道に転落したり、車道を横断するのを防ぐのが主な役目で、歩道と車道を区分することで歩行者の安全確保も期待できます。車両用に比べてパイプなどが細く、耐荷重が基準値に達していれば設置することができます。

ガードレールの強度と種類とは?

防護柵を設置する各自治体は、道幅、交通量、人通りの多さなどによって車両用防護柵か歩行者自転車用柵かを選びます。車両用防護柵の場合は、道路に設定された「設計速度」によって使用する防護柵の強度が異なります。道幅が狭く車両の走行速度が遅い市町村道よりも、道幅が広く車両の速度が上がる県道や国道のほうが、より強度が必要とされています。
ガードレールには、クルマが衝突する強さに応じていろいろな形状があります。ガードレールの鉄板を「ビーム」(横木)と呼びます。ビームは折り曲げていくつかの山が作られ、折り曲げが多いほど強度が高くなります。
ガードレールの強度は低いほうからC種、B種、A種、SC種、SB種、SA種、SS種の7種類に分類されます。一般的に、C種は市町村道、B種は県道や国道、A種以上は交通量の多い幹線道路や高速道路、自動車専用道路などに使われます。最も強度が高いSA種やSS種は鉄道の上を高速道路が通っているような跨線橋などに用いられ、線路にクルマが落下するような大事故を防ぎます。
安全を高めるために、ガードレールには視認性がよく夜でも見やすい白色が多く使われています。しかし、2004年に国土交通省が景観に配慮した防護柵のガイドラインを定めたことで、白色以外も採用されるようになりました。現在は景観ガイドラインに定められたダークグレー(濃灰色)、ダークブラウン(こげ茶色)、グレーベージュ(薄灰茶色)などが使われている他、道路からの景色が見やすいガードパイプの設置数も増えています。

ガードレールにクルマをぶつけたときの対処方法とは?

ガードレールにクルマをぶつけたときの対処方法とは?

ガードレールにクルマをぶつけてしまったときは、二次被害となる事故を防ぐことが大切です。車両を安全な場所に移動させ、三角表示板や発炎筒、ハザードランプなどを使って後続車に危険を知らせましょう。危険防止の措置を終えた後、警察や保険会社、ガードレールの所有者などに連絡します。ガードレールの所有者とは、国土交通省、都道府県、市町村などの道路管理者です。ガードレールとの接触は物損事故(自損事故)に分類されますが、事故を起こした運転者には人身事故と同様に警察へ報告する義務があります(道路交通法第72条第1項)。
多くの場合、運転者が義務を果たしている(故意や重大な過失などがない)限り、物損事故であれば交通違反の点数が加算されるなどの行政処分はありません。罰則や反則金もありません。しかし、運転者が義務を果たさず、そのまま走り去ってしまう(当て逃げ)と、違反点数と罰則が科せられます。点数は安全運転義務違反2点と当て逃げの付加点数(危険防止措置義務違反)5点の合計7点となり、この違反点数だけでも免許停止処分となります。また、報告義務違反の場合は3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金、危険防止措置義務違反では1年以下の懲役または10万円以下の罰金が適用されることもあります。
ガードレールの所有者が弁償を求めた場合は、事故を起こした人が賠償金を支払います。賠償金額は破損の度合いやガードレールの種類によって異なります。弁償や修理費用は、一般的に対物賠償保険が適用されます。

2023年08月現在

 

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