バイクの音を楽しむ『名車図鑑』12:YAMAHA VMAX
VMAXオーナーのバイクストーリー
「VMAXはエポックメイキングなつくりをしているんですよ。これ、タンクのように見えるでしょう?でもガソリンは入ってなくて、タンクも給油口も実はシートの下にあるんです。驚きでしょう? あとはインテークが機能美として落とし込まれていたり、エンジン造形がすばらしかったりするんですよ。」
愛情を持って力説するオーナーは、VMAXにずっと憧れ続け、数年前にようやく手にすることができたという人物だ。
「VMAXの企画段階でのプレゼンでは実物大の絵を使ったという話もあるくらい力を入れていたそうです。当時の国外仕様は手に入れにくかったし、そもそも買う余裕がなかった。ずっと忘れられない一台でした。」
現在までにTWやTMAX、SEROW250など数々のバイクに乗ってきた。しかしずっと憧れ続けたのがVMAXだった。
「ちょうど4年前ぐらいに運良く初期型VMAXを見つけることができたんです。でも傷んだ部分が多く、腐食の進んでいたアルミパーツやエンジンは塗装し直すなどかなり手を入れました。それでも所有した時の喜びは、なんとも言えませんでしたね。20代の頃から憧れていたバイクをようやく手に入れることができて、当時の熱い気持ちが胸いっぱいに広がるというか…。」
現在は仕事帰りに海まで走ったり、休日は息子さんを乗せてロングツーリングしたりするなどVMAXライフを満喫している様子。
「息子と一緒だったときに、キーが回らなくなったんです。焦っていたら近くにコロッケ屋さんがあって、ゴマ油をさしたら直りました。息子の前でカッコ悪いところ見せたくないし、本当によかったです(笑)。古いモデルですが、ハンドルを握る手が離れそうになるくらいの加速感とたくましい排気音、そして走り出せば軽快なハンドリング。そしてどこまでも走っていけるタフネスさが魅力ですね。」
ずっと憧れ続けた愛車は、サビがあっても、傷があっても“あばたもえくぼ”。それを凌駕する気持ちは今後もずっと彼のなかで消えることはないだろう。
メーターのデザイン

特徴的なメーター周りはVMAXならでは。スピードメーターはハンドル部に、タコメーター、水温計、各種警告灯などはダミータンク部分にマウントされている。
エンジンデザイン

水冷のV型エンジンを搭載。この部分だけを切り取るとクルーザーバイクのように思えるが、トータルで見るとネイキッドスタイルをミックスした他にないスタイルである。
ガソリンタンクの位置

通常のタンク位置と変わらないようなルックスでありながら、実際のタンクと給油口はシート下というトリッキーなデザインがユニーク。そんな意外性がオーナーの心をくすぐる。
エンジン音を視聴する

エンジン形式:水冷4ストローク V型4気筒
総排気量:1197㎠
全長×全幅×全高:2300mm×795mm×1160mm
車体重量:283kg
最大出力:145ps
最大トルク:12.4kg-m