バイクの音を楽しむ『名車図鑑』15:SUZUKI GSX750S3(KATANA)
GSX750S3(KATANA)オーナーのバイクストーリー
「ホントは直ったら売ってしまおうかと思っていたんですよね」
法事の際に訪れたいとこの家のガレージで、それは偶然手に入れたものだった。あげるよ、と言われるがまま引き取り、15年ほど眠ったまま動かなくなっていたものを1年かけてコツコツと直していった。修理する前は特に好きでも嫌いでもないバイクだったので、直っても少し乗って楽しんだら売るつもりだった。
「結構、苦労しました。古いからマニュアルがなくて、手探りで直していくしかなくて。段々、こいつは俺がいなきゃダメだと思うようになっちゃって…」
そう言って苦笑するオーナー。実際、直ってから乗り始めると、とても気に入ったという。
「ものすごく乗りやすかったのでツーリングに重宝するようになりましたね。これは当分乗っていようと思いました。今ではもっているバイクの中で一番乗りやすい。ポジションも楽だし、ガソリンも喰わない。5速1500回転位でどこまでも行けるから、高速もすごく快適。ガンガン攻めるようなバイクではないし、逆に回してしまうと高回転域でのパワーがないけどね。停めているとみんな見るし、話しかけられたりしますよ」
それもそのはず、なんと1年間しか生産されなかった機種なのだ。個体自体が珍しい。しかも特筆すべきはそのヘッドライトだ。
「このあいだなんて通りがかりの高校生がまじまじと見て”ライト付けてないんですか?”って言うので、ライトを点けてあげるとすごくビックリして。”アニメに出てくるロボットみたいだ”だって」
発売当時はしばしば「カタナの偽物」と言われており、オーナー自身もそう思っていた。それでも今では手塩にかけた、かけがえのない相棒なのである。
S3のアイコン、可動式ヘッドライト
スイッチと同時にパカッと開き点灯する、この車種特有のヘッドライト。トランジスタのコントローラーが駄目になっていたので、自作のリレーで動くようにした。
ゴールドカラーフレームと流線的なデザイン
流れるようなサイドビュー。オーナー曰く「イルカみたいで可愛い」とのこと。渋めのゴールドカラーのフレームと相まって、スタイリッシュな外観を創り上げている。
埋め込み式のウインカー
今見ても珍しい、ブレーキランプを挟むように配された埋め込み式のウインカー。昔のバイクとは思えない、先進的なデザインだ。
エンジン音を視聴する
エンジン形式:空冷4ストロークDOHC直列4気筒
総排気量:747㎠
全長×全幅×全高:2190mm×760mm×1160mm
車体重量:212kg
最大出力:77ps
最大トルク:6.4kg-m