バイクの音を楽しむ『名車図鑑』1:HONDA ドリームCB400FOUR
ドリームCB400FOURオーナーのバイクストーリー
「手のかかる子ほど可愛いからね。最近のバイクはあまりメンテナンスに手がかからないし、走れば速いし、いいこと尽くめだけど、どこか物足りなくて」
そう言いながら彼は、ウエスを握った手を止めない。愛車のCB400FOURは各所を磨き上げられて、どこか誇らしげに鈍い輝きを放っている。フルレストアして、自分で一から組み上げた我が子のような存在だという。
「惚れこんで、もうずっと一途にこれだけしか乗っていないんですよ」
25歳の時に、最初のCB400FOURを手に入れた。当時はプレミア付きの高嶺の花であり、諦めていた矢先にたまたま先輩が乗っていたものを、幸運にも譲ってもらった。それからCB400FOURばかりを5~6台乗り継いで今に至る。そのおかげか、知識は相当なもの。趣味が高じて専用の整備工場を営み始めるほどだ。
「とにかくこのスタイルと音が最高。ずっと眺めていられるし、聴いていられますね」
タンクからシートにかけての流れるようなライン。全体的にスタイリッシュな、カフェレーサースタイルの車体。そしてCB400FOURのアイコンとも言うべき、管楽器のように美しいエキゾーストパイプ。所有感抜群のこの1台に、今でもなおファンが多いのも納得だ。
愛車をピカピカに磨き上げた彼が、満足げにエンジンをかける。押し殺したように低いエキゾーストノートが、辺りに響く。彼とCB400FOURが交わす会話は、これからもずっと続いていくのだろう。
エキゾーストパイプのデザイン

CB400FOURオーナーなら誰しも魅了される流麗なデザインのマフラー。もはや芸術の域ともいえるべきフロントパイプは、見る人の目を惹きつけてやまない。
タンクからシートにかけてのライン

ソリッドなデザインのタンクからきりりと一直線につながる、シートにかけての形状。当時流行りはじめのカフェレーサースタイルが多くのライダーを惹きつけた。
日本人に合ったコンパクトな車体

平均的な日本人の体形によく合ったコンパクトな車体。400クラスでこれほど軽量コンパクトな車両は、当時としては珍しかった。
エンジン音を視聴する

エンジン形式:空冷4ストローク直列4気筒
総排気量:408㎠
全長×全幅×全高:2050mm×705mm×1040mm
車体重量:185kg(乾燥重量)
最大出力:37ps
最大トルク:3.2kgf・m