[Q]トンネルで起こる不思議な現象とは?

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[A]トンネルに入るとより強い刺激を受けることになります。とくに晴天の昼間は、明るい場所から暗いトンネルに入るために一層狭く感じ、心理的な圧迫が強まります。

  • トンネル出口付近では、時間帯によって蒸発現象や逆光現象が起こる。
  • 危険なものを注視して、無意識で接近してしまう視覚吸引作用に注意。
  • 追従静止視界とは、前車と自車が止まっているように感じる錯覚。

なぜ? トンネルに入ると速度が落ちる

なぜ? トンネルに入ると速度が落ちる

高速道路のトンネルに入ると、入る前よりもスピードが落ちる傾向があります。これは、トンネルに入ったことで急に道幅が狭く感じて、無意識のうちにアクセルペダルを緩めてしまうために起こります。では、なぜ道幅が狭く感じてしまうのでしょうか?運転中に後方へ流れる景色は、近ければ近いほど強い刺激となって目に入ってきます。それまで開けた景色のなかを走っていたドライバーは、内壁に囲まれたトンネルに入るとより強い刺激を受けることになります。とくに晴天の昼間は、明るい場所から暗いトンネルに入るために一層狭く感じ、心理的な圧迫が強まります。これがアクセルペダルを緩めてしまう主な理由です。
しかし、速度が落ちるからといって意識的にアクセルペダルを踏み込む必要はありません。他のクルマの流れに影響しなければ、そのままの速度で走行してください。大切なのは、トンネルの入口付近ではどのクルマも速度が落ちやすいことを理解し、周囲の状況に合わせて適切に対応できる心構えです。

危ない! 前のクルマが突然消える?

危ない! 前のクルマが突然消える?

晴天の昼ごろ、トンネルを出た瞬間に「まぶしい!」と感じることがあります。薄暗い地下駐車場から地上の道路へ出るときに、同じ体験をしたドライバーも多いでしょう。白色系の乗用車や銀色に光る荷台を載せたトラックが前を走っていると、まるで「前のクルマが消えた」ように感じます。なぜ、このような現象が起こるのでしょうか? 雪原の白ウサギを思い浮かべれば分かりやすいと思いますが、明るいものに明るい色を重ねると、人間の目はそのものを識別しにくくなります。白色や銀色の明るいボディカラーのクルマが強い太陽光に照らされると、全体が光に包まれたように見え、クルマが見えにくくなってしまうのです。これを「蒸発現象」といいます。
暗い色のものに暗い色を重ねた場合も同じです。空はまだ明るいのに路面近くが薄暗い夕暮れ時や、日中に照明のないトンネルに入った直後などは、黒色や濃色系のクルマが周囲の暗さと同化してしまうことがあります。これを「溶け込み現象」といいます。これらの現象が起こりやすい条件下では、他車のドライバーも同じような感覚になると考えてください。もしも自分のクルマが周囲から見えにくくなる可能性を感じたら、後方車両からの追突を回避する対策を実践しましょう。尾灯(テールランプ)はトンネルを出た直後で消さずに、少し長く点灯させておく。夕暮れ時は早めに尾灯を点灯し、周囲の安全に配慮することなどは簡単にできる対策です。
また、トンネルの出口付近で起こる「逆光現象」も危険です。山間部のトンネルでは、夕暮れ時に太陽光が正面からトンネルの出口付近に差し込むことがあります。蒸発現象と同じように、前車が光に包まれて見づらくなってしまい、後続車のドライバーがとっさにブレーキを踏んでしまうかもしれません。トンネルの走行には時間帯や周囲の状況に注意を払い、安全に走行することが肝心です。

隣のクルマが急に幅寄せしてきて焦った!

隣のクルマが急に幅寄せしてきて焦った!

片側2車線の高速道路で、左右車線のクルマがほぼ同時にトンネルに入ったとき、横のクルマが急に「幅寄せをしてきた」と驚くことがあります。もちろん、横のクルマは幅寄せをしている意識はありません。では、なぜ、このような誤解が起こるのでしょうか? 内壁に囲まれたトンネルに入ると、ドライバーは心理的な圧迫を受けます。「壁に接触してしまうかも?」と感じて無意識に内壁から離れようとするため、左車線のクルマは右寄りに、追い越し側の右車線のクルマは左寄りに走ってしまうのです。これが幅寄せを感じさせる原因です。
さらに注意したいのは、「視覚吸引作用」によるふらつき運転です。人間は危険なものを注視すると、そのものから目が離せなくなり、凝視したものに近寄ろうとしてしまう性質があります。クルマ同士が近づくとドライバーは接触を意識して、ずっと相手のクルマを見てしまうことがあります。トンネルに入るときは他車と並走しないようにタイミングをずらしたり、少し前方の白線に意識して直進性を保つ運転を心がけるようにしましょう。

危ない! クルマの動きが止まって見える?

危ない! クルマの動きが止まって見える?

ドライバーは、周囲の景色が流れることで速度を感じています。この視覚的な刺激を「流体刺激」といいます。トンネルや夜間の高速道路などは流体刺激が弱まるため、明るい場所よりも速度の感覚を失いやすく、スピードコントロールが難しくなります。
前車に追従しながら、しばらく同じ速度で走っていると、まるで前車と自車がほぼ止まっているような錯覚に陥ることがあります。これを「追従静止視界」といいます。こうなると運転感覚が鈍くなってしまい、前車がブレーキを踏んでもすぐに対応できません。トンネルでは周囲から受ける流体刺激が少ないので、前車の動きを頼りに走行することもあるでしょう。しかし、前車を見ながらぼんやりと走っているうちに、前車が速度を上げたことに気づかず、ふと我に返ってスピードメーターを見ると意外に速度が上がっていたなんていうことも起こりかねません。速度が上がっても車間距離がほぼ同じわけですから、これは大変危険です。思わぬ事故を防ぐためにも、トンネル内では前車との距離を意識的にのばしたり、前方の交通状況を確認するなど、いろいろな刺激を受けることが大切なのです。

2015年07月現在

 

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