
[A]車両の通行と歩行者の横断を完全または一部分離した信号です。

- 車両と歩行者の青信号のタイミングを分離し、交差点での事故を低減。
- スクランブル式の歩車分離式信号は、歩行者の斜め横断ができる。
- 車両用信号の脇に標示板を設置している場合がある。
歩車分離式信号には、どんな種類があるの?
「歩車分離式信号」とは、交差点において車両の通行と歩行者の横断を完全または一部分離するように、青信号のタイミングを制御している信号機です。歩行者と車両の動線がなるべく交わらないようにしているので、交差点の事故を減少させる効果があります。
我が国では2002年に警察庁が全国100カ所の交差点を抽出して歩車分離式信号を試験した結果、人身事故が約4割減少し、このうち人対車両の事故は約7割減少したことから、同年9月に「歩車分離式信号に関する指針」が制定されました。警察庁の調査では、2024年3月末の時点で、信号機全体の約5%(約1万基)の設置にとどまっています。しかし、信号交差点における交通事故の防止には有効とされており、全国的に整備が進んでいます。
歩車分離式信号には、すべての車両を停止させている間に歩行者を横断させ、さらに歩行者の斜め横断ができるスクランブル方式や、斜め横断ができない歩行者専用現示方式などがあります。いずれの場合も、歩行者が道路に設置されているボタンを押したときのみ、歩行者信号が青になる「押しボタン方式」もあります。

歩車分離式信号の注意点は?
歩車分離式信号には、車両用信号の脇に「スクランブル方式」や「歩車分離式」などと書かれた掲示板が設置されている場合があります。
注意点としては、同じ進行方向の歩行者用信号が青になったタイミングで、車両が「うっかり発進」してしまうことがあります。歩車分離式信号では、歩行者用信号が青になっても、同じ進行方向の車両用信号が青になるとは限りません。右左折する場合も矢印信号で指示されることがあるので、思い込みで発進しないようにしましょう。
同じことは歩行者にもいえることで、信号待ちの際、同じ進行方向の車両が発進すると、つられて歩行者も横断してしまうことがあります。その交差点を初めて通行する人は、歩車分離式信号であることを知らずに横断してしまわないよう注意しましょう。
また、自転車は原則として車両用信号機に従いますが、歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板があれば、それに従うようにします。また、道路標識などにより歩道を通行できるとき、児童や幼児、70歳以上の人など車道通行が危険と認められる人が運転するとき、車道または交通の状況から安全確保のためやむを得ないと認められるときに歩道通行している場合は、歩行者用信号機に従います。
交差点の信号機は、通常は進行方向が停止か交差する道路が停止かの2通りですが、歩車分離式信号では3通り以上になります。そのため車両も歩行者も青信号までの待ち時間が長くなりがちであることは頭に入れておきましょう。


2025年07月現在