バイクの音を楽しむ『名車図鑑』11:HONDA VF1000R
VF1000Rオーナーのバイクストーリー
今から30年以上も前のバイクにも関わらず、旧車と思わせない鮮やかなトリコロールが目を惹くVF1000R。発売時からタイムスリップをして目の前に存在しているかのような美しい状態を保っている。
「ライトが暗くて車検が不合格になってしまうのでHID化しましたが、ほかはオリジナルの状態を維持しています。いつの間にか乗り始めて33年経ちましたね。」
30年以上も乗り続けるということは並大抵のことではない。なぜなら純正パーツはほとんどが欠品。いざという時に備えて、スペアパーツの収集はもちろんのこと、同車種をほかに2台も所有しているという。
「3台のうち2台はいつでも乗れる状態にしてあります。あとは部品取り車も何台か。やっぱりそういうのを維持しておくと、自分だけじゃなく、同じバイクに乗っている仲間も助けられますからね。」
本格レーサー向けのバイクということもあって、発売当時は250万円という高級車。半年後に少し値段が落ちた時に思い切って購入したという。
「VF1000Rは1980年代にホンダの新しいフラッグシップマシンとして登場しました。この当時最先端のデザインを取り入れたカウルや、各部ジュラルミンで構成されたレーシングパーツ、そして圧倒的な存在感が心を揺さぶります。」また、オーナーが33年間ずっとVF1000Rに乗り続けているには理由があった。「当時、性能やスタイルに惚れて購入したんです。出先でも多くのVFに会えることを楽しみにしていたのですが、VF乗りを見ることがほとんどありませんでした。乗り続ける理由は、1台でも多くの元気なVF1000Rの姿を見たいからですね。」と笑う。そんな想いを叶えるべく、現在はVF1000R/Fのオーナーズクラブを前会長から引き継ぎ、運営している。彼の活動は、愛車への強い想いで今日も繋がっているのだ。
2つの丸いテールランプ

VF1000Rには3種類のモデルがあり、ヘッドライト形状や、テールカウル形状、タンク容量などが異なる。オーナーは2つ並んだ丸いテールランプがお気に入り。
ポジションを変えられるハンドル

最初から角度調整機能がついているハンドルは、気分次第でポジションを変更できる。少し角度を変えるだけで、別の乗り物のようになる。
輸出先によって異なるタンク容量

オーナーが乗っているのはヨーロッパ仕様で、大きく角ばった25L容量のタンクが特徴。もう一台所有しているというアメリカ仕様のモデルは丸みを帯び、タンク容量は20Lとなる。
エンジン音を視聴する

エンジン形式:水冷4ストロークV型4気筒
総排気量:998㎠
全長×全幅×全高:2170mm×730mm×1200mm
車体重量:238kg(乾燥重量)
最大出力:122ps
最大トルク:9.4kg-m