[A]わかりやすいのはスクランブル交差点です。車両の通過と歩行者の横断が交わらない信号です。
- 車両と歩行者の青信号のタイミングを分離し、交差点での事故を低減。
- スクランブル式の歩車分離式信号は、歩行者の斜め横断ができる。
- 歩車分離式信号には、車両用信号の脇に補助板を設置している。
歩車分離式信号には、どんな種類があるの?
「歩車分離式信号」とは、車両の通過と歩行者の横断が交わらないように、青信号のタイミングを分離している信号機です。歩行者が横断中に車両が横切らないように信号を制御するため、交差点の事故を減少させる効果があります。2002年9月に警察庁で「歩車分離式信号に関する指針」が制定され、全国的に整備が進んでいます。 歩車分離式信号には、すべての車両を停止させている間に歩行者を横断させ、さらに歩行者の斜め横断ができるスクランブル方式や、斜め横断ができない歩行者専用現示方式などがあります。また、車両用の矢印信号で車両を直進させている間に、同方向の歩行者を横断させる方式もあります。このほかに歩行者が道路に設置されているボタンを押したときのみ、歩行者信号が青になる「押しボタン方式」もあります。
歩車分離式信号の注意点は?
歩車分離式信号には、車両用信号の脇に「スクランブル方式」や「歩車分離式」などと書かれた補助板が設置されている場合があります。補助板がある交差点では進行方向の車両用信号に従い、周囲の車両の流れに配慮して走行しましょう。 注意点として、同じ進行方向の歩行者用信号が青になったタイミングで、車両が「うっかり発進」する可能性があります。歩車分離式信号では、歩行者用信号が青になっても、進行方向の車両用信号が青になるとは限りません。右左折する場合も矢印信号で指示されることがあるので、思い込みで発進しないようにしましょう。 うっかり発進は歩行者にもいえることで、信号待ちの際、同じ進行方向の車両が発進すると、つられて歩行者も横断する可能性があります。その交差点を初めて通行する人は、歩車分離式信号であることを知らずに横断してしまう可能性があるので注意しましょう。 また、自転車は、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の補助板があれば、それに従うようにします。交差点内または交差点付近に自転車横断帯が設けられている場合には、それに従って交差点を通過します。
歩車分離式信号の導入は進んでいますか?
交差点での事故を減らせる、右左折車両がスムーズに通行できるなど、歩車分離式信号にはいろいろなメリットがあります。2002年に警察庁が全国100カ所の交差点を抽出して歩車分離式信号を調査した結果、人身事故が約4割減少し、このうち人対車両の事故は約7割減少しました。 交差点の信号機は、通常、東西方向が赤なら南北方向は青の2種類ですが、歩車分離式信号では、両方向の車両を停止させ、歩行者専用の3つめの信号が加わる場合があります。そのため車両も歩行者も青信号までの待ち時間が長くなりがちで、歩行者が横断できる時間が短くなることも考えられます。その対策として、青信号の時間が延長できる交通弱者用の押しボタン信号機の設置が検討されています。 各都道府県で歩車分離式信号の導入を進めていますが、警察庁の調査では、2016年3月末の時点で、信号機全体の約4.2%(約8,700基)の設置にとどまっています。しかし、信号交差点における交通事故の防止には、有効とされています。
2017年01月現在