
[A]飲酒運転による重大事故を受けて、厳罰化が進みました。

- 厳罰化の影響で、飲酒運転による事故件数は減少傾向にある。
- 飲酒運転は運転者だけでなく、車両や酒類の提供者、同乗者にも重い刑罰が課される。
- 飲酒運転で死傷事故を起こすと、従来の過失責任よりも重い罪になる。
飲酒運転による死亡事故件数は減少
2021年に発生した飲酒運転による事故は2,198件。そのうち死亡事故件数は152件で、前年と比べて4.4%減少しました。飲酒運転による死亡事故は、法律の厳罰化や飲酒運転根絶への社会的な機運もあり、2002年以降大幅に減少してきました。
飲酒運転による死亡事故件数の推移

飲酒運転の厳罰化の変遷
「酒気を帯びて車両等を運転してはならない」ことは道路交通法第65条第1項に定められています。
飲酒運転や悪質な運転による死傷事故の増加にともなって、2001年12月には刑法が改正され、新たに「危険運転致死傷罪」が定められています。これにより、飲酒運転などは故意の危険運転行為とみなされ、死傷事故を起こした場合は、従来の過失責任よりも重い罪に問われることとなりました。翌2002年には改正道路交通法が施行され、酒気帯び運転の罰則が適用される対象が見直され厳罰化が始まりました。
さらに2007年5月の刑法改正では、危険運転致死傷罪の適用範囲が「四輪の自動車」から原付以上の二輪車を含む「自動車」に変更されたほか、新たに「自動車運転過失致死傷罪」も創設されています。そして当年6月の道路交通法改正では、「酒気帯び」「酒酔い」状態での運転に対する罰則が強化されたほか、ひき逃げへの罰則も強化(5年以下の懲役又は50万円以下の罰則→10年以下の懲役又は100万円以下の罰則、飲酒ひき逃げの場合最高で懲役15年)。また、車両や酒類の提供者、同乗者についての罰則も新設されています。さらに、2009年には酒酔い運転や酒気帯び運転の違反点数を大幅に引き上げる改正も行われ、「飲酒運転を許さない」という環境強化が進みました。
そして、2014年5月には、これまで刑法に規定されていた危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪が刑法から削除され,「自動車運転死傷処罰法」が施行されました。これに伴い、悪質な運転により死傷事故を起こした運転者に対する罰則が、さらに強化されたのです。飲酒運転で摘発された場合は、下記の表の通りですが、飲酒運転で死傷事故を起こした場合は、懲役刑の対象になります。また、飲酒運転死傷事故時の「逃げ得」を防ぐ処罰規定も新設され、こちらも懲役刑の対象となっています。
飲酒運転による主な罰則
酒酔い運転 | 酒気帯び運転 | 適用 | |
---|---|---|---|
運転者 | 基礎点数 35点 免許取消し 欠格期間3年 |
基礎点数 13点(25点) 免許停止 期間90日 (免許取消し 欠格期間2年) ()は呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上 |
行政処分 |
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 罰則 | |
車両提供者 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | |
酒類提供者 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 | 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金 |
2022年08月現在