[Q]トンネルで起こる不思議な錯覚とは?

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[A]トンネルに入ると心理的な圧迫が強まることがあります。「流体刺激」が弱まるため、明るい場所より速度の感覚を失いやすくもなります。

  • 入口では「ブラックホール現象」、出口では「ホワイトホール現象」が起こることがある。
  • トンネルの壁と反対側のクルマを注視し、接近してしまう「視覚吸引作用」に注意。
  • 「追従静止視界」とは、前車と自車が止まっているように感じる錯覚のこと。

なぜトンネルに入ると速度が落ちる?

なぜトンネルに入ると速度が落ちる?

高速道路のトンネルに入ったときに速度を落とすドライバーがいます。これは、トンネルに入ったことで急に道幅が狭く感じて、無意識のうちにアクセルペダルを緩めてしまうために起こります。では、なぜ道幅が狭く感じてしまうのでしょうか。運転中に後方へ流れる景色は、遠くの山はゆっくり流れるのに対し、近くの木々は速く流れていくので、強い刺激となって目に入ってきます。トンネルは壁に囲まれていて近くの景色しか見えないので、より強い刺激を受けるからです。とくに晴天の昼間は、明るい場所から暗いトンネルに入るために一層狭く感じ、心理的な圧迫が強まります。

しかし、速度が落ちるからといって意識的にアクセルペダルを踏み込む必要はありません。トンネルの入口付近では速度が落ちるクルマがいることを理解し、周囲の状況に合わせて適切に対応することが大事です。道路交通法第108条の28に基づいて国家公安委員会が作成した「交通の方法に関する教則」第7章第2節でも、高速道路走行の注意のひとつとして、「高速でトンネルに入ると、視力が急激に低下するので、あらかじめ手前で速度を落としましよう。」と記してあります。もちろん他のクルマの流れに影響しなければ、そのままの速度で走行してもかまいません。

隣のクルマが急に幅寄せしてきて焦った!

隣のクルマが急に幅寄せしてきて焦った!

片側2車線の高速道路で、左右車線のクルマがほぼ同時にトンネルに入ったとき、横のクルマが急に「幅寄せをしてきた」と驚くことがあります。実際には、横のクルマは幅寄せをしているわけではありません。このような誤解が起こる理由は、トンネルに入ると「壁に接触してしまうかも」と感じて無意識に壁から離れようとするため、左車線のクルマは右に、右車線のクルマは左に寄ってしまうからです。さらに注意したいのは、「視覚吸引作用」です。壁の反対側にクルマが走っていると、ドライバーは接触を意識して、相手のクルマを見てしまい、その方向にクルマが寄っていってしまうことがあります。少し前方の白線に意識したりして、直進性を保つ運転を心がけるようにしましょう。

クルマの動きが止まって見える?

クルマの動きが止まって見える?

ドライバーは、周囲の景色が流れることで速度を感じています。この視覚的な刺激を「流体刺激」といいます。トンネルや夜間の高速道路などは流体刺激が弱まるため、明るい場所よりも速度の感覚を失いやすく、スピードコントロールが難しくなる場合があります。前車に追従しながら、しばらく同じ速度で走っていると、まるで前車と自車がほぼ止まっているような錯覚に陥ることがあります。こうなると運転感覚が鈍くなってしまい、前車がブレーキを踏んでもすぐに対応できない可能性が出てきます。

トンネルでは景色が見えないので、前車の動きを頼りに走行することもあるでしょう。しかし、前車を見ながらぼんやりと走っているうちに、前車が速度を上げたことに気づかず、ふとスピードメーターを見ると意外に速度が上がっていたということも起こりかねません。速度が上がっても車間距離がほぼ同じわけですから、大変危険です。

前のクルマが突然消える?

前のクルマが突然消える?

晴天の昼ごろ、トンネルを出た瞬間に「まぶしい!」と感じることがあります。薄暗い地下駐車場から地上の道路へ出るときに、同じ体験をしたドライバーも多いでしょう。白色系の乗用車や銀色に光る荷台を載せたトラックが前を走っていると、まるで「前のクルマが消えた」ように感じます。これは、暗いトンネル内から急に外に出ると瞳孔の調整が追いつかず、前が白っぽく見えるためで、ホワイトホール現象と呼ばれます。逆に明るいところから暗いトンネルに入った直後、前が見えにくい状態をブラックホール現象といいます。こちらもトンネルの暗さに瞳孔の調節が追いつかないために起こります。

もしも自分のクルマが周囲から見えにくくなる可能性を感じたら、後方車両からの追突を回避する対策を実践しましょう。尾灯(テールランプ)はトンネルを出た直後で消さずに、少し長く点灯させておいたり、夕暮れ時は早めに尾灯を点灯したりして、周囲の安全に配慮することなどは簡単にできる対策です。

2024年07月現在

 

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