
[A]水素は可燃性で着火しやすいですが、正しく扱えばFCVへの充填も安全です。

- 水素は圧縮でき、同じ力を出すのに必要なガソリン量より軽くできる。
- 水素は可燃性で着火しやすいが、正しく扱えばFCVへの充填も安全。
- FCVの水素漏れには、車載検知器やタンクの安全バルブで瞬時に対応。
燃料電池車で使用する水素はどんなものですか?

燃料電池車(FCV/Fuel Cell Vehicle)で使用する水素は気体であり、常温かつ標準気圧の状態であれば無臭で無色透明です。水素は大きな体積を圧縮して小さくすることができ、一般的なガソリンエンジン車と同じ力を出すために必要なガソリンの重量と比べると非常に軽いという特性があります。
水素は可燃性ですが安全ですか?

水素は可燃性であり、酸素や二酸化炭素よりも軽い気体であるため拡散しやすい特徴があります。また水素は空気との混ざり具合により燃える気体となり、この状態で静電気程度のエネルギーが加わると着火します。ただこの条件にならなければ自然に着火・爆発することはありませんので、火気の取扱に注意し、決められた手順に則って正しく取り扱えば水素ステーションにおけるFCVへの充填作業も安全です。可燃性の燃料というくくりで考えた場合、クルマの燃料として使用しているガソリンや軽油、天然ガスであっても正しい取扱が必要であり、ガソリンスタンドなどでは都市計画法、建築基準法、消防法、公害防止法に則り規制され、正しい運用が行なわれています。同じように水素を充填する水素ステーションも、高圧ガス保安法、建築基準法、消防法などによって正しく運用されています。
高圧水素タンクから水素が漏れた場合はどうなりますか?

水素は分子が非常に小さく、わずかな隙間でも通過する特性があります。そのため高圧水素タンクなど水素を貯蔵する容器には高い密閉性が求められます。さらに水素は、金属の中に入り込んで強度を弱める性質があるため、高圧水素タンクには耐性・信頼性の高い材料が使われています。また、交通事故などによる強い衝撃にも高圧水素タンクは耐えうる構造でなければなりません。現在、FCVが搭載している高圧水素タンクには、こうした水素の特性、必要な安全性を加味した構造体が採用されていますが、万が一、なんらかの理由で高圧水素がタンクから漏れ出た場合も想定されています。FCVが想定を超える衝突を受け水素が漏れ出てしまった場合は、FCVに搭載された水素検知器が発する信号により、高圧水素タンクに装着されている安全バルブが瞬時に遮断されます。また、車両火災に見舞われた場合は、110℃~115℃になると安全バルブが自動的に開くようになっていて、残量にもよりますが数分で高圧水素タンク内の水素は大気中に放出されます。さらに、安全バルブは車体の下方向、つまり地面に向かって開くように設計されていて、放出された水素が車内に滞留しないような車体構造が採用されています。
2015年02月現在