バイクの音を楽しむ『名車図鑑』16:Buell XB12R
XB12Rオーナーのバイクストーリー
「あ、変態的でいいな。乗りたいけど、今乗らないともう一生乗らないかも」
そんな直感で、オーナーとBuell XB12Rの付き合いは始まった。
「これが発売された頃にビューエルかドゥカティ、どっちに乗ろうか迷っていた時期があって試乗にまで行ったんですよ。その時は結局ドゥカティを買ったんですけど、ドゥカティに長く乗った後に改めて、これの一つ前の型を見る機会があって。その時、無性に欲しくなって焦って探しました。もう無くなっちゃったメーカーなので…」
そんな彼の仕事はジュエリーデザイナー。職業柄、バイクパーツの造形にも人一倍こだわりがある。
「パッと見、普通なんですけど国産のものとは全然別物。顔なんかもウーパールーパーのようで可愛いし。後は、1200なのに250並みに軽くてコンパクトな車体。取り回しも他の大型のように億劫に感じないし、街乗りするのにすごくいい」
無駄なものをそぎ落とした造形美。ブランドの創設者、エリック・ビューエル氏の物づくりに対する姿勢にも感じるものがあるのだという。
「車体が軽くてトルクがあるので加速はすごいです。通勤で首都高を走ることが多いんですが、低い重心を軸に回転する感じで、安定して曲がってくれる。峠にもたまに走りに行きますよ」
他にも11台くらいバイクを所持していて、どれもマニアックで古いものばかり。AX14は持っている中で一番新しいそうだ。
「僕はバイクを所有すると色々カスタムしたくなる方なんですが、このバイクに関しては変えるところがない。せっかくデザインの完成度が高いのに、下手にいじるとバランスが悪くなりそうで」
「作り手の意思を尊重する」物づくりを手がける、彼ならではの答えがここにあった。
ビューエル特許のリムオンディスクブレーキ
通常、ハブリングに取り付けられるはずのディスクをリムに取り付けることによって軽量化と制動力向上を両立させている。オーナー好みの理にかなったデザインがここにある。
まさかのスイングアームの中にオイルが
こちらもビューエル特許のエンジンオイルinスイングアーム。重心の安定化に一役買っているが、ドレーンからオイルを抜くときマフラーにかかるので段ボールなどで保護する必要がある。
どこか有機的なテールデザイン
甲羅のような流線型のリヤ部と丸みのあるテールランプ、同じく丸い二重構造のウインカーが一体となってどこか有機的で、それでいて未来的なテールデザインを創り上げている。
バイク音を視聴する
エンジン形式:空冷4ストロークOHV2バルブV型2気筒
総排気量:1202㎠
全長×全幅×全高:1935mm×715mm×1100mm
車体重量:179kg
最大出力:103ps
最大トルク:11.6kg-m