埼玉考その①「冠水橋」
お知らせ 埼玉
2021年04月06日
今、「埼玉」を深掘りしてみませんか?
2020年度、埼玉県の難読地名シリーズは大変ご好評をいただきました。
筆者自身も読み方を勘違いしていたものや、近所であるにも関わらず初めて見るものなど、
新たな発見がありました。
そして、地名を入口にして埼玉を詳しく調べていくなかで、
「実は埼玉にも〇〇があった」「珍しいものが身近にあった」
という気づきが多くありました。
そこで、地名という枠組みを超えて埼玉を深掘りしてみようと、
2021年度は「埼玉考」というシリーズにて埼玉を皆さまにご紹介したいと思います!
今回ご紹介するのは「橋」。
普段何気なく通行する橋でも、見方を変えると面白くなるかも…?
「冠水橋」をご存じですか?
一般的にクルマが通行できる橋というと、コンクリート製の頑丈なもので、下を流れる川が増水してもある程度は問題ないようなものを想像される方も多いかと思います。
→例:番外編④「徒歩橋」(クリックでリンクが開きます)
実は、交通量が多くなく、主に地元住民が使用するような橋の中には、
このようなタイプではない橋も存在します。それがこちら↓↓

これは坂戸市にある「八幡橋」。一見、歩行者用の橋のようにも見えますが、
実際にはクルマも通行するれっきとした道路です。
筆者も写真手前から奥に向かってクルマで渡りました。
この近辺で釣りをする方がいらっしゃるようで、交通量は少なくありませんでした。
別名「沈下橋」。全国にあります

写真からお分かりの通り、八幡橋の欄干は非常に低く、ほぼないような状況です。
さらに路面は舗装されておらず、板張りになっています。
このような簡素な造りの橋は「冠水橋」「沈下橋」などと呼ばれ、
川の増水時はその名の通り沈みます。
欄干がなく平らなことで川の流れを妨げず、
水がせき止められてダムのようになるのを防いでいます。
また沈む前提のため、造りが単純でコストがかからないという特徴もあります。
路面が舗装されているものや木製のもの、コンクリート製のものなど、
橋によって様式は異なりますが、筆者が知る限りでは簡素な橋が多いです。
冠水橋(沈下橋)は全国にあり、高知県の四万十川や仁淀川に架かるものが有名です。
埼玉県内では八幡橋をはじめ、荒川水系の川に点在しているようです。
様々な冠水橋(沈下橋)たち
埼玉県内に点在する冠水橋たち。その一部をご紹介します。
原馬室橋(鴻巣市)

重量・車幅制限の標識からもお分かりの通り、簡素な造りの橋です。
自動車のすれ違いはできませんが、普通に通行する分には問題ありません。
樋詰橋(桶川市)

軽自動車は余裕ですが、3ナンバー車だとギリギリかもしれません。
まとめ:沈む橋もあります
私たちが普段何気なく通行する「橋」。
国道やバイパスの立派な橋の近くに、
もしかすると冠水橋のような旧来の橋が残っているかもしれません。
沈む前提の橋というコンセプトは興味深いものがあります。
今回ご紹介した橋たちは川が増水していなければクルマで渡れるため、
お見かけの際は少し遠回りして通行してみると、新たな発見があるかもしれません。
新学期がはじまり、小中学校など新入生が慣れない通学路を通行しています。
ドライバーの皆さまにおかれましては、
子どもの飛び出し、車道はみだしなどに十分ご注意ください。